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【リレーコラム】身体の揺らぎをかたどる(安永光希)

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PROFILE|プロフィール
安永 光希(やすなが こうき)
安永 光希(やすなが こうき)

1996年生まれ。現在は、東京大学人文社会系研究科の修士課程で哲学史を研究している(とくにプラグマティズム)。批評誌『近代体操』の運営。
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私は姿勢が悪くて、よく整体に行っている。3年ほど前、武医道・暗黒舞踏・ヴィパッサナー瞑想などの技法を組み合わせた不思議な施術を受けた。それは、手技で筋肉をほぐすような通常の整体とはまったく異なるもので、整体師に導かれながら、私の脚と腕がゆっくりと宙を舞う。何が起こっているのかは、よくわからない。施術中に変化の実感はないのだが、終わってみると身体の軸がしっかりと地面に根づき、視界の隅っこまで意識が行き渡るようになっている。狐につままれたような気持ちだった。
施術の前と後には、身体の状態を比較するため、いくつかのワークが実施される。そのうちのひとつが、お気に入りの絵柄のカードを選択する遊びである。とあるボードゲーム(「DiXit(ディクシット)」)に用いられるイラストカードが床に並べられ、その中から自分が良いと思うイラストを直感的に選んでいく。元のボードゲームは、抽象的な絵柄に当てはまる言葉を見つけるゲームなのだが、カードはどれも空想的で独特な世界観を持っている。私は前屈みになって、色鮮やかなカードたちに目を走らせながら、カードを手元に集めた。
上の画像は、私が2回目の施術で選んだカードの記録である。左の6枚が施術前、右の3枚が施術後。施術前の6枚は、どれも深い赤色や青色で構成されており、重厚な雰囲気をまとっている。一方、施術後の3枚には、軽やかで開放的な空気が漂う。あからさますぎる対比だが、別に両者のコントラストを意図的に作ろうとしたわけではない。施術が終わって、1時間ぶりにカードを見渡すと、絵柄の見え方が劇的に変化していたのだった。
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