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1950年代の“後付けパーカ”を現代に蘇らせた、チャンピオンのクラフツマンシップ
チャンピオンの創業は1919年に遡る。縮みを軽減するため、本来は縦向きに使用する生地を横向きに使用した「リバースウィーブ」のスウェットシャツをはじめ、数多くの革新的アスレチックウエアを世に送り出してきたブランドだ。
そんなチャンピオンが2019年、創業100周年を記念してリリースしたコレクションが「TRUE TO ARCHIVES(トゥルートゥーアーカイブス)」だ。その名のとおり、歴史のなかで培ってきたブランドのアーカイブを忠実に再現した“完全復刻ライン”だ。
その「TRUE TO ARCHIVES」より、どこから見てもヴィンテージそのものという出来栄えの“後付けパーカ”が登場した。連綿と受け継がれてきたクラフツマンシップを体現する逸品の詳細について、チャンピオンのPRチームに取材した。
生地の2重構造がそのまま商品名に
“後付けパーカ”と耳にして、その見た目がすぐ頭に浮かぶだろうか。フードとボディが一体ではなく、フードを後から縫い付けた仕立てのパーカだ。そのデザインは1950年代に生まれたといわれている。当時のものはきわめて希少ゆえ、古着ファンの間では非常に人気の高いアイテムとなっている。“後付けパーカ”というアイテムは、当然ながらチャンピオンのアーカイブにも存在する。その事実を示すとおり、すでに「TRUE TO ARCHIVES」で販売されているモデルがある。商品名は「ダブルシックネスプルオーバーアフターフーデッドスウェットシャツ」、品番は「C3-C108」だ。ネイビーとシルバーグレーの2色で展開し、それぞれ背面に文字プリントが施されている。


今回新たに紹介する“後付けパーカ”は、C3-C108と同じ商品名ながら、デザインに加工を施した新モデルだ。
品番は「C3-C109」。「C3-C108」とは別の仕上がりとなっている。

「1950年代半ばに、アスレチックラインとして販売したアイテムの復刻版です。裏起毛素材を2重構造にしてかさを上げ、寒い時季にも対応する保温性を持っています」
生地の2重構造についてもう少し詳しく説明しよう。裏起毛のスウェット生地を2枚用いて、その起毛面同士を合わせている。すると生地と生地の間に空間(デッドエア)が生まれ、より保温性が高まるというわけだ。
2重の生地はどちらの面も、起毛のない面が表にくる。これをヴィンテージ業界では“ダブルフェイス”と呼び、珍重される。比較的古い年代のスウェットシャツやスウェットパーカに多く見られる生地構造だ。
チャンピオンの過去のカタログのなかには、この生地について「DOUBLE THICKNESS」という説明があるそうだ。そう、商品名の「ダブルシックネス〜」はこの文言に由来する。
構造について先に触れてしまったが、ふっくらとしたこの生地には独特の風合いが備わっており、その製法にも並々ならぬこだわりがある。
「糸の紡績、編み立て、染色、縫製から二次加工まで、すべて日本で生産しています。旧式のシンカー編み機を使ってゆっくりと編み立てます。テンションが強くかからないので、ふっくらと仕上がるのです」
ちなみにこの編み機は、「C3-C109」の元となる商品が販売された当時と同年代、すなわち1950年代頃のものだという。
細部にいたるまで忠実に復刻
「丸首のスウェットシャツに、防寒のために後からフードを付けたことがこのアイテムの起源です。ネックのリブと本体の生地の間に、フードを挟み込むようにして付けています」この部分こそ“後付けパーカ”というアイテムの核心である。折り返したリブと、本体およびフードのダブルフェイス──つまり合計6枚分の生地が重なっているため、縫製にはとても苦労したという。

さらにディテールに目を向けてみよう。首のリブには別の生地を使用し、袖と裾には「筒リブ」を採用している。そのため肌当たりが柔らかく、快適な着心地を実現している。
そして「C3-C108」との大きな違いは、ヴィンテージ感を演出するための加工である。大胆な文字プリントはデザインとして施されている。
「製品作りの最終工程で、実際に着用した際の経年劣化とその風合いをイメージし、手作業で加工しています。そのため商品ひとつひとつに個体差があり、少し見え方が違ってきます。
ステンシルタイプの文字を用いた前面のプリントは、当時のデザインを踏襲したものです。インクを生地に直接染み込ませる“染み込みプリント”とは異なり、今回はステンシルプリントを採用。表面にはざらつきがあって味わいのある質感に仕上がっています。生地の風合いをそのまま生かすことができ、着込むほどに自然な経年変化を楽しむことができます」

チャンピオンのアイコンである「Cロゴ」のワッペンが左袖にない点も、当時に仕様そのままだ。生地、縫製、デザイン、プリント、そして加工にいたるまで徹底的にこだわり、1950年代の“後付けパーカ”を完璧な形で現代に蘇らせたのである。
100年を超えて受け継がれるクラフツマンシップ
アーカイブから発掘したこの“後付けパーカ”、つまり「C3-C109」のオリジナルが販売されたのは1950年代半ばである。第2次世界大戦後の経済成長とメディアの発展により、アメリカが大きく変化した時代であった。「当時のアスレチックウエア業界の動向について正確なことはわかりませんが、やはり市場は活況を呈していたと思います。チャンピオンは主にカレッジウエアを販売していました。アメリカンフットボール、バスケットボール、トラック競技といった、カレッジスポーツ用のアスレチックウエアです」
染み込みプリントの「FOOTBALL」はおそらくアメリカンフットボールを指し、「96」は選手の背番号だったのであろう。カレッジなのか、それとも高校や地域のクラブチームなのかは定かではない。が、アメフトのトレーニングウエアとして使われていたことは、ほぼ間違いないはずだ。
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「すでに『TRUE TO ARCHIVES』のアイテムを購入されている方、チャンピオンのヴィンテージをよく知る方にも、十分満足いただける出来栄えだと自負しています。
もちろん“後付けパーカ”を知らなかったというお客様にも、ぜひ着用していただきたいです。この『C3-C109』を通じて、100年以上の歴史を持つチャンピオンのクラフツマンシップを感じていただければ幸いです」
冒頭述べたとおりチャンピオンの歴史はきわめて長く、その資産ともいえるアーカイブの量は膨大である。そのなかから掘り起こした傑作を、今の持てる技術の粋を集めて蘇らせたのが、「TRUE TO ARCHIVES」の商品群だ。
この最新の“後付けパーカ”に注目するのはもちろんのこと、コレクションの今後の動向も、注意深く見つめていきたい。
Text by Tomoshige Kase







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