JA/EN

AI検索

関連ハッシュタグ

Articles

“耳につけないイヤリング”で特許を取得した中学生社長:株式会社マイヤリングス・水野舞インタビュー

2024.11.03
株式会社マイヤリングスは、当時小学生だった水野舞さんによって立ち上げられた会社だ。起業のきっかけは、“耳につけないイヤリング”の特許を取ったこと。現在は商標権も取得し、「マイヤリング®︎」として同社から販売も行っている。
「特許や起業に関する思考ができる方が周りにいたからこそ自分の発明に気付けた」と水野さんは話す。今回はマイヤリング®︎を発明した経緯や同社での活動、活動に込めた思いなどについて、お話を伺った。

PROFILE

水野 舞(みずの まい)

株式会社マイヤリングス 取締役社長
小学校5年生のときに耳につけないイヤリング「マイヤリング®」の特許を取得し、小学校6年生で株式会社マイヤリングスを創業した。現在、中学校2年生でマイヤリング®に関する特許・商標・意匠と3種類の知的財産を保有・出願中。すべてハンドメイドでマイヤリング®を制作販売しながら、企業とのコラボレーションによる多様なマイヤリング®も受注している。
また、乳幼児期における自身の長期入院体験から小児病棟の子どもたちにマイヤリング®を届ける活動を行ったり、子どもたちのアイディア・発想を知的財産権等の形にし、社会に届ける活動「i育(あいいく)」事業も推進している。

身近な人から認められたことで、自信を持てた

マイヤリング®︎が誕生した経緯を教えてください。
きっかけは、幼稚園の年長の頃に母がつけていたピアスに憧れを持ったことです。ただ、ピアスは耳に穴を開けなければならないのでできなくて。代わりにイヤリングを試してみたのですが、すごく耳が痛くなってしまったんです。そのときに、「だったら自分で作ってみよう」と考えました。
私はもともともの作りが好きだったこともあり、小学校2年生のときに工作のような感覚でアクセサリーを作りはじめました。作るときに考えたポイントは、“自分が持っているもので作れる”ことと“つけやすいもの”。そこで、当時身近にあったストローや毛糸、ビーズ、ヘアピンなどを組み合わせて作ることにしました。
水野さんがはじめて手作りした、ヘアピンで髪につけるイヤリング(マイヤリング®︎)
「これで私もお母さんと同じようにアクセサリーをつけられるよ」と出来上がったものを両親に自慢したときに、父が「これは新しい発明だ」と言ってくれたんです。実際に特許を取得したのはもう少し後になるのですが、その父の言葉が特許取得につながりました。
水野さんは当時小学2年生ですよね。「特許」の話を聞いて、どう思いましたか?
当時はまったく理解できていませんでした。私のなかでは“特許=大人の仕事”のイメージがあったので、子どもができるようなものではないと感じていたんです。それに、特許を取れるのは“世の中にない新しいもの”だと聞いて、私が考えられるようなものは絶対に世の中にあると思っていました。
2年生の頃は家族で冗談交じりに話していただけで、特許について具体的な話が上がったのは小学校4年生の頃です。そのときに父の知り合いの弁理士の方ともお話しする機会をいただいて、その方からも特許取得に対して「とてもいいんじゃないか」と言っていただいたんです。
私は大人と話をするのが好きなので、大人から自分が作ったものを認めてもらえたことがうれしくて。もちろん、子どもも大人も関係なく、相手が誰であろうと自分のことを認めてもらえるとやっぱりうれしいですよね。
最初は特許が取得できるとは思っていなかったのですが、身近な人に認めてもらえたことで少しずつ自信がついて、特許取得にチャレンジしてみようと思えるようになりました。また、マイヤリング®︎という言葉やロゴは商標登録しています。特許も商標権も、いざ取得してみると「自分のものだ」と堂々と人に伝えられるようになることがメリットだと感じましたね。
ツイード生地を扱うレディースオートクチュールブランドとのコラボアイテム
 マイヤリング®︎と名付けた背景を教えてください。
私の名前が舞なので、名前と掛け合わせたと想像してくださる方が多いのですが、実はそれだけではないんです。英語の「my(マイ)」からもとっていて、小さいお子さんが私と同じように「私にとってのイヤリング」と喜んでいる姿を想像し、そういった思いも込めてマイヤリング®︎にしました。
会社のサポートをしてくれているメンバーの方々にも何度か相談して、最終的に私がこの名前に決めました。
会社を興したきっかけは、何だったのでしょうか。
「せっかく特許や商標権を取ったんだから何か形にできるといいよね」と、周りの方々に言っていただいたのがきっかけでした。
はじめは自分で会社を興すつもりはなく、父の知り合いの方がやっている会社で商品を販売してライセンス料をいただくのがいいのではないかと話していたんですが、「自分で会社を興してみたら」と言われて。
そのときに、「会社を興したら大人とたくさん話せるし、いろいろな人と会えるかも」と思ったんです。それに、マイヤリング®︎を自分の手で届けられることが素敵だなと思ったので、起業を決めました。
ただ、起業したのが小学校6年生(12歳)のときで。株式会社の代表権を得るには印鑑証明が必要なのですが、印鑑証明は15歳以上でないと取得できないんです。なので、今もまだ正式には得られておらず、手伝ってくださっているメンバーに代表をお願いしています。15歳になったら正式に代表になることが、今のひとつの目標になっています。

