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マイケル・ジャクソンも愛用した 「G.H.BASS(ジーエイチバス)」の 歴史とこだわりを紐解く
1936年にノルウェーの農民が履いていたモカシンシューズからインスピレーションを得て、ローファーであるウィージャンズを開発した「G.H.BASS(ジーエイチバス)」。世界で初めてローファーを生み出したこのブランドは、どのような歴史を歩み、どんなこだわりを貫いてきたのだろうか。そして、なぜ若者に支持を得ているのか。今回はGMT inc.のプレスを担当する三浦由貴さんにお話を伺った。
世界で初めて“ローファー”を作り出したブランド
1876年にメイン州ウィルトン市にて、ジョージ・ヘンリー・バス氏によって設立された「G.H.BASS」。その歴史について三浦さんはこう語ってくれた。「ローファーのイメージが強い『G.H.BASS』ですが、彼が最初に手掛けたのは、農業や林業の従事者に向けたブーツでした。改良を重ねることで厳しい要望を満たす製品を作り上げ、労働者たちの間で広く支持されるようになりました。
やがてアウトドア向けのシューズや戦時中ではパイロット用の航空ブーツを製造するなど事業を拡大していきました。そこで生まれたのが“目的に合わせて可能な限り最高の靴を作る”という哲学で、それは今でも受け継がれています」
ところでローファーのルーツには諸説あるものの、ノルウェーの靴職人がこのデザインで作成した靴が有力なものとなっている。そのルーツに関しても三浦さんはこう続ける。

「『G.H.BASS』ではローファーのことを『WEEJUNS ®(ウィージャンズ)』と呼んでいますが、これは『ノルウェーの』を意味するNorwegian(ノルウィージャン)という言葉に由来します。

1936年に元祖となるペニーローファーが誕生しますが、これはノルウェー人が履いていたモカシンシューズにインスパイアされたものであり、遊び心を込めて名付けられたのが『WEEJUNS ®』なのです」
世界で初めてローファーを作り出した「G.H.BASS」の商品には、その由来にリスペクトを込め、現在もインソールに“WEEJUNS ®”という文字が刻まれているのだ。
“ムーンウォーク”や「スリラー」のMVでも着用される
ハリウッドではアメリカの伝説的な俳優ジェームズ・ディーン、そして政治の世界ではアメリカ合衆国第35代大統領として知られるジョン・F・ケネディも、「G.H.BASS」のローファーを愛用していたのは有名な話。
そして1950年代、ペニーローファーの上品な佇まいは、アイビーリーグと呼ばれるアメリカ名門大学のキャンパスで圧倒的な人気を博すようになり、アイビーやプレッピーといったスタイルの着こなしに取り入れられ、「G.H.BASS」の第1次ブームが巻き起こる。

ただ、「G.H.BASS」の名を不動のものにしたのは、やはりマイケル・ジャクソンの存在が大きい。彼の逸話についても三浦さんはこう語る。
「マイケル・ジャクソンが初めてムーンウォークを披露した『モータウン25』のステージの後、インタビューで記者から“どうしてそんな動きができるのか”と聞かれ、“『G.H.BASS』を履いているからだよ”と答えたという逸話を聞いたことがあります。
また爆発的にヒットしたショートムービーのような『スリラー』のMVでも、『G.H.BASS』の『ローガン』というモデルを履き、ローファーに白いソックスを合わせるという彼の着こなしが新しいスタイルとして話題を呼びました。それを機に、第2次ブームとして再び大ヒットをもたらしたのです」

見た目だけではなく履き心地のよさも「G.H.BASS」の大きな特徴だ。三浦さんは製法に関しても言及してくれた。
「『G.H.BASS』のローファーは、マッケイ製法に近い手法で縫われています。モカシン製法とも呼ばれるこの底付けは、袋のように足を包み込むのが特徴で、軽やかな履き心地はローファーの用途を考えると相性抜群です。

シンプルな製法だからこそアウトソールの返りにも優れ、新品でも即座に足に馴染む柔軟性を備えています。『G.H.BASS』のローファーは100年近くの間ほぼ製法を変えず、発祥当時のままの伝統を継承しているところにプライドを感じます」
第3次ブームを迎える現在、若い世代にも浸透
「G.H.BASS」の中でも定番はやはり「ラーソン」と「ローガン」だ。その定番2モデルに関しても三浦さんはこう続ける。「『ラーソン』は、サドルにビーフロールを採用しているのが特徴です。サドルの両端をモカシン縫いの部分に大きく巻きつけ縫い上げたデザインで、通常のハーフサドルに比べると甲部分に迫力が出て、よりカジュアルな印象になります。

マイケル・ジャクソンが愛用したのが『ローガン』です。マッケイ製法で作られるスリッポンタイプのコインローファーで、ビーフロールがない分、甲がスッキリして見えるので、よりドレッシーな印象が生まれます。僕が学生のときに初めて買ったのもこのモデルになります」


現在、「G.H.BASS」は第3次ブームの真っ只中にある。そんなブームが巻き起こっている理由に関しても三浦さんはこう語る。
「スケートブランド『Supreme(シュプリーム)』のルックで、人気のスケーターであるジェイソン・ディルが『ラーソン』の2トーンカラーを履いたことで、若い世代にも人気に火がついたようです。
また日本でもファッションYouTuberの『OUR’s(アワーズ)』が、自分たちのチャンネルで2トーンカラーの『ラーソン』を紹介したことで、路面店にも行列ができるなど支持されているようです。
僕らの世代はアイビーやプレッピーで人気を博した歴史を知っているだけに、若い世代がストリートなどカジュアルなスタイルに合わせているところは面白いですよね」

現在は、スーツだけでなくカジュアルにも合わせられる革靴として定着したローファー。「G.H.BASS」は現在、生産拠点はアメリカからエルサルバドルになったものの、伝統の製法や靴へ向けられる哲学は健在だ。
今ではあらゆるメーカーがローファーを製作しているが、その元祖は、「G.H.BASS」の「WEEJUNS ®」であることはしっかり覚えておきたい。
PROFILE

三浦 由貴(みうら ゆうき)
GMT inc プレス
世界各国のシューズを取り扱い、卸販売を行う「GMT inc.」。同社の名物プレスとして活躍するアパレル業界きってのファッショニスタ。現在も同社の広報活動、商品企画、撮影のディレクションまで幅広く活躍。雑誌などのスナップでもスタイリッシュな姿を披露し、そのアイテム選びも個性的。愛称はミウラシュラン。
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)













