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【連載インタビュー】老舗百貨店がメタバース事業に参入した理由と、2軸のマネタイズ戦略:大丸松坂屋百貨店

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デジタルファッションの時代」連載の第6回は、株式会社大丸松坂屋百貨店によるメタバースプロジェクトについてお届けする。
大丸松坂屋百貨店は、百貨店業界として初めてオリジナル3Dアバターの販売を開始するなど、メタバース事業に参入して注目を集めている。2020年に「バーチャルマーケット」に参加以降、バーチャル店舗の出展を皮切りに、着実に実績を重ねてきた。
そこで今回、同社のメタバースプロジェクトを担っている経営戦略本部の岡崎路易さんに、メタバースの取り組みを開始したきっかけから、現在の取り組みとその反響、今後の展開についてまで伺った。

2020年にスタートしたメタバースの取り組み

はじめに、百貨店としてメタバースプロジェクトを開始した経緯について教えてください。
メタバースプロジェクトは、私が所属しているDX推進部で取り組んでいます。この部署のミッションは、「店舗に過度な依存をせず、デジタルネイティブの新規事業を作ること」にあります。
コロナ禍において店舗が休業を余儀なくされた際、私たち百貨店は本当に手も足も出ないという状況を経験しました。そのときに感じたのが、リアルの店舗が持つ営業時間という時間の制約と、場所の制約です。この2つを克服しないと百貨店業の未来はないと、経営陣一同が痛感しました。
そこで、タッチポイントのオンライン化と収益の複線化を目指して、DX推進部が生まれました。現在、総勢で100名以上の部署となっています。
代表的な事業として、ファッションサブスクサービスの「アナザーアドレス」や、冷凍グルメ宅配のサブスクサービス「ラクリッチ」など、この3年間で7つのプロジェクトを立ち上げています。
そうしたオンラインを活用した手法のひとつとして、メタバース領域に足を踏み入れたのが2020年です。
メタバースプロジェクトが本格的に事業化したのは2023年10月ですが、アバターを販売するに至るまでの流れについて教えてください。
最初は同年開催の「バーチャルマーケット5」に参加しました。初回は小さな屋台ほどのスペースだったのですが、同イベントへの出展を経て、多くの方へVR空間における体験価値を提供してまいりました。
そのなかで気づいたことは、VRChatの世界には人がいて、コミュニティが成り立っていて「生活者」がいるということです。
メタバースというと、最近では「失敗だ」と言われることもありますが、ヘッドマウントディスプレイを被ったまま寝たり、ご飯を食べたりしているような、メタバースという空間で何百時間、何千時間と過ごしているユーザーが、実際にたくさんいることがわかりました。
たとえば、「ファッション集会」のような「〇〇集会」という形で、趣味を楽しむコミュニティはものすごく多いんですよね。こちらも「分断化されたコミュニティがたくさんあるだけだ」という批判的な見方をする方もいらっしゃるかもしれないですが、別の見方をすればリアルと同じ、もしくはそれより濃い世界があるわけです。
そうした「生活者」がいるならば、舞台は違えどその暮らしを彩ったり、豊かになったりするものを提供することが、百貨店の本質的な使命です。
そこで、メタバースにおける生活者にとって第一に必要になるのが、アバターであることから、その開発と販売が決定しました。

アバターが「根幹」である理由

御社のアバターはどのような目的のもとに製作されたのでしょうか。
オリジナル3Dアバター第1弾 左から「彩千華(さちか/Sachika)」「鳳蝶(あげは/Ageha)」「風璃(ふうり/Furi)」「龍青(りゅうせい/Ryusei)」「瑚紅姫(ここひめ/Cocohime)」
オリジナル3Dアバター第1弾 左から「彩千華(さちか/Sachika)」「鳳蝶(あげは/Ageha)」「風璃(ふうり/Furi)」「龍青(りゅうせい/Ryusei)」「瑚紅姫(ここひめ/Cocohime)」
私たちは、アバターの製作やクリエイターの選定などについて株式会社Vと協業し、これまで計10体のアバターを発表しています。特徴としては、全6型の共通素体で製作し、当社オリジナルアバター間でバーチャル衣装の着せ替えを簡単にできるようにしました。
メタバースにおけるアバターに関しては、まだボディサイズ自体が確立されていない状況にあります。私たちが共通の規格を作り、販路を広げることで、今後この規格に対応するバーチャル衣装を作るブランドが生まれる可能性もありますし、ぜひそうなってほしい。そうした展開も視野に入れています。
「アバターのプラットフォームを作る」という意味でも、メタバース事業の根幹にアバターが位置付けられています。
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