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アメリカでは通学バッグ、日本ではアメカジの定番「JANSPORT(ジャンスポーツ)」はバックパックの先駆者だ
1967年、アメリカ・ワシントン州シアトルで誕生したバッグブランド「JANSPORT(ジャンスポーツ)」。本国アメリカでは学生の通学バッグとして、日本ではアメカジの定番バックパックとして親しまれている。
身近な存在として知られるJANSPORTだが、実は50年以上にわたる歴史を持つブランドだ。今回は、合同会社ユニグローブ ゼネラルマネージャーの塩原 育美さんに、ブランドのルーツや定番アイテムについて話を伺った。
「JANSPORTの歴史を語るうえで、まず登場するのが3人の若者です。工業デザインを学んだマレー・プレッツ氏と、そのいとこであるスキップ・ヨーエル氏、そしてマレーのガールフレンドであったジャン・ルイス氏です」

写真右 ジャン氏
「1967年当時のアメリカは、時代的にヒッピー文化が広がり始めた頃で、彼らは就職はせず、登山や旅など自分たちの好きなことを楽しんでいたそうです。
そんなある日、マレー氏が登山用バックパックに使われるアルミフレームを、身長に合わせて調整できるアジャスタブル式として開発しました。
当時の大型バックパックにはアルミフレームが付いているものが一般的でしたが、サイズ調整ができるものはなく、この仕組みは非常に画期的だったといわれています。
このフレームは、アルコア社のデザイン賞を受賞します。マレー氏はこのフレームに合わせたバックパックを作るため、縫製技術を持つガールフレンドのジャン氏に製作を依頼しました。
その際にマレー氏は、『このビジネスで成功したら、ブランド名に君の名前を付けるよ』とプロポーズをしたそうです。このエピソードが、JANSPORT誕生のきっかけとなりました」

アイディアマンのスキップ氏が生んだ「キャンパスバッグ」という発想
こうしてJANSPORTがスタートし、アウトドアやレジャー、スポーツに適したアイテムを展開するなかで、創業メンバーのひとりであり、セールスを担当していたスキップ氏はある変化に着目した。その気づきは、やがてブランドの歩みに大きな影響を与える重要な出来事へとつながっていく。「1980年代初頭まで、学生はみんな教科書を手に抱えて通学していました。雨の多い土地柄のシアトルでは、教科書が雨に濡れてしまうことも多く、学生たちはJANSPORTがトレイルハイク用として製造していたジッパー付きの小型バックパックを通学用として使うようになりました。
ここに着目したスキップ氏は、ワシントン大学をはじめとするさまざまな大学に通学用バックパックを提案し、大学のBookstore(購買)で購入できるようにしました。その結果、『キャンパスバッグ』という概念が生まれていったといいます」
デイパックの基礎を築いた「SUPERBREAK(スーパーブレイク)」の誕生
1984年、JANSPORTはキャンパスバッグとして、デイパックの元祖的存在ともいえる「SUPERBREAK(スーパーブレイク)」を発売した。現在では定番中の定番として知られるSUPERBREAKだが、当時はキャンパスバッグとしてエポックメーキングな存在だった。発売翌年の1985年には、全米で1万個以上を売り上げる大ヒットを記録している。
ここからは、このSUPERBREAKというアイテムについて、さらに詳しく見ていこう。
「シンプルなデザインや26リットルというサイズ感は、発売から40年以上が経った現在でも大きく変わっていません。一方で、現代のニーズに合わせてサイドポケットや内側にPCスリーブを追加するなど、細かなアップデートが施されています。
そうした改良を加えたモデルが『SUPERBREAK PLUS(スーパーブレイク プラス)』で、現在では定番的なアイテムとなっています」


SUPERBREAKを進化させた「RIGHT PACK(ライト パック)」
1990年には、すでにブランドのアイコンモデルとして君臨していたSUPERBREAKをベースに、そのアップデート版ともいわれる「RIGHT PACK(ライト パック)」がリリースされた。ここからは、このアイテムについても詳しく話を聞いていきたい。
「RIGHT PACKは、SUPERBREAKのアップデートモデルとしてリリースされたアイテムです。アメリカの教科書は、特に昔は非常に重く分厚かったため、バックパックに入れて持ち歩くと底が傷みやすいという課題がありました。そこで、底部にレザーを配して補強しようという発想から生まれたモデルだといわれています。
サイズはSUPERBREAKより一回り大きい28リットルで、2つのフロントポケットがついています。雨水の侵入を防ぐフラップがつき、内部には小物の整理収納に適したオーガナイザーや、キークリップを装備しています。そして深めのマチで、文庫本なども入るサイズになっています。
また、現在は『CORDURA®(コーデュラ)』のポリエステル素材が使用されています。SUPERBREAKと並び、このRIGHT PACKもJANSPORTを代表する定番モデルとして選ばれているアイテムです」


現代の学生に選ばれるキャンパスバッグ「BIG STUDENT(ビッグ スチューデント)」
もっとも定番的な2つのアイテムを紹介してきたが、現代の学生の通学用としては、より大容量のバッグが求められているという。そうしたニーズに応えるモデルとして支持を集めているのが、「BIG STUDENT(ビッグ スチューデント)」だ。「このアイテムは1990年代の発売から愛され続けるモデルで、マチがかなり大きく、容量は34リットルと大容量の仕様になっています。そのため、現代の学生には『BIG STUDENT』が選ばれています。
メインコンパートメントは2つあり、ポケットも豊富に備えているため、現在では通学用バッグのスタンダードといってもいいかもしれません。
多くの荷物が入る分、重くなってしまうこともありますが、そうした場合でも背負いにくくならないよう、人間工学に基づいた背面構造とショルダーストラップが採用されています。
肩にかかる負担を軽減するこのデザインは、私たちが“Sスカーブ”と呼んでいるもので、JANSPORTのオリジナルデザインとなっています」


ノートパソコン用コンパートメントへのこだわり
ここまで、ブランドのルーツやクラシックなアイテムを中心に見てきた。続いては、近年新たに加えられた機能である、ノートパソコンを収納するコンパートメントやPCスリーブへのこだわりについて、詳しく話を聞いていく。「現在はJANSPORTのバックパックのほとんどのモデルに、ノートパソコン用のコンパートメントやPCスリーブが付いています。
これは、1960~1980年代にリリースされたモデルがマイナーチェンジを重ねる過程で追加されたもので、現代ではこういった仕様はバックパックに欠かせない要素の一つといわれています。
背面のクッションは、背負い心地を高めるだけでなく、パソコンを保護する役割も兼ねており、PCスリーブ部分にもパッドが入っています。そのため、パソコン用ケースを使わずに、そのまま収納できるようサポートされています。
さらに、PCスリーブの底部分は上底構造のように設計されており、落下などによる一定の衝撃にも配慮した仕様になっています」

1967年にアメリカでスタートしたJANSPORTは、現在では世界中で手に取ることができるブランドへと成長している。規模が大きくなったいまも、商品開発はアメリカのデザインチームが担っているという。
バックパックを愛用する年齢層は幅広く、特に日本では、学生だけでなくアメリカンカルチャーを好む大人からも支持されている点も特徴だ。
半世紀以上にわたり世代を超えて支持を集めてきたJANSPORTのバッグは、いまや世界のスタンダードとして確固たる地位を築いている。
PROFILE
塩原 育美(しおばら いくみ)
合同会社ユニグローブ
ゼネラルマネージャー
バックパック・シューズ・アクセサリーの輸入卸およびEC事業を手がける、合同会社ユニグローブのゼネラルマネージャー。JANSPORT日本総代理店のブランドマネージャーを兼任。















