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【リレーコラム】実在の固有名詞たちをあしらった近未来の晩餐からの哲学的考察例(永田希)

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PROFILE|プロフィール
永田希
永田希

著述家、書評家。1979年、アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。書評サイト「Book News」主宰。著書に『積読こそが完全な読書術である』(イースト・プレス)、『書物と貨幣の五千年史』(集英社新書)、『再読だけが創造的な読書術である』(筑摩書房)。

昨日は、十年来の友人であるブラーバットさんのホームパーティに行ってきました。ブラーバットさんはバンコクの有名な不動産王の一族の出身だそうです。しかし、数年前にバンコクが水害に見舞われたことで、タイの地価は急落しました。そのため、ブラーバットさんも以前のような贅沢な暮らしはできなくなったとこぼしていますが、わたしと比べればまだ贅沢な暮らしをしているように見えます。水害の原因は何だったのでしょう。温暖化による海面上昇だという説もありますし、地盤沈下だという説もあります。しかし、この問題には政治的な利害や思惑がからんでいて、真相を示す国際的な見解はまだ出ていません。
ブラーバットさんの友人が腕をふるった料理は、なかなかでした。彼はバンコクのヤーン・レストランでスーシェフとして働いていたそうです。ベトナム風生春巻きに似たポーピアソットに使われていた海老は、おそらく人工培養ものでした。わたしの記憶が正しければ、ブラーバットさんはシンガポールのショーク・フーズに出資していました。海老の値段は高騰しており、天然や養殖の海老があんなに大盤振る舞いされていた、というのはちょっと考えにくいので、ショーク海老でなかったとしても、他のブランドの培養海老だったのではないでしょうか。視覚情報や聴覚情報については、かつてのGoogle画像検索やShazamと同様に、気になった情報をすぐ検索できるようになりました。しかし味覚についてはまだ検索するデバイスすら普及していません。調理済みの食材の見た目から、その材料の出自を検索するのは困難です。

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