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2024.06.25

ブランドを主張しないSUN℃OREのスニーカーがファッションフリークの視線を釘づけにする理由

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街ゆく人のスニーカーを眺めてみると、そのほとんどが、アッパーのロゴやサイドパネルのデザインによって、どのブランドのものかひと目でわかるようになっている。
そんなスニーカーシーンにおいて、異彩を放つのが「SUN℃ORE(サンコア)」である。
アッパーにはロゴもなければ、特徴的なディテールもカラーリングも見当たらない。ブランドを特定する手段は、インソールに刻印されたロゴくらい。ぱっと見では、どのブランドのものなのかがわからないのだ。
にもかかわらず、ブランドとして着実に知名度を高め、人気モデルは品薄が続いている。ファッション雑誌でも特集が組まれ、スタイリストやショップのプレス、ヘアメイクといったファッション業界人のファンも多い。
ストイックなまでに主張しないブランド。今回は神秘のベールに包まれたSUN℃OREのものづくりに迫ろう。
PROFILE|プロフィール
後藤 雄士(ごとう ゆうじ)

株式会社マルミ 営業企画

スタイリッシュな顔つきに秘められた機能性ディテールの数々

今回、お話をうかがったのは、SUN℃OREを取り扱う株式会社マルミの後藤さんだ。
「SUN℃OREをスタートしたのは2019年です。マルミのデザインチームがデザインを担当し、生産は東京にある工場が行っています。
高い技術を持つ日本の靴職人が、素材も製法も妥協せずにスニーカーを作ったら、どんなものができるのか? そんな疑問がものづくりの原点です」
それでは実物を見ていこう。フォーカスするのは、毎シーズン一番の人気を誇るブランドの代表作「night camp light」だ。
“夜のアウトドアシーン”を想定してデザインしたcampシリーズのセカンドモデル。夜間での安全性を考え、リフレクターレザーが多用されている。「night camp light」 45,100円(税込)
“夜のアウトドアシーン”を想定してデザインしたcampシリーズのセカンドモデル。夜間での安全性を考え、リフレクターレザーが多用されている。「night camp light」 45,100円(税込)
「デザインは、ローテクでもない、かといってハイテクでもない、絶妙なバランスを心がけています。カラーリングに関しても、ビビッドカラーは使用せず、モノトーンカラーやアースカラーのワントーンで統一しています」
ブランドを示すロゴやサイドパネルは使用しない。ただその分、さまざまな形状の異素材パーツを複雑に組み合わせることで存在感を強めている。合成皮革ではなく、本革が使われているためか、通常のスニーカーとはひと味違う高級感も漂う。
「SUN℃OREのスニーカーは単なるファッションシューズではなく、快適に歩くためのギア。それぞれのディテールには機能的な役割が付与されています」
たとえば、シューレースのデザイン。つま先からかかとにまで及ぶシューレースはアッパー全体のフィット感を高める。かかとのアジャスターでフィット感を調整できるので、紐を結ぶ必要もない。
また、紐自体も強度のあるストレッチ素材でできているため、スリップオンシューズのように着脱できる。アッパーの随所には、夜間の安全性を高めるためのリフレクターパーツもあしらわれている。

Vibram社のハイテクソールがスペックを底上げ

丸みを帯びたフォルムも特徴のひとつだ。
「SUN℃OREはほとんどのモデルにアウトドア向けのVibramソールを使用しているんですが、このソールに合わせてアッパーをデザインすると、自然とこうしたフォルムになります」
1930年代に登山ブーツ用ソールの生産を始めたイタリアのVibram社は、あまたの有名靴メーカーが信頼を置く世界有数のソールメーカーだ。
「グリップ力や頑丈さなどを考えると、やはりVibramソールが群を抜いています。このモデルには、滑りやすい山道や雨でぬれた路面を想定したVibram メガグリップシリーズの『#186C』を採用しています。弓なりになった形状が特徴で、足の屈曲や回転に順応します。
さらに着地の衝撃を和らげつつエネルギーに変換し、自然な足運びをサポートする『RGS(ローリングゲイトシステム)』も搭載するハイテクソールです。モデル名の通り、スペック的にはアウトドアシーンにも十分使えます」
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