3世代お揃いで身に着けられるマイヤリング®︎

マイヤリング®︎の制作過程について教えてください。
単価の相談をしたり、デザインのアドバイスをもらったりと、家族をはじめ、会社のメンバーの協力も得ながら制作を進めています。
デザインは、その場にある材料を使ってできるものをその時々で考えていて。理想とするデザインを膨らませても、コストがかかりすぎると販売が難しくなってしまうこともあるので、理想と現実のバランスをとりながら作るためにこの方法でデザインしています。
商品作りの軸は、“みんなが身に着けやすいもの”です。無理に凝ったデザインをするのではなく、日常のなかに取り入れやすくて、彩りを与えられるようなデザインを考えています。自分自身が身に着けられるものでないと、商品の魅力を皆さんに伝えられないので、自分がいいなと思えるものを作るよう意識しています。
改めて、マイヤリング®︎の特徴を教えてください。
マイヤリング®︎はヘアピンでつけられるようになっているので、髪の毛だけでなく帽子につけることもできます。また、マスクが引っかかりにくいので紛失もしにくいですし、簡単に着脱できるのも特徴です。
最近気付いたのですが、ピアスもイヤリングも基本的に両手でしかつけられませんよね。でも、マイヤリング®︎は片手でも着脱できます。もし外れて落ちてしまっても、すぐにつけ直しができるのはいいところだと思っています。
また、一般的にピアスやイヤリングは長さが2〜3センチのものが多いですが、マイヤリング®︎は5センチほどあります。軽いですし、長い分よく揺れるので、よりアクセサリーの存在感を楽しめますよ。
私としては、3世代お揃いで身に着けられることも魅力だと考えていて。ヘアピンであればお子さんも着け慣れていると思うので、ぜひお揃いで身に着けていただきたいです。
母の日に合わせて作った、親子でつけられるお揃いのマイヤリング®︎
 お客様のお声で、印象に残っているものはありますか?
半身麻痺のある方が「片手でつけられるから、周りの人に着脱をお願いしなくても自分でおしゃれができてうれしい」と言ってくださったり、金属アレルギーの方が「アクセサリーをつけるのを長年諦めていたけど、これだったら身に着けられる」と言ってくださったりしました。
最初は小さいお子さんを対象に考えていたので、同年代の方や大人の方にも喜んでいただけたのは印象的でした。いずれにしても、私はお客様からご連絡いただけること自体がとてもうれしいです。

