2021.04.28

【連載】Culture Studies: Fashion after 2010 プロローグ

PROFILE|プロフィール
Yoshiko Kurata
Yoshiko Kurata

ライター / コーディネーター
1991年生まれ。国内外のファッションデザイナー、フォトグラファー、アーティストなどを幅広い分野で特集・取材。これまでの寄稿媒体に、Fashionsnap.com、HOMMEgirls、i-D JAPAN、STUDIO VOICE、SSENSE、VOGUE JAPANなどがある。2019年3月にはアダチプレス出版による書籍『“複雑なタイトルをここに” 』の共同翻訳・編集を行う。CALM & PUNK GALLERYのキュレーションにも関わっている。[Photo by Mayuko Sato]

Instagram / Twitter / Web

デバイスの発達とともに、mixi、Twitter、Instagramなど SNSの普及が進んだ2010年以降。ファッションにおけるストリートがあらゆる場所に点在するようになり、多種多様に美的感覚や価値観がスピーディーにかたちを変える。ここ10年間で起きたことは、今までの時代よりも、何倍もの速度で伸縮を繰り返しているのではないだろうか。点在するすべてを網羅するのは不可能に近いかもしれないが、いまも現象として移ろうファッションにおける美的感覚を捉えてみる。

プロローグ

いまから10年前がどんな時代で、自分は何に夢中になっていたのかすぐに思い出せるだろうか?
2021年のいまだからこそ「時間」「資源」「アルゴリズム」「価値」に対して歩み寄り、考え直すことが日常的になってきているが、思い出せば10年前の景色は全く違うものだ。

2007年にiPhone初代が誕生し、2010年にInstagramが登場(日本版は2014年ローンチ)など誰でも片手で世界に対して自分のまなざしやメッセージを発するようになる。その現象はファッションにも影響をもたらし、今までかつてなかったほどにスピーディーに、民衆の声がすぐさま美意識や価値観が揺れ動かしたのではないだろうか。その振動によって、ハイエンドとSNSを含むストリートの境界線で激しく摩擦を起こし、時に片方をハックし、時に融和することを同時多発的に繰り返している。

本連載では、この10年間で蓄積したファッションにおける美的感覚を「ひとつのジャンルのものだから」「若者のためのものだから」というエクスキューズ付きで、このままインターネットの大海原に放り投げたままにせず、地球儀をまわすようにあらゆる角度からプロットしておきたい。なぜなら結局のところ「トレンド」も「近未来予測」も、ある年代をピンポイントな出発点とせずに、数十年前の過去から少し前まで生きていた私たちの痕跡までをさまざまな配色でストロークしているに過ぎないからだ。

連載第1章目では、事の始まりである2010年初頭を焦点に、ファストファッションの傍らで動いていた新たな現象について語っていく。

90年代半ばからPurpleやDazed and Confused、Fruitsなどインディペンデントのファッション雑誌が生まれ、そこからDavid Sims、Jurgen Teller、Nick Knight、Mark Bothwick、Wolfgang Tillmansなど数々のファッションフォトグラファーが世に名前を出す。セレクトショップとしては、パリ「Colette」、ロンドン「The Pineal Eye」、東京「CANNABIS」「DOG」、そして数々のファッションパーティへのちに才能を開花する人々が集まっていた。
それらのカオスなファッションの熱が、2000年代後半に収束を迎えるものの、ヨーロッパから伝播するように、2010年初頭にここ日本で、そして2021年現在は中国で再熱している現象を次回から論じていく。

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