

「ミタスニーカーズ」のディレクターである国井栄之さんが、毎週、独自の視点で気になるスニーカーをピックアップして率直な主観で語る動画「国井栄之のKICKS OF THE WEEK」との連動企画。
第24回は、スニーカーの安定性とサンダルの軽快さを融合して生み出された「New Balance(ニューバランス)」の「U9060 SUMMER(U9060 サマー)」を紹介。このシューズをチョイスした理由とこのモデルの魅力を国井さんに聞いた。
マルチに使える日本限定の万能シューズ
「ニューバランス」を代表する1990年代と2000年代初頭のヘリテージモデルを掛け合わせ、洗練されたスタイルと革新性を新たな形で表現した9060コレクション。今回新たに加わったのが「U9060 SUMMER」だ。いつも斬新なモデルを展開する「ニューバランス」の商品展開について、国井さんはこう言及する。 「『ニューバランス』ではアーカイブの名作モデルを融合させたモデルを展開することが少なくないですが、ただ単純にハイブリッドモデルが出すよりも、元ネタになったアーカイブモデルも同時にリイシューしながら、ハイブリッドモデルを展開していく手法をとっています。

またアーカイブモデルのソールを流用しながら、アッパーは現代だったらこうなるだろうなどと進化させたようなモデルを展開するなど、異なるデザインランゲージのなかで月利上げたものをリリースしてくることがよくあります
今作についても国井さんはこう続ける。
「タテ軸にオーセンティックなモデルがあって、そのヨコ軸に“GORE-TEX(ゴアテックス)”や“バリスティックナイロン”など素材をアップデートしたモデルが登場し、さらに同じヨコ軸で、脱ぎ履きが楽なスリッポンやスライドタイプへと展開が広がるのですが、今回『9060』コレクションのヨコ軸から出てきたのが、この『U9060 SUMMER』です。
『2002』シリーズを見るとわかりやすいですよね。タテ軸でオーセンティックなモデルを展開し、ヨコ軸でまさに“GORE-TEX”を搭載した『M2002 GTX “GORE-TEX”』が展開され、今回同様ヨコ軸でスリッポンタイプの『M2002RM』が登場しました。

今作はソールが『9060』シリーズを流用しているので、衝撃吸収性に優れたクッション材“ABZORB(アブゾーブ)”の搭載でクッション性もあり、ヒールもホールド感を高めたければストラップをしっかり留めればいいし、ストラップを外せばそのままスライドタイプとして履くことも可能なのがいいですよね」
シーンに合わせて2WAYで履けるのが魅力であり、これからの季節さまざまな場面で活躍してくれそうだ。
「M2002RM」人気の裏に隠された事実
スライドタイプは「ニューバランス」が得意とするアップデートだが、「M2002RM」以前にどうしてこのスライドタイプが日本に入ってこなかったのか。その理由を国井さんはこう語る。 「『2002』や『TOKYO DESIGN STUDIO New Balance』から展開されたモデルでもスライドタイプは人気がありました。『ニューバランス』はよくこのアレンジを活用しています。
元々は、『Made in USA』シリーズの王道モデルのスライドタイプが、ブランドお膝元のアメリカだけで販売されていました。『ニューバランス』ファンの方たちは、インポートで入ってきたそのモデルを古着屋で購入し、こぞって履いていたようです。

ただ、スライドタイプが日本に入ってこなかった理由として、輸入のルールとしてスライドタイプはスポーツシューズとして見なされないケースがあったようです。
それゆえ、本来の現地アメリカで売られていた価格と、正規ルートを通って関税をかけられ日本に入ってきた価格とでは明らかに差がありすぎて、スライドタイプとしては妥当性にかける価格になってしまう事情があったと聞いています。

展開しようと思えばできたけれど、現実的ではなかったという経緯があったようです。しかし、アジア製であればその問題をクリアできることから、『M2002RM』や他のモデルも展開できるようになったとのことです」
「M2002RM」が大人気だった裏にこんな事情があったとは、国井さんから聞かされなければ知ることはなかった真実だった。
“スライドタイプ”はトレンドの新たなキーワード
今回、なぜこの「U9060 SUMMER」を選んだのか。その理由に関しても国井さんはこう語ってくれた。 「今年のパリにおけるファッションウィークでも見られたように、“スライドタイプ”というものが新しいキーワードになっています。
その中でも『ニューバランス』はいち早くそれを体現したモデルを展開してきましたが、今後は他のブランドからも、“スライドタイプ”のモデルがリリースされてくることが予想されます。
大きな括りとして“サマースニーカー”といったような、大判のメッシュで通気性を高めていたり、今作のようにスニーカーの特徴的な機能を担保しながらもサンダル感覚で履けるものだったり、いろいろなタイプが登場します。

その中でも“スライドタイプ”は注目度が高いので、それを皆様にもお知らせしたかったのが今作を選んだ理由でもあります」
さらに今作の魅力を国井さんはこう続ける。
「この手のスニーカーを履くときはやはり脱ぎ履きを楽にしたいので、ストラップが着脱できるのは自分の中では最大の魅力だと感じています。
ただ踵がフリーで楽に脱ぎ履きができても、アッパーの部分が普通のシューレースだといちいち調整しなければいけないところ、今作はクイックシューレースになっているのも、毎日使うものとしてかなり気が利いたディテールだと思います」

トレンドである“スライドタイプ”を体現した「U9060 SUMMER」は、本格的なアウトドアレジャーの季節になる前に手に入れておきたいところだ。
毎週国井さんが気になるスニーカーを紹介してきた「KICKS OF THE WEEK」は次回からリニューアルされるので、そちらも乞うご期待!
PROFILE
国井 栄之(くにい しげゆき)
mita sneakers ディレクター
東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛け、その手腕を発揮。現在は虎ノ門ヒルズにオープンしたショップ「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」の外部ディレクターも務める。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F路面店TEL:03-3832-8346 営業時間(平日)11:00~19:30、(土日・祝日)10:00~19:30
Photo by Hiroyuki“Lily”Suzuki(StudioLog)
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)
Original Movie

















