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新たなアプローチで再構築された ASICS SportStyle(アシックス スポーツスタイル) 「GEL-YETI TOKYO HI」の誕生秘話

2025.01.17
2000年にトレイルランニングの競技後の足をリラックスさせるためのアフターシューズとして開発された「GEL-YETI TOKYO HI(ゲル イエッティ トウキョウ ハイ)」。今回「ASICS SportStyle」が誇るこのエポックメイキングなモデルを日本発信によってモダンに再生させるスペシャルプロジェクトが始動。
 
そのデザインクリエイターを務めるのがミタスニーカーズのクリエイティブディレクターである国井栄之さんだ。今回の開発秘話とこのモデルに対する想い、デザインへのこだわりなどお話を伺ってきた。

アフターアウトドア用のリラックスシューズとして開発

直近では「GEL-LYTE Ⅲ“TRICO”(ゲル—ライト3“トリコ”)」など「ASICS(アシックス)」でもさまざまな“SMU(スペシャルメイクアップ)”を手掛ける国井さん。
 
今回は2000年代にファッション業界でもコアな層に刺さった「GEL-YETI」をモダンに再生させた「GEL-YETI TOKYO HI」のデザインクリエイティブを務めた。そんな国井さんにこのモデルに関して聞いてみるとこう答えてくれた。
 
「『GEL-YETI』というモデルは『ASICS』の“TRANSCEND(トランシエンド)”シリーズという、1999年の秋冬に立ち上がったカテゴリーで展開されていました。
 
“TRANSCEND”というキーワードは“自然の中でのトレーニング”というアイディアから生まれていて、本来の競技場から飛び出し、アウトドアのフィールドで体を鍛えるという目的で作られました。
国井さんの手により新たなアプローチで再構築された「GEL-YETI TOKYO HI“MUSHROOM”」。優れた機能性とストリートで映えるデザインが高次元で融合したスペシャルな一足。26,400円(税込)
“TRANSCEND”は直訳すると“超越する”や“飛び越える”という意味があるのですが、当時の記憶を辿ると岩場を飛び越えているようなヴィジュアル広告で被写体のモデルが『GEL-YETI』を履いていたのをうっすらと覚えています。とにかく、アウトドアアクティビティ後のリラックスシューズとして開発されたのが最初ですね」
 
また2018年に平昌で開催された冬季オリンピックでは、日本選手団のユニフォームとして、その足元にスペシャルバージョンの「GEL-YETI」がブーツとして採用されていたことも国井さんは教えてくれた。

都市生活が快適になるように進化したディテール

その後、2020年に「NONNATIVE(ノンネイティブ)」とのコラボによって大きくピックアップされ、ファッション感度の高い人々の記憶にも新しい「GEL-YETI TOKYO HI」が生まれた。今回のスペシャルプロジェクトに参画した経緯についても国井さんはこう語ってくれた。
 
「現在のY2Kのランニングシューズのトレンドを牽引したのは『ASICS』だったと思いますが、若い世代が思い描く『ASICS』はどうしても『GEL-NYC』や『GEL-KAYANO』シリーズになってしまいます。
ブーツのようなゴツゴツとしたアウトソールは、滑りやすい路面状況でもグリップ力を高めてくれそう
もっと大きな意味での『ASICS Sports Style』と考えたときに、アーカイブにあったものを現代的に再生させる作業も必要だと思いました。もちろん商品の幅を広げすぎて埋もれてしまう場合もありますが、ランニングではなくライフスタイルカテゴリーでの提案として、また次の世代への種まきという意味も込めてプロジェクトに参画させてもらいました」
 
さまざまなモデルを知ってもらいたいというスニーカーに対する真摯な姿勢がうかがえる国井さん。今回のプロダクトは当時リリースされていた「GEL-YETI TOKYO HI」よりも、もちろんアップデートが加えられている。進化した部分はどこなのかも聞いてみると国井さんはこう続ける。
ホールド感を高めるためにハトメの位置やシューレースの通し方をアップデート。シューズの脱ぎ履きが多い日本のライフスタイルに順応するべく、ストッパー付きシューレースに変更した
「まずはシューレースの通し方がアップデートされています。当時はアフターシューズとして足をリカバリーするために作られていたので、ホールド感を高めるよりも足をリラックスさせることに重きを置いたシューレースの通し方になっていました。
 
ただ、街で履くとなるとある程度のホールド感は必要だと思ったので、ハトメの付け方などシューレースの通し方を変えています。また都市生活ではシューズの脱ぎ履きも多いので、スピードレースに変更しました」

 A面とB面を併せ持つスペシャルなプロダクト

既存のモデルからアップデートした部分はまだまだあるようだ。国井さんのこだわりは尽きることはない。
 
「天然素材が持つ特性もシューズに落とし込んでいます。サステナブルな観点からみると、シンセティックレザーが持つ耐久性や使い勝手の良さも理解しています。ただ、本物の天然皮革だと素材が呼吸しているので、靴の中の湿気を放出してくれるし、足馴染みも良くなります。だからこそ、アッパーには天然皮革のスウェードを採用しています。
アッパーの表素材は天然のスウェードを採用。内側には通気性や足当たりを考えたメッシュを貼り付けている
またインソールにはコルク素材を使っているのも同じことが言えますね。コルク素材は抗菌、消臭、調湿効果があるので、特に蒸れやすいブーツにあるとうれしい機能性を付加しています」
 
今回のカラーリングが“MUSHROOM”と名付けられたのも意味がある。当時のオリジナルを履いていた人のことをイメージしながら咀嚼し、色そのままの意味だけではないニックネームとして、このカラーネームを提案したそう。
インソールにはさまざまな機能性を持ったコルク素材を採用したのも、国井さんならではのアイディアだ
最後に「GEL-YETI TOKYO HI“MUSHROOM”」の魅力について尋ねると、国井さんは力強くこう答えてくれた。
 
「若い世代には“『ASICS』ってこういうスタイルだよね”と固まっている部分があると思います。元々『ASICS』は、当初からオリンピックに採用された競技のすべてのシューズを作っていた生粋のスポーツメーカーなんです。
 
“アスリートファースト”でモノ作りを続けてきたブランドではありますが、当時のデザインを手掛けていた人に話を聞くと“数値的な機能でモノを作っているけど、高揚感といった人の心を鼓舞させるデザインや遊び心を、常にどこかに入れていた”という話を聞いて感銘を受けました。
 
自分たちはこういったコラボのプロダクトを作るときには、ただトレンドだからやりました……ではなく、裏にストーリーを作り込んでいます。『ミタスニーカーズ』が展開するプロダクトには常に説明できるA面と、裏テーマがあるB面を用意しているので、詳しい話はお店でスタッフに尋ねてみてください」
 
本気で考えられた機能性やディテールと、ちょっとした遊びを注入する優れたバランス感が「ミタスニーカーズ」、そして国井さんが提案するプロダクトにはある。「GEL-YETI TOKYO HI“MUSHROOM”」も間違いなくそういった側面を持っているので、ぜひ、手にしてもらいたい。

PROFILE

国井 栄之(くにい しげゆき)

mita sneakers クリエイティブ ディレクター
東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでクリエイティブ ディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛けるが、ニューバランス関連でのコラボや別注でもその手腕を発揮。現在は虎ノ門ヒルズにオープンしたショップ「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」の外部ディレクターも務める。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル2F&1F路面店
TEL:03-3832-8346
営業時間
(平日)11:00~19:30、(土日・祝日)10:00~19:30
https://www.mita-sneakers.co.jp/

Photo by Hiroyuki “Lily” Suzuki(StudioLog)
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)

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