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大阪・関西万博の公式ユニフォームに採用! 雪駄を進化させた「goyemon(ゴヱモン)」の傑作サンダル「unda」を徹底解剖
新作が出れば即完売。パリコレブランドとコラボし、大阪・関西万博「日本館」のユニフォームにも採用され注目を集める、日本のプロダクトブランドがある。「goyemon(ゴヱモン)」だ。
なかでも「unda-雲駄-」は、その代表的なアイテムだ。日本の伝統的な履物「雪駄」を現代的に解釈した新しいタイプのフットウエアであり、ユニークなデザインと雲の上を歩くような履き心地で熱狂的なファンを持つ。
undaに込められた「和」のデザインの可能性とテクノロジーを、デザイナーの2人に聞いた。
PROFILE

大西 藍(おおにし あい)
株式会社goyemon FOUNDER/CEO
PROFILE

武内 賢太(たけうち けんた)
株式会社goyemon COO/CONCEPTOR
伝統とテックの要素を取り入れた「左右がない」サンダル

「unda-雲駄-」の外観は、雪駄によく似ている。しかし、よく見るとミッドソールにエアクッションがついている。goyemonコンセプターの武内賢太さんはデザインについてこう語る。
「もともとの『雪駄』は草履の底に革を張ったもので、『雪』の上を歩くために作られたと言われています。僕たちはスニーカーのソールをつけることで、『雲』の上を歩くような履き心地を目指しました。だから『unda-雲駄-』という名前なんです」

goyemonのショップ兼アトリエでundaを履かせていただいた。
たしかにスニーカーのようなフワフワとした履き心地で、アウトソールのグリップが利いている。

それ以上に驚いたのが全体のフォルム。「雪駄」そのものの形の面白さだ。
「伝統的な雪駄と同じで、undaには『左右』がありません。左右を入れ替えて履くことで靴底を減りにくくする日本人の知恵ですね。これを小指とかかとがはみ出すくらい小さめに履くことが『粋』とされていた。undaでも同じ履き方をおすすめしています」と、大西藍さんは言う。

「雪駄は平面で足裏全体に体重がかかるため、実はバランスが取りやすく安定しているんです。この良さを活かしながら加重バランスの設計を繰り返しました」(武内さん)
「開発時はアウトソールの材料になるスタイルフォームをカッターで削って、何十回もモックアップを試作しました」(大西さん)
「雲の上の履き心地」を実現する細やかな機能設計

独特な履き心地の秘密は細やかな機能設計にある。
「本来の雪駄は竹の皮を細く裂いて編んだ生地を、圧縮した紙製の芯材に巻きつけています。undaはその構造を使いながらクッション材をはさむなどして現代的にアップデートしました」(武内さん)
「特にストレスがかかるのは鼻緒部分です。履きこむほどに足にフィットしていくよう、現在も素材や構造を細かく改良しています」(大西さん)

undaのファーストモデルは2018年にリリースされ、ファブリックやカラーリングのバリエーション、限定モデルも含めると100種類を超える。A BATHING APE®、White Mountaineering、FR2など大型ブランドとのコラボも絶えない。

インパクトあるデザインから、一見するとアイディア先行の商品にとられかねない。
しかし取材中にデザイナーの2人が話していたのは、日本文化への深いリスペクトと開発時の緻密な設計だった。goyemonとは何者なのか?
「一瞬で共感を生む」goyemonのデザイン方針
goyemonは都立工芸高校の同級生だった2人が、2018年にundaとともに立ち上げたブランドだ。「社会に出た後に2人でメッセージのやり取りをしていて、『一緒に何かやろう』と盛り上がったのがきっかけです。クラウドファンディングで開発資金を集められないかと思い、まずは成功したプロジェクトを調べ始めました。
すると、2つの傾向が見つかったんです。それが『日本の伝統文化』と『最新テクノロジーを使ったガジェット』。雪駄とスニーカーを組み合わせる発想もそこから出てきました」(大西さん)

