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2021.01.27

yutoriがつくりだした私たちの場所:SNSでファッションをビジネスにするには?(後編)

昨年、ZOZOグループにジョインした株式会社yutori。そのミッションは「臆病な秀才の最初のきっかけを創る」というもので、ストリートをオンラインでプロデュースしている。統括する社長は弱冠27歳の青年、片石貴展氏だ。古着に特化したInstagramメディア古着女子を皮切りに、現在までに古着男子というInstagramメディアのほか、数種のブランド等、ビジネスを拡大し続けてきた。
片石氏に話を聞くと、「SNSによるファッションの民主化」、「リッチな体験としてのオフライン」、「弱さを出せる会社」、「ロマンとそろばんの両立」など、興味深く現代を読み解く視座と経営論を語ってくれた。yutoriとは何か?片石貴展とはどんな思想の持ち主なのか?今回は彼へのインタビューを通して、その真髄に迫っていきたい。

メジャーに引き上げる翻訳力

各ブランドのアカウントや商品をみていると、街で古着屋巡りをしているような感覚を思い出しました。SNSでの経験が古着屋を巡る都市体験とリンクしていたように思うのですが、何か意識されていることはありますか?
僕たちのブランドの思想がやっぱり、「リバイバル」っていうのが1個要素としてあって、古いものを今っぽくするっていう考え方なので、それがルーツにあるから古着屋さんを巡ってる体験に近いのかもしれません。下北も70年代がテーマの古着屋もあれば、80年代がテーマの古着もあって、でもそれは古着っていうカテゴリーとか古着をルーツにした服作りってとこで統一されていると思ってて、そこに共通性があるんじゃないかと思います。
ブランドって時間が経てばそのブランド固有のお客さんをどんどん増やしていけるっていうのがあるんですけど、僕たちは最初に古着の既存のアカウントからブランドにリーチさせていく戦略をとってます。そこにまず刺さるようなことを考えると、個々のブランドが一定似通ってくる、つまり古着好きが集まる場所になるような部分もあるんじゃないかなって思いますね。

リバイバルというか、ある時期の力みたいなものを実現させようとしてたのかなって思いました。
そうです。「インディーズからメジャーへ」って言うミッションを最近決めたんですが、9090sとかも背面にバックプリントをバンって入れてメッセージ性が強いのを入れたりというのは僕たちがある種パイオニアで、大手のパクリみたいなのもすごく出てきてています。要はインディーズって今評価されていないもの、みんなが見向きしていないものを引っ張り出してメジャーにしていくPR力、翻訳力ですかね。
うんうん、翻訳力!
結構その「インディーズからメジャーへ」っていう思想はこれからも新しいブランドを作るときとかも意識していきたいなって。それってもう古着をディグる感覚と一緒なんですよね。ゴミとして捨てられている古着の中で、自分としてはいいって思ったもの、例えば4人で古着屋やリサイクルセンターに行って、誰かが「これやばくね?」って見つけたものがその中でめっちゃかっこいいって伝播していくような、こういう感覚を限りなく大きいスケールでやっていきたいっていうイメージです。

弱さを出せるゆとらない場

ウェブサイトでも手書き感のあるテイストを出されてたり、noteでも「ゆとらないトークセッション」を開催されてますが、オンラインでもオフラインでも、片石さんにとっての「場」とはどういうものでしょうか。
場を作るときに意識しているものの中で重要視しているのは居心地の良さですかね。それは会社という意味でもそうだし、ウェブサイトの手書き感みたいなところでいうと、抜け感のあるものが好きで、どこかあえてダサい部分とか弱い部分とか崩した部分があると、そういう空間の中って自分自身のことをさらけ出しやすいと思っているんですよ。会社の名前もそうだし、また会社の経営って視点で見ると、やっぱり僕たちはファッションコンテンツの会社なので、面白いコンテンツを継続的に出していかないといけない。
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#Social Commerce
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