Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2021.01.26

yutoriがつくりだした私たちの場所:SNSでファッションをビジネスにするには?(中編)

昨年、ZOZOグループにジョインした株式会社yutori。そのミッションは「臆病な秀才の最初のきっかけを創る」というもので、ストリートをオンラインでプロデュースしている。統括する社長は弱冠27歳の青年、片石貴展氏だ。古着に特化したInstagramメディア古着女子を皮切りに、現在までに古着男子というInstagramメディアのほか、数種のブランド等、ビジネスを拡大し続けてきた。
片石氏に話を聞くと、「SNSによるファッションの民主化」、「リッチな体験としてのオフライン」、「弱さを出せる会社」、「ロマンとそろばんの両立」など、興味深く現代を読み解く視座と経営論を語ってくれた。yutoriとは何か?片石貴展とはどんな思想の持ち主なのか?今回は彼へのインタビューを通して、その真髄に迫っていきたい。

スタイルや思想の伝道者として

SNSとファッションビジネスの親和性についてどう考えてますか?
切っては切り離せないんじゃないですか。やっぱりSNSがやったことっていうのは個人の民主化っていうか、持たざる者でも何かを投稿したらそれを必要としている人に届くっていうことだと思っています。それがインスタならインスタのアルゴリズム、それはインスタの哲学とか思想に紐づいてるものだと思うんですけど、過去のSNSの思想に基づいてアルゴリズムが組まれて、それが知らない人に届く。
昔だったら大手のアパレルから独立して、バイヤーさんに買ってもらって卸して、卸しが7〜8割くらいで、その卸された店舗の中でブランドを知ってブランドのインスタをチェックして、濃いファンの人は直販で買ったりとかそのブランド自体の展示会に来たりっていう流れだったと思うんですけど、そこを全部すっ飛ばして、お客さんに直接商品を届けられる、いわゆるD2C的な思想ですけど、それはすごく大きな革命だと思ってますね。
もっと個人にダイレクトに届く、ということなんですね。
やはり前者の構造でやっているために、従来のアパレルビジネスが厳しいっていうのはあると思っています。バイヤーさんに認めてもらうためにかっこいいものを作らないといけなくて、かっこいいものを作ると原価率が上がって、でも結局卸しだから利率は低くて、かっこいいものを作ってるのに取り分はめちゃくちゃ少ないみたいな状況だったのがこれまでのブランドのあるあるですよね。
でも、別に無理にそのバイヤーさんやいわゆるファッション的なヒエラルキーの中でその位置が高い人に向けて服を作らなくても、お客さんが直接楽しんでくれるようなポップなものを作ればむしろそっちの方が広がるし、もしかしたら利益率的にもいいかもしれない。ファッションの今までのビジネス構造、特に独立する人がどうやってブランドを大きくしていくかっていうその道筋の順番とかやり方を大きく変えたのがSNS、D2Cだと思ってます。

その中でSNSの投稿で消費者個人が楽しめるように意識していることはありますか?
ブランドによって結構変えています。9090sだったら役に立つ情報ってよりかはブランドの思想とかを割と直接に出していくような作品とかルックが多くて、それはストリートブランドだからそのようにやっています。Spoonは逆にストリートとはちょっと違うので、着回しやいわゆる雑誌的に役に立つようなコンテンツを混ぜながら運用してますね。なので、ターゲットと自分たちのブランドの思想的なものと、どうやったらインスタが伸びるかっていうインスタの中のアルゴリズム、この3つを結構考えながらバランスを取って投稿していますね。

オリジナルアイテムの生産環境はどのように選定されたのですか?
これを作りたいから紹介してくれって1個1個泥臭く探していったって感じですかね。カットソーだったら国内と中国背景のものがあって、布帛だったら基本中国みたいな感じで、その商材ごとによって生産背景を分けてやってます。ただもっとこれは強化していきたいんで、この記事を見てる人で知っていたりやっている人がいたらコンタクトしていただきたいという感じですかね。
1 / 2 ページ
#Social Commerce
この記事をシェアする