現在のundaの盛り上がりからは意外に思えるが、ファッションブランドを作りたいわけではなかったという。
「『日本の伝統』『最新ガジェット』に投資が集まっていた理由は、歴史というストーリー性と、ワクワクする未来への期待感だと思いました。goyemonはそれをプロダクトで表現していくブランドです」(大西さん)
goyemonのプロダクトは、提灯をアップデートしたポータブルライト「ANCOH-庵光-」、切子細工を採用した耐熱グラス「Fuwan-浮碗-」など幅広く、どれも一貫した世界観を持つ。日本の伝統工芸品は数ある中で、なぜ最初の製品がundaだったのか。

「ほとんどのアパレルブランドはオリジナルのフットウエアを持たず、コラボで展開していますよね。つまり唯一無二のフットウエアを作れれば、僕たちが尊敬するブランドと仕事ができる可能性がある。最速でポジションをとるための方法でした。
さらに、最初のプロダクトは、何よりも『一瞬で共感を呼ぶ』必要がありました。写真一枚で、コンセプトと機能とブランドの価値観が伝わる何か。だったら『雪駄×スニーカー』しかないだろうと」(大西さん)
無名ゆえ戦略で勝負した。2人には商品製造の知識はあったがフットウエアは未経験で、開発には半年以上かかった。しかし苦労はなかったと話す。
「よくインタビューで聞かれますが、本当に苦しかった記憶がなくて。試行錯誤はしましたが、作りたいものを実現するために本気で楽しんでいただけで」(武内さん)
「雪駄の職人さんに協力いただいたときのやりとりをよく覚えていますね。伝統的なものづくりに新しい試みを取り入れるために作り方を紐解いて、どうすれば実現できる? と常に考えていました」(大西さん)
undaの天板生地は雪駄職人が仕立て、一番人気のファブリックは京都で織られたもの。すべてをmade in japanで手がけ、リリース時は1週間で2,000万円を超える支援金を集めてデビューした。
そして、いま新しい展開を迎えている。
万博ユニフォームに採用。世界に踏み出す新しい日本の履物
大阪・関西万博「日本館」。その正式ユニフォームの足元はundaだ。
「ユニフォームを手がけた中田優也さん(『postelegant』デザイナー)がundaを愛用されていて、声をかけていただきました。安定性を高めるためにゴムを巻き、ポリ混紡の糸を粗く織った滑りにくい生地を新しく採用しています」(大西さん)
ユニフォーム採用までには多くの機能的な制約をクリアする必要があったが、いままでのアップデートやコラボで培った開発力が生きた。現在、日本館のVIP対応時にundaが着用されている。
さらに、undaの派生プロダクトは増え続けている。
「夏に人気なのが、EVA製のundaです。クッション性が高く、水辺でも使えるので、夏のシーズンにもぴったりです。

『unda TEGU』にはお神輿を担ぐ人が雪駄を足にくくりつける『雪駄止め』にヒントを得たストラップを採用しました。ネオプレン素材の足袋も自社開発しています」(武内さん)

undaを発売して7年。現在は渋谷に直営店をオープンし、国内外からファンが訪れる。
「goyemonのショップにいると、お客さんが友達を連れてきてundaの説明をしているのを見かけます。そのときが一番うれしいですね。僕たちがこだわってきたストーリーにユーザーも加わってくれているんだと」(武内さん)
「海外からの反応は『Amazing!』という感じ。現在は自社のECでオーダーを受け付けていますが、いずれは海外にも売り場を持たなくてはと思っています」(大西さん)
2人のデザイナーの話を聞き、undaの海外展開は間近だと感じた。日本文化とストリートファッションが、いままでにない形で融合しているからだ。
その裏には、伝統へのリスペクトと、緻密なディテールの追求、テクノロジーと遊び心が息づいていることを強調したい。とても「日本らしい」フットウエアだ。
Text by GANTAN
















