

「ミタスニーカーズ」のディレクターである国井栄之さんが、毎週、独自の視点で気になるスニーカーをピックアップして率直な主観で語る動画「国井栄之のKICKS OF THE WEEK」との連動企画。
第10回は、スニーカーとサンダルの良さを併せ持った「KEEN(キーン)」の「UNEEK(ユニーク)」から派生したローファーが登場。今回、なぜこの風格漂うローファーを選んだのか、そしてこのモデルの魅力を国井さん本人に聞いた。
「KEEN」と蜜月関係にある「ミタスニーカーズ」
「KEEN」といえば、なんといっても2本のコードと1枚のソールで編み上げた「UNEEK」のサンダルが有名だ。国井さん率いる「ミタスニーカーズ」も「UNEEK」誕生から10周年の2024年にコラボモデルをリリースしている。蜜月関係にある「KEEN」との関係性について、国井さんはこう語る。「『KEEN』は『ミタスニーカーズ』でも縁の深いブランドで、最初に『UNEEK』のオリジナルがリリースされてすぐに、ブランド創設者の息子であり『UNEEK』の生みの親である、ローリー・ファースト・ジュニア氏とお会いする機会がありました。
2本のコードと1枚のソールから編み上げた唯一無二である『UNEEK』の説明を聞いて実際に履いてみたところ、サンダルというよりも無駄な部分を削ぎ落としたスニーカーだなと感じました。

当初、『KEEN』のUSチームは『UNEEK』を“オープンエアサンダル”として打ち出していました。ただ、当時のサンダルは価格が安いものが多く、“サンダル”と謳うと1万円超えは高く感じてしまうので、“オープンエアスニーカー”とした方がいいというフィードバックを行い、全世界で“オープンエアスニーカー”をキャッチコピーとして『UNEEK』が売り出されることになりました。
それを機に『KEEN』と『ミタスニーカーズ』、初のコラボレーションとなる『UNEEK』が2016年にリリースされることになりました。そして『UNEEK』の10周年を迎えた2024年、ロンドン、ニューヨーク、東京のそれぞれで、毛色の異なるコラボプロジェクトが立ち上がりました。
東京では『ミタスニーカーズ』をピックアップしてもらったことで、コラボモデルをローンチさせていただいたという経緯があるんですよ」
ハイブリッドされたツーリングも個人的な好み
今回、「UNEEK」の新機軸であるローファーを選んだ理由はどこにあったのだろうか。その理由に関しても国井さんはこう答えてくれた。「今回のローファーのように、異なるデザインのアッパーとツーリングを組み合わせたハイブリッドなモデルだと、どうしてもアッパーに目が行きがちになってしまいます。
ローファーとなるとオーセンティックなデザインになりやすいですが、今作は『UNEEK』の特徴がしっかり組み込まれているし、個人的にはこのツーリングが好きなんです。

当時、このツーリングを使っている商品を履いたときに、本当に歩きたくなるほどいいシューズでした。そのツーリングが生まれた背景には、ローリー・ファースト・ジュニア氏がスキーの事故に遭って歩行が困難になるほどの大怪我を負い、回復するためには長い距離を歩くリハビリが必要だったことがあります。
そこで自分たちのブランドからも歩くことを念頭においたカテゴリーを作り、そこから誕生したのが、今回のツーリングに使われている『WK500』という経緯もあるのです。このモデルのリリースは世のスニーカートレンドを汲んだものだと思われがちですが、今回のキックスとして取り上げたのは、ローリー・ファースト・ジュニア氏の思想が注入されたシューズであることをしっかり伝えたかったのも、大きな理由のひとつなんです。

また全世界500足限定で、シリアルナンバーを入れてローンチすることもプレミア感がありますよね」
トレンドだけではない、「UNEEK」の生みの親であるローリー・ファースト・ジュニア氏の想いまで汲んだチョイスが国井さんらしい。
アッパーは環境に配慮したプレミアムレザーで編み込まれる
まだまだ今回のモデルには語り尽くせない魅力があるという。国井さんはこう続ける。「今作はアッパーのローファーの部分もしっかり作り込まれています。ただアウトドアブランドである『KEEN』がローファーを作りました、というものではなく、アッパーにはLWG(レザーワーキンググループ)認定のタンナーから調達したレザーのみが使われるのも大きな魅力となっています。

レザー製コードは手作業で縫い上げ、編み込まれています。職人技と融合した高級感とタイムレスなデザインを実現しました。またライニングにもレザーを採用しているので、フィッティングもしっかりしています」
最近のスニーカートレンドとして「スニーカーローファー」というデザインは切っても切り離せないが、国井さんはどう感じているのか。そこに関してもこう答えてくれた。
「時代は繰り返すなと感じています。スニーカー単体でハイプなものに人気が出た後は、スタイリングに馴染むようなデザインのモデルや茶系のカラーが支持されていく。この流れは90年代も2000年代を見ても起こっています。

そこからスポーツブランドは、他の履物と自分たちのアイデンティティやイノベーションを組み合わせてハイブリッドなモデルをリリースしていく流れは、時代を超えて繰り返される自然な流れだと思います。
ただ、時代が進んで技術や素材は進化しているので、出てくるもののクオリティは格段に上がっていくと思います」
ファッションのトレンドは繰り返す。もちろんスニーカーのトレンドも然り。しかしテクノロジーはものすごいスピードで進化している。どんなものがハイブリッドされ、どんなものが生み出されていくのか、これからも楽しみでならない。
PROFILE

国井 栄之(くにい しげゆき)
mita sneakers ディレクター
東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛け、その手腕を発揮。現在は虎ノ門ヒルズにオープンしたショップ「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」の外部ディレクターも務める。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F路面店TEL:03-3832-8346 営業時間(平日)11:00~19:30、(土日・祝日)10:00~19:30
Photo by Hiroyuki“Lily”Suzuki(StudioLog)
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)
Original Movie


















