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なぜ体感マイナス10℃が実現したのか! コカゲルが実現した遮熱帽子の構造

2026.06.24
猛暑が常態化するなか、帽子に求められる役割は変化しつつある。日差しを遮り、紫外線を防ぐだけでなく、直射日光を浴びたとき、頭部の温度上昇をどう抑えるか。そんな喫緊の課題から生まれた帽子が、株式会社シゲマツの「コカゲル」だ。
「体感マイナス10℃」を掲げた同シリーズは、2021年の販売開始からシリーズ累計40万個を売り上げている。日常の外出から屋外作業、アウトドアまで活躍の場を広げるアイテムだ。その涼しさは、どのような発想と技術から生まれたのか。株式会社シゲマツの代表取締役社長を務める重松良克さんに話を聞いた。

PROFILE

重松 良克(しげまつよしかつ)

株式会社シゲマツ
代表取締役社長
1974年大阪府生まれ。大学卒業後、鞄メーカー勤務を経て、家業である帽子メーカーに入社。45歳で早稲田大学大学院経営管理研究科を修了する。現在は帽子を通じた社会課題の解決を模索する。

スタンダードシリーズの「コカゲル MW バケットハット」はネイビー、イエロー、ブラック、ワインなど全7色展開。4,290円(税込)

「日差しを遮る」だけでは足りない時代に

コカゲルを開発したのは、1973年に創業した総合帽子メーカー、株式会社シゲマツだ。帽子の企画・製造を手がけてきた同社が、遮熱帽子に取り組んだ背景には、近年の猛暑による熱中症リスクの高まりがある。
「猛暑での熱中症が社会問題としてクローズアップされるなか、2020年に猛暑対策商品として企画を立ち上げました。当初は“頑張るママさんを応援”というテーマで、ベビーカーを使用していて日傘が差せないお母さんをターゲットにしました」
帽子は本来、日差しや紫外線から頭や身体を守るものとして使われてきた。しかし近年の猛暑環境では、それだけでは十分とはいえない。直射日光を浴びたとき、頭部の温度上昇をどう抑えるかが大きな課題となっている。そこで同社が着目したのが、「遮熱」という発想だった。
その遮熱性能を示すのが「体感マイナス10℃」というキーワードだ。
「公的機関での遮熱性試験では、遮熱率75%という最高水準の評価値を取得しています。ただ、その数値だけでは消費者への認知が難しいと考え、分かりやすく訴求できるよう自社検査装置を開発しました」
その装置を使った試験では、専用ボックスの中に頭頂部に温度センサーを搭載したダミーヘッドを2体用意する。一方にはコカゲル製品、もう一方には遮熱性のない帽子を着用させ、同条件で白熱灯を照射し、15分後、温度センサーからモニターされた数値を比較した。「体感マイナス10℃」は、頭頂部で最大約10℃の温度差が確認されたことを示している。
コカゲルと遮熱性のない帽子を同条件で15分間照射。頭頂部の温度差は約10℃に

涼しさの正体は光と熱を跳ね返す遮熱材

そんなコカゲルのテクノロジーを見ていこう。キャップからハットタイプまでさまざまなデザインがラインナップされているが、今回注目したのは、スタンダードシリーズの人気モデル「コカゲル MW バケットハット」だ。
遮熱性能の核となるのは、帽子の表地と裏地の間に挟み込まれた遮熱材である。この遮熱層を備えたシート状の遮熱材が光と熱を跳ね返す役割を担う。
一般的な帽子でも、日差しを遮ることはできる。しかし、直射日光を浴び続ければ帽子そのものが熱を持ち、その熱が頭部に伝わっていく。そこで遮熱材を使うことで、帽子内部へ熱が移動しにくい構造にしているのだ。
つば部分はUVカット率100%、頭部はUVカット率99.9%。さらに遮熱カット率75%を備え、日差しを防ぎながら、熱そのものを頭部に届きにくくする。それがコカゲルの涼しさを支える基本構造である。
本体の生地と裏地の間に遮熱材を挟み込む構造。光と熱を反射・遮断しながら、空気穴から湿気を逃がし、遮熱性と通気性を両立する

遮熱と蒸れにくさを両立できる理由

ただ、夏の帽子は熱の移動を抑えるだけでは十分ではない。内部に遮断しきれなかった熱や発汗による湿気がこもれば、かえって不快に感じてしまう。遮熱帽子には「蒸れ」をどう逃がすかも求められる。
そこで遮熱材そのものと帽子の構造の両面に注目し、通気性を向上させた。
「つば部には通常の遮熱材を用い、頭を覆うクラウン部にはパンチホールの開いた素材を使用しています。また、サイドにスリットを設けることで、空気が通りやすい構造にしています」
クラウン部には穴の開いた遮熱材を使用。さらに裏地にメッシュを使うことで通気性も確保する
さらにコカゲルは機能性だけでなく、日常でかぶりやすい帽子であることも重視している。
「遮熱材を用いるため、表地はできるだけ軽量のものを選び、副資材の使用も極力抑えました。汗止めには、吸水速乾性に優れた生地を使用し、快適性を高めています」
汗止め部分には、吸水速乾性に優れた東レのフィールドセンサーを採用。さらに抗菌防臭加工を施すことで、汗のかきやすい夏場でも快適に使えるよう配慮し
「コカゲル MW バケットハット」では、表地に綿80%、レーヨン20%の生地を採用している。天然素材と化繊のよさをブレンドすることで、幅広いユーザーが日常的に使いやすい質感を目指したという。
「デザインやカラー展開は、飽きのこないもの、衣服とのコーディネートを考慮したものにしています」
日常の外出やアウトドア、屋外作業など、さまざまな場面で使いやすいデザインもコカゲルが支持される理由

家庭用洗濯機で洗えることも夏の重要な機能

汗をかきやすい夏に使う帽子にとって、「洗えること」も重要な機能である。
「夏物帽子を販売するときによくお客様に聞かれるのが、“洗濯が可能かどうか”です」
「コカゲル MW バケットハット」は、その声に応えるように洗濯機洗いに対応している。
「コカゲルの遮熱材は洗濯によって機能が落ちるものではないため、当初から手洗い可能な帽子として販売してきました。ただ、洗濯機洗いに対応させるには、表地の縮みや型崩れにも配慮する必要があります。そこでこのモデルでは、表地にワンウォッシュ加工を施すことで、洗濯機洗いに対応しました」
洗濯時はネットの使用、洗濯後は陰干しが推奨されているが、家庭で手軽に洗えることは夏場に使ううえで大きな利点となる

販売数はシリーズ累計40万個を突破

販売開始から6年目を迎えたコカゲルは、シリーズ累計40万個を販売している。
「ご愛用者様からは、『涼しさを実感できる』『長時間かぶっても蒸れない』『洗濯できるのがありがたい』といった声をいただいています。今後は日常使いだけでなく、作業現場での活用も視野に入れ、工場や屋外作業を行う企業のユニフォームへの導入も考えています」
日差しを避けるための帽子から、頭部の熱環境を整えるギアへ。コカゲルは、遮熱という新たな発想によって、猛暑時代における帽子の役割を再定義している。

Text by Ryota Osujo

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