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2024.02.19

ランニングウェアブランド「TANNUKI」が文化服装学院とコラボした理由とは?

ひと昔前なら、田舎や山奥を歩いているとタヌキに出くわしたという人も多かった。直接見たことはなくとも、テレビなどで短い手足にまんまるとした体つきを見たことがある人も多いはずだ。
そんなタヌキを連想させるブランドがある。合同会社良羊社が展開するランニングウェアブランド「TANNUKI(タヌキ)」だ。タヌキは足が速いのかという考えが頭をよぎるが、もちろん意味があってのネーミングだろう。その「TANNUKI」が文化服装学院の学生と一緒になって商品を開発した。
今回、ブランド名が気になって仕方がない「TANNUKI」を立ち上げた加藤賢さんにインタビューを行い、「TANNUKI」がこだわる製品づくりに加えて、文化服装学院とのコラボレーションの背景について伺った。そこにはランニング人口を増やしたい、地域のランニングコミュニティを大切にするという明確なヴィジョンがあった。
PROFILE|プロフィール
加藤 賢(かとう けん)

2001年にオランダ、ユトレヒトのビジネススクールにて経営学修士号を取得。その後は複数の外資系のアパレル/スポーツ/アウトドアブランドにて、セールス、マーケティング、商品開発に従事する。
2020年にランニングウェア及びランニングギアを企画、生産、販売する「TANNUKI」をスタートした。自社のオンラインショップに加えて、国内17、海外5のランニング専門店にて商品を販売する。
Instagram

PROFILE|プロフィール
BunkaRunningClub

文化服装学院の学友会に所属するランニングクラブ。
服飾学生が学内外の方々とランニングをしながら、ランニングウェアの開発・製作を行っている。
2023年にはランニングウェア/アクセサリーブランド<TANNUKI>とコラボウェアを発売。
2024年5月に行われるSpring TANNUKI Fesに出店予定。
Instagram

「TANNUKI」が目指すランニングウェア

「TANNUKI」を立ち上げた背景を教えてください。
僕自身、これまでいろいろな商品開発を行ってきました。そのなかでも、アメリカのアウトドアスポーツウェアブランドのマウンテンハードウェアで商品開発とバイヤーの仕事をしていた経験が大きいと思います。
所属していた会社がスポンサーをしているトレイルランニングの大会があって、商品開発をしていたこともあり最初は軽い気持ちで参加してみました。そこで初めて山を走るという体験をしたのですが、学生時代に無理やり走らされるのとは違い、新鮮な気持ちで走り切ることができました。
大人になってからのランニングがこれほどまで楽しいものなのかという発見があり、その経験を多くの人に届けたいという思いから、自分でブランドを立ち上げようと考え始めました。
「TANNUKI」という可愛らしいブランド名ですが、由来はありますか。
ランニングウェアブランドとして、トレイルランニングとロードランニングの両方をイメージして、山も街も駆け抜ける光景を描いていたところ、ちょうどその中間である里山が頭をよぎりました。その里山にいる動物で、しかも日本固有の動物というところでタヌキを思いついたのです。
ブランド名のスペルではNが重なっていますが、これは僕がオランダにいたときの名残です。オランダ語の単語は文字を重ねることがよくあり、それが何となくデザイン的にかわいらしいと思っていました。また、ランニングもrunningとNが2つですから、そこにも重なっていくなと思いました。
商品の特徴として国産を謳っていますが、そのメリットを教えてください。
国産だから安心だ、他の国よりも高品質だ、と言える時代は終わりつつあると思っています。たとえば、隣国中国の衣料でも高品質なものはたくさんあります。レーザーカット縫製なんかでは、国内よりも中国の職人さんのほうが腕が良いこともあります。
では、なぜ国産にこだわるのか。簡単に言えば、一緒に働いている人たちの顔が見えるからです。田中さんと鈴木さんがこれを縫っている。ときには2人からフィードバックをもらいながら、改良を重ねていくというコミュニケーションが生まれます。
このように顔が見える人たちと一緒にものづくりをしていける点が大きなメリットですね。そうしたやりとりを重ねていくほど、商品になったときに深みが出てくると信じています。
ランニングウェアブランドというと、他社メーカーとの競合があると思いますが、どのような点で差別化を図っていますか。
大きなポイントは高機能素材に合わせるデザインとパターンです。
まず素材については、大手メーカーも使っているようなハイエンドの高機能素材をTANNUKIでも使用しています。たとえば、元はイギリスの素材メーカーが開発した薄くて強いナイロンの「PERTEX®」ですね。耐風機能を持ちつつ、身体からの湿度を放出してくれる素材で、防護性と快適性を両立します。
ただ、この素材自体は大手メーカーも使用していることがあり、素材だけをとって差別化が図れているとは言えないと思います。TANNUKIが異なるのは、同じ素材を使っても、他のランニングウェアメーカーが作らないような独自のデザインやパターンを組み合わせている部分です。
そうした機能性の高い素材を使って、ランニングパンツながらサルエル風にゆとりを持たせたり、ウィンドブレーカーというよりはブルゾン風に身幅に余裕を持たせたシルエットを採用したり、独自のパターンで服を作っているところが特徴だと自負しています。
ランニングウェアとしてしっかりと機能を発揮しながら、普段着でもあるような、どちらの場面でも高いバランスで活躍してくれる、シームレスなウェアづくりを心がけています。
Sato Wind Anorak
Sato Wind Anorak
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