JA/EN

AI検索

関連ハッシュタグ

Articles

約200gの軽さを実現! アンベル社が遮熱性と機能性にこだわった日傘の魅力

2026.03.03
2016年の創業以来、OEMで培った技術力を基盤に、軽量かつ高機能な傘を次々と世に送り出してきたアンベル株式会社。「遮熱・撥水・高機能」を追求する彼らの設計思想は、気候変動により必需品となりつつある日傘の在り方に新たな光を当てる商品を生み出した。
それが同社がMakuakeで展開した最新モデル、「KALCT HEATBLOCK Aluminum Silver(カルクト ヒートブロック アルミニウムシルバー)」だ。今回、同社代表取締役の辻野義宏さんに、開発背景と技術的な特徴について話を伺った。

PROFILE

辻野 義宏(つじの よしひろ)

アンベル株式会社CEO
30年以上にわたって傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル)」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をユーザーに届ける。

「使い捨て」を終わらせる、アンベル社の傘革命

日本の傘市場において、ビニール傘は長らくコモディティとしての地位を確立してきた。だが、台風が過ぎ去った翌朝、駅前や路上に無残に積み上げられた壊れたビニール傘の山を見て、心を痛めた経験を持つ人は少なくないはずだ。辻野さんもその一人だった。かつて営業職として傘メーカーに勤務していた頃、渋谷駅周辺で目撃したその光景が、現在のアンベル社のモノづくりの原点となっている。
大量生産・大量廃棄のサイクルから脱却し、良いものを長く使う文化を根付かせたい。そのために必要なのは、ビニール傘にはない「高機能」と「耐久性」、そして持ち運びの負担を軽減する「軽量性」であると辻野さんは語る。特に人口密度が高く、移動の多い都市部において、傘がゴミとなるリスクは高い。だからこそ、壊れにくく、愛着を持って使い続けられるプロダクトが必要だった。
アンベル社がクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」を積極的に活用する理由もここにある。単なる雨除けの道具としてではなく、スペックや機能性を重視するアーリーアダプター層に対し、技術的なエビデンスに基づいた提案を行うためだ。今回紹介する「KALCT HEATBLOCK Aluminum Silver」はまさに、そうした思想の延長線上に生まれたプロダクトだった。

なぜ今「長傘」か? 頻繁な出し入れに最適解を

近年の日傘市場では、携帯性を重視した折りたたみタイプが主流となっている。ところが今回アンベル社が投入したのは、あえての「長傘」だった。この逆張りとも言える戦略には、日傘特有の使用行動に基づいた理由があるという。
雨傘の場合、使用シーンは降雨時に限られ、屋内に入れば閉じて長時間使用しないことも多い。一方、日傘は朝の出勤時、昼の外出、夕方の帰宅時と、太陽が出ている限り一日を通して断続的に使用される。この「開閉頻度の高さ」に着目した際、折りたたみ傘の「たたむ手間」は、ユーザーにとって無視できないストレスとなる。都度きれいに生地を整えて収納する動作は、頻繁な出し入れには不向きだろう。
その点、長傘であれば開閉のアクションはスムーズであり、たたむ際のストレスも最小限に抑えられる。辻野さんは、この「ちょこちょこ使い」における長傘の利便性を改めて提案した。
もちろん、長傘には持ち運びの煩わしさというデメリットも存在するが、それを補って余りある「軽量化」を実現することで、この課題を解決している。市場が折りたたみ一辺倒になるなかで、あえて長傘の機能的優位性に光を当てた点は、ユーザーの行動を深く知るからこそだった。
長傘だからこその魅力をユーザーに改めて考えてもらう試みも

