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【リレーコラム】装いの規律媒体としてのピアノ? ーーユジャ・ワンと平野弦の演奏実践(灰街令)

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PROFILE|プロフィール
灰街令
灰街令

作曲家。音楽学研究者。国立音楽大学大学院博士後期課程創作領域単位取得満期退学の後、現在同大学大学院研究生。「noise=silenceに注意して形象を扱うこと」をテーマに現代音楽と電子音楽の分野で音楽活動を展開するほか、ジョン・ケージに影響を受けた作曲家たちの研究を行っている。

冒頭に挙げた映像は北京出身のピアニストであるユジャ・ワンによる、プロコフィエフ作曲《ピアノソナタ第8番》(1944)第3楽章の演奏である。同音連打や反復する音型の処理において、はじくような指使いによる明瞭なタッチが冴えわたっている演奏だ。プロコフィエフのからりとしたピアノ曲にユジャ・ワンの快活な指さばきは相性が良い。しかしここでは(ユジャ・ワンに対しては飽き飽きするほどに何度も言及されている事柄ではあるけれど)彼女の舞台衣装についてもう一度考えてみたい。現在では少しずつ状況が変わってきているとはいえ、いわゆるクラシックと呼ばれる音楽の演奏会において、女性の奏者(なかでも特にソリスト)はイブニングドレスやそれに準ずる衣装を纏うことが多い。それは駆け出しの演奏家にとって、時に憧れとして、時に抑圧として機能している慣習と言えるだろう。
しかしユジャ・ワンのファッションはソリストの典型的なそれとすこし異なっている。上記の映像に見られるように、しばしば彼女のドレスは過激なほどに露出(あるいはそう見える部分)が多く、素材は光沢を放っている。ルブタンを愛好しているという彼女はペダリングが困難なように思えるほどに高く細いハイヒールを履きこなす。いうなればそれはオペラの舞台衣装のように、装いとしての過剰さを伴っているのだ。
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