子どものアイディアを形にできる環境作りも

いろいろな企業とコラボレーションをしたり、i育(あいいく)プロジェクトを行ったりと、さまざまな取り組みをされていますね。
コラボレーションは、ツイード生地の代表格である「リント​ン社」の素材を扱うレディースオートクチュールブランド「Linolly(リノリー)」さんや、航空会社の「全日空」さん、ソースで有名な「オタフクソース」さんなどと行いました。
また、今年の9月から名古屋グランパスとのコラボレーション商品の販売も開始しました。他ブランドとのコラボレーションはすごく素敵なことだと思っているので、こうした取り組みにも力を入れています。
今は、お声がけいただいてコラボレーションがスタートすることが多いです。会社経営を手伝ってくださっているメンバーは他の仕事もしているので、お知り合いの方を紹介してくださることもあるんです。私一人でできることではないので、一つひとつのご縁を本当に大切に思っています。
ANA 青島ファクトリー × マイヤリングス
名古屋グランパス × マイヤリングス
i育プロジェクトは、子どものアイディア(idea)を形にする教育を推進する事業です。最近はじめた活動で、今年の夏は沖縄で「コドモカレッジ」と題してイベントを行いました。
私は社会人になる前に貴重な体験をしてきたので、そこで学んだことを皆さんに伝えることで、知的財産や起業について少しでも身近に感じてもらえるといいなと思いこの活動をしています。
私は家族の支えもあっていろいろな経験を積むことができたのですが、それ以前に特許や起業に関する思考ができる方が周りにいたからこそ自分の発明に気付くことができました。やはり自分だけでは気付くことができないので、ひとつのアイディアからいろいろと発展させられることを伝えていきたいです。
ただ、やりたいことを実現するために、必ずしも起業が必要だとは限りません。本当にやりたいかどうか、どんな関わり方が自分に向いているのかを考えるために、気になったことがあればまず体験をしてみるのがいいのかなと。そうした経験の積み重ねが、数年後の大きな目標につながっていくこともあると考えています。
沖縄で行った「コドモカレッジ」の様子

マイヤリング®︎を軸に、より幅広いチャレンジをしたい

現在は学校に通いながら会社経営をされていますね。大変ではないですか?
簡単ではないですが、苦にはなっていません。私は自分でスケジュールを選べるフリースクールのような学校に通っていて、そこでは動画編集やプログラミングなども学べるんです。だからこそ、会社でも使うオンラインシステムの使い方を身に付けられましたし、共感したり刺激し合ったりできる仲間とも出会えました。
自分にとってバランスのとりやすい環境を選んだから、学校と会社経営の両立ができているなと思っています。
ときには壁にぶつかることもあるかと思います。水野さんの原動力を教えてください。
会社を興すときに決めたことが2つあります。1つ目は、“分からないことは全部聞く”。2つ目は、“自分一人ですべての責任を負わない”です。
私は小学生の頃、塾で問題を出されたときに、分からないことがあってもなかなか質問できなかったんです。その積み重ねで成績がどんどん落ちてしまって、中学校受験もうまくいきませんでした。そのときに、自分を変えたいなと思って。それにせっかく会社を興すのであれば、同じような後悔はしたくなかったんです。
責任を負いすぎないというのは、自分にできないことはきちんと人に任せたり頼ったりするということです。会社の資本金や特許の取得に必要な費用などを私が全額出しているわけではありません。それに、契約や運営などにはいろいろな人が関わってくださっています。
私自身は会社経営の初心者ですし、社会人経験もないので、分からないことがあるのは当たり前だと思って、きちんと周りの人に頼るようにしています。認めてくれたり、助けてくれたりする人たちがいるから、こうして前向きに取り組めていると思っています。
今後、チャレンジしてみたいことはありますか?
私はマイヤリング®︎を世界に届けたいと思っていて。今は国際特許の取得を目指しているんです。また、ファッションが好きなので、マイヤリング®︎を軸に洋服作りなどにもチャレンジしてみたいなと思っています。ゆくゆくはそれも進めていきたいですね。
他の活動ですと、小児病棟の子どもたちにマイヤリング®︎を届けるためにクラウドファンディングもしています。まだ1ヶ所にしか届けられていないので、もっと多くのお子さんに届けておしゃれの楽しさを知ってもらえたらいいなと思っています。

Text by 奥山りか

Tags

この記事はいかがでしたか?

シェアリンクをコピーしました

Related Articles

Related Database