200gの超軽量。航空機素材と衝撃吸収が生む強さ

「KALCT HEATBLOCK Aluminum Silver」の最大の特徴は、その圧倒的な軽さと強度の両立にある。長傘でありながら重量は170gから200g程度。これは一般的なコンビニエンスストアで販売されているビニール傘(約300g)の半分ほどであり、缶コーヒー1本分と同等の重さというから驚きだ。
この軽量化を実現するために採用されたのが、航空機や高級スポーツカーにも使用される「カーボンファイバー」である。傘の骨組み全体にカーボンファイバーを使用することで、サイズを縮小することなく、強度を維持したまま劇的な軽量化に成功した。金属製の骨と比較してコストは跳ね上がるが、軽くて丈夫な傘を作る上では唯一無二の素材であると辻野さんは断言する。
さらに注目すべきは、「一体型樹脂ジョイント」という独自の構造だ。一般的な傘は、骨と骨の接合部に「ハトメ」や「リベット」と呼ばれる金属部品を使用する。しかしこの製品では、樹脂成形によるジョイントを採用している。これにより金属部品分の重量を削減できるだけでなく、構造的な柔軟性も獲得している。
「一体型樹脂ジョイント」による衝撃吸収と構造の強さ
その仕組みは、バネのような弾力性を持つ「ダンパー機能」によるものだ。辻野さんがシューズのソール構造から着想を得たというこの仕組みは、力を逃がす役割を担っている自動車のサスペンションのように、強風を受けた際にジョイント部分が伸縮し衝撃を吸収することで、骨への負荷を軽減し、破損を防ぐのだ。
試験では風速8〜9m/sの風を受けても裏返らない耐風性が実証されている。素材と構造を駆使したこの設計こそが、アンベル社の技術力の真骨頂と言えるものなのだ。

アルミ微粒子が熱を跳ね返す、驚異の温度制御

夏場の過酷な日差しに対抗するための核心技術が、製品名にも冠されている「アルミニウムシルバー」のコーティングだ。塗料の中にアルミニウムの微粒子が含まれており、これが光を効率的に反射することで高い遮熱性能を発揮する。
この製品に使用されているHEATBLOCKという生地は3層構造となっており、ベースとなる生地、遮光層、そして表面のPU(ポリウレタン)コーティング層から成る。このPUコーティング内にアルミ微粒子を配合することで、熱源となる赤外線を物理的に跳ね返す仕組みだ。
アンベル社が行った遮熱性試験によると、未加工の生地では34度近く温度が上昇したのに対し、本製品の生地では温度上昇がわずか2度程度に抑えられている。
一般的に、白色も光を反射する性質を持つが、アルミコーティングの遮熱率は92.4%に達し、白色生地の約88%を上回る性能を示している。これは体感温度としても明確な差となって現れ、まるで日陰に入ったかのような涼しさを感じられるほどだ。
もちろん、このシルバーコーティングには開発上の難しさもあった。シルバー色は光を透過しやすく、遮光率100%を達成するための品質管理が極めてシビアになる。初期の試作ロットでは遮光率が99.9%にとどまり、生地の厚みを微調整してようやく100%を達成したという経緯があった。
また、色味についても単調な銀色ではなく、高級感のあるガンメタリック寄りの色調に調整するなど、ガジェットとしての美学も追求されている。
遮光率100%の生地に、ガンメタリックによる色味の奥深さ

雨を避ける道具から、猛暑から「命を守る」装備へ

気候変動によって猛暑が当たり前となった昨今、傘の役割は「雨を避けるもの」から「熱から身を守るもの」へとその領域を広げている。かつては女性のファッションアイテムとしての側面が強かった日傘だが、現在では熱中症対策という実利的な目的で男性が使用するケースも急増している。アンベル社の製品も、徐々に雨傘から日傘や晴雨兼用傘へ比重が移りつつあると、辻野さんは傘販売の現状を教えてくれた。
一方で、傘業界は新たな課題にも直面しているという。その一つが、環境規制によるPFAS(有機フッ素化合物)の使用制限だ。これまで撥水加工の主流であったフッ素系薬剤が使用できなくなることで、高い撥水性能を維持することが技術的に難しくなりつつある。今回の「KALCT HEATBLOCK Aluminum Silver」においても、シルバーコーティング面(表側)には撥水機能がなく、雨水は防ぐ(防水)ものの、水滴を弾く(撥水)わけではないという特性がある。これは素材の特性上避けられない点であり、辻野さんはこれを「雨傘とは異なる特殊な傘」として理解してもらう必要があると語る。
今後は、たたみやすさを向上させるプリーツ加工の導入や、風で裏返りにくい構造のさらなる改良など、ユーザーのフィードバックに基づいたアップデートを計画しているという。
単なる消耗品ではなく、長く愛用できる「機能的な傘」提供するアンベル社。その挑戦は、日本のモノづくりの精神と最新の素材技術が融合した、新たなプロダクトの可能性を示している。

Tags

この記事はいかがでしたか?

シェアリンクをコピーしました

Related Articles

Related Database