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赤ちゃんを守る“胎脂”を、大人の肌に応用? KANEBO(カネボウ)が挑む乾燥ケアの最前線
秋から冬にかけて、肌の乾燥に悩む人は少なくないだろう。この普遍的な肌の悩みに、化粧品業界の老舗であるカネボウ化粧品の「KANEBO(カネボウ)」は、人類の進化の過程に見つけた胎脂研究で立ち向かっている。
そのヒントは、お腹の中の赤ちゃんを乾燥から守り抜く「胎脂(たいし)」にあった。カネボウ化粧品は、1994年からこの神秘的な物質「胎脂」に関する研究を開始し、今年9月にプレステージブランド「KANEBO」から胎脂に着想を得たクリーム「カネボウ クリーム イン デイⅡ」と「カネボウ クリーム イン ナイトⅡ」をリニューアル発売した。
同ブランドPR担当の星野由紀さんと美容担当の平藤みどりさんに取材を実施。胎脂研究の背景、その驚くべきパワー、そしてリニューアルされた人気クリームに込められた技術と想いについて聞いた。
赤ちゃんの肌を守る「胎脂」のちから

カネボウ化粧品が胎脂研究を始めたきっかけは、多くの人が抱える乾燥という肌の悩みに立ち向かうため、新たな知見を探していたことに加え、研究員が読んでいた新聞の産婦人科医コラムだったという。
胎脂とは、羊水でつくられ、赤ちゃんの肌を守るクリーム状の脂である。星野さんはその役割について次のように語る。
「胎脂の役割は、羊水内で赤ちゃんの肌がふやけるのを防ぎ、生まれるときに、未熟な肌が乾燥した大気にさらされる、劇的な環境変化から守ることです。赤ちゃんは生まれるとき、まるで生物が海という水環境から陸上に上がった進化と同じくらいの劇的な変化を、たった数日で乗り越えて適応しているといえます。胎脂は、そんな劇的な環境変化から赤ちゃんの未熟は肌を守るためにあるといわれており、乾燥から守る非常に高いバリア機能があると考えています。そのため、私たちは、胎脂を人類最初のスキンケアと考え、研究を続けてきました」
カネボウ化粧品は、大学病院協力のもと、新生児20名の胎脂をガーゼで採取し分析、胎脂と大人の皮脂の違いを徹底的に調査した。その結果、胎脂の組成が成人皮脂とはまったく異なっていることが明らかになった。

さらに研究により、擬似胎脂の持つ保水性(水分を保つ力)と抱水性(水を抱え込む力)は、擬似皮脂の約3倍と非常に高い保湿力があることも判明している。これにより、 高湿度や低湿度といった変化のある環境下でも、 水分をほとんど逃さず、安定した水分を保持できる 高い保水性も認められた。
成人の半分ほどの厚さしかなく、バリア機能も弱い赤ちゃんの肌は、この胎脂によって劇的な環境変化から守られているのだ。
胎脂は、成人皮脂とは違い、コレステロールエステルとセラミドが豊富という特徴を持つ。特にコレステロールエステルは、研究開始当時には化粧品成分としてまだ存在していなかった成分であり、開発する意義があるとカネボウは考えた。
カネボウ化粧品は、胎脂を構成する主な物質であるコレステロールエステルに着目し、原料メーカーとの共同開発で胎脂主要成分の化粧品原料化に成功。
しかし、化粧品原料として開発したコレステロールエステルは非常にベタベタした物質であり、胎脂がもつ高い機能の再現と、化粧品としての快適なテクスチャーの両立は非常に困難な課題だった。
「化粧品への配合が大変難しく安定性の向上や特有のべたつき感を解消するための処方開発にさらに長い年月が必要でしたが、当社を代表する処方のひとつになる、そう確信し、大切に研究と開発を進めていったのです」(星野さん)
1997年に胎脂が持つ高いバリア機能を模した化粧品の開発に成功。その後も研究が続けられている。
朝と夜で肌はこんなに違う。24時間クリームケアという提案

カネボウ化粧品では、胎脂の機能を模倣した化粧品の開発に成功し、その後も研究を続けてきた。今年9月に「KANEBO」から、胎脂の機能を模倣した擬似胎脂成分・TAISHI™ Complexを配合した新クリームが発売された。
「クリーム イン デイⅡ」と「クリーム イン ナイトⅡ」の2商品で展開されている。胎脂成分自体は共通しているが、朝と夜の肌環境に合わせて処方が最適化され、今回のリニューアルで擬似胎脂成分に加え、医薬部外品有効成分を配合し、医薬部外品となった。
具体的な使い方について、平藤さんはこう教えてくれた。
「朝と夜では、過ごす環境も肌の状態も違います。朝のお手入れでは、血流量が少なくむくみがちなので、肌を目覚めさせて血行を良くすることが大切です。また、日中はエアコンなどの影響で徐々に乾燥していくため、十分な保湿が欠かせません。
夜は寝ているあいだに水分の蒸散量が高くなり、乾燥しやすいため、夜中に起きてスキンケアができない分、朝よりも時間をかけてじっくりと保湿ケアを行うのがおすすめです」
朝用の「クリーム イン デイⅡ」は、日中の肌を外的要因からしっかりと守れるよう設計されている。UVカット効果は旧製品のSPF20からSPF30にアップし、乾燥、紫外線、メイク崩れを防ぎながらスキンケア効果を発揮する。皮脂にも強く、どんなファンデーション剤形でもなめらかな化粧のりともちを実現した。
この朝クリームは、TAISHI™ Complexを配合し、厳しい乾燥環境から肌を守り、夕方までうるおいとハリをキープする。さらに、日中豊かな表情に寄り添う伸縮性の高いシールド膜を形成する技術を採用。有効成分として、ニコチン酸アミドとグリチルリチン酸ジカリウムをW配合することで、肌あれ・あれ性、ニキビも防ぐ効果がある。
一方、夜用の「クリーム イン ナイトⅡ」は、翌朝の手応えと肌への効果を重視して開発された。睡眠中に乾燥しやすい肌へ成分をしっかりと届け、うるおいが朝まで続くよう設計されている。

「オーバーナイトマスク」として肌にたっぷりのせるように使うこともおすすめだ。また、ナイアシンアミドが配合されているため、シワを改善。メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぎ、また肌あれ・あれ性にも効果を期待できる。ナイトクリームは、水分蒸散量が多い夜の肌に密着し、ひたひたのうるおいで包み続ける。
平藤さんは、デイとナイトのクリームを併用すると肌を24時間クリームケアでき、ハリと弾力のある肌へ導くためには、ぜひ併せて使ってほしいと語ってくれた。
「KANEBO」の胎脂研究は今後も継続されるという。「KANEBO」は2026年春に、新しい胎脂研究に基づいた化粧水をローンチ予定であり、今後さまざまなアイテムで胎脂の力を実感できるようになりそうだ。その新たな知見や製品展開に、引き続き注目していきたい。
PROFILE

星野 由紀(ほしの ゆき)
花王株式会社
化粧品事業部門 プレステージブランドビジネスグループ
KANEBO PR担当
PROFILE

平藤 みどり(へいとう みどり)
花王株式会社
化粧品事業部門 プレステージブランドビジネスグループ
KANEBO 美容担当
Text by 継田 理恵(美容家/ライター)












