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マンハッタンポーテージが作り上げた 都市生活に最適化されたバックパックの姿とは?
都市生活において、バックパックに求められる役割は年々変化している。デジタルガジェットを安全に持ち運ぶための機能性、日常の装いに自然と溶け込むデザイン、そして毎日の使用に耐える確かなタフさ……。
ニューヨーク生まれのManhattan Portage(マンハッタンポーテージ)がこの春にリリースした「Pacific Lincoln Square Backpack(パシフィック・リンカーン・スクエア・バックパック)」は、そうした要素を過不足なく兼ねそなえた“都市型バックパック”だ。同ブランドのPRマネージャー・白木佑佳氏の言葉を手がかりに、そのデザインやスペックに込められた思想を読み解いていこう。
PROFILE
白木 佑佳(しろき ゆか)
株式会社コード
マンハッタンポーテージ PRマネージャー
2016年より現職。ブランドの創業地・ニューヨークのリアルな空気感やカルチャーを日本に伝えるべく、毎年現地を訪問。ローカルコミュニティとの関わりを通じて得た知見をもとに、マンハッタンポーテージの世界観や価値を発信している。

都市で働くビジネスパーソンのためのコレクション
「パシフィック・コレクション」は、2021年春夏シーズンにデビューした。「主なターゲットは、都市で働くビジネス層の大人たちです。ブランドが長年培ってきたタフさや実用性をベースにしながら、通勤や出張といったビジネスシーンにおいて、スマートに使える機能を強化したコレクションです。スーツやジャケットスタイルにもなじむスタイリッシュなデザインも好評を博しています」
すべてのモデルにPCスリーブや防水加工されたライニングが標準装備されるなど、仕事道具を安心して持ち運べるよう設計されている。加えて、荷物量の変化に対応する拡張性やスーツケースにセットできるキャリーオン機能など、移動の多い都市生活者を意識した仕様も盛り込まれている。
目指したのは、日常使いのしやすさと収納力の両立
では、新型の「パシフィック・リンカーン・スクエア・バックパック」は、パシフィック・コレクションにおいてどのような位置付けを担う存在なのか?「日常使いのしやすさと収納力の両立を追求したモデルです。丈夫なコーデュラナイロンを使った容量のあるボックス型のバックパックで、デザイン面ではカッチリしすぎず、かといってラフにも寄りすぎない、オン・オフのちょうど中間を狙いました」
その設計思想を象徴するのが、ボックス型フォルムの採用だ。
「現代の都市生活では、ノートPCやタブレットなどのデジタルガジェットが増え、バッグ内部の整理のしやすさと視認性がこれまで以上に重要になっています。その点、ボックス型は開口部が大きく、荷物の出し入れや中身の把握がしやすくなります」
一方で、従来のボックス型バックパックは、直方体ならではのボリューム感が強調され、ラフな印象になりがちだった。そこで本モデルでは、ボトムに向かってやや細くなっていくフォルムを採用した。容量を確保しながらも、背負った際の後ろ姿がすっきりと見えるシルエットへと整えられている。

モデル名の由来はニューヨークのリンカーン・スクエアからインスピレーションを受けたという。
「アートスクールやパフォーマンスセンターが集まるこのエリアは、伝統と現代性、フォーマルとカジュアルが自然に共存する街です。その空気感をバックパックのデザインに落とし込みました」
洗練とタフネスが融合した素材使い
メインの素材に採用されたのは、同ブランドが長年信頼を寄せてきたコーデュラブランドの中でも、比較的糸が細く、クリーンな表情を持つ10D CORDURA®︎ HP Fabric Waterproof Coatingだ。「従来の1000デニールのコーデュラナイロンは非常に頑丈ですが、その分、表情がややラフに見えがちです。今回は特にビジネスシーンでの使用を想定しているため、強度は保ちつつ、より質感が上品な610D CORDURA®︎ HP Fabric Waterproof Coatingを選びました。スーツやジャケットに合わせても違和感が出にくく、かつ擦れても生地を傷めにくいというメリットがあります」

防水性においても、過剰を抑える判断がなされた。
「全体を完全防水仕様にしてしまうと、加工の質感によってギア感が強くなってしまい、都市生活での汎用性が損なわれかねません。そのため、メインファブリックは裏面にのみPVCコーティングを施しています」
結果、見た目の軽やかさを保ちながら、日常使いに十分な防水性能を確保することに成功した。
特に雨がかかりやすいフロントパネルには、100%ウォータープルーフのターポリンビニールが使用されている。雨の影響を受けやすいフロント部分にあえてこの素材を用いることで、実用性と安心感の両立を図ったという。

日常の動きに合わせたディテール設計
では、使い勝手の良さはどうか? 都市生活におけるバックパックの快適さは、収納量の多さ以上に、「移動している最中にどう使えるか」によって左右される。背負ってみてまず印象的だったのが、メインコンパートメントのファスナー配置だ。開閉位置が背面側に設けられているため、混雑した電車内で前向きに背負った状態でも開閉がしやすい。
荷物を取り出すたびにバッグを下ろしたり、無理な体勢を取ったりする必要がない点は、都市生活において大きなアドバンテージとなる。

内部構造も、使い勝手を優先したシンプルな設計だ。メインコンパートメントは仕切りのない一室構造とし、ボックス型ならではの容量を最大限に生かしている。一方で、PCスリーブや小物用ポケットが適所に配置されており、整理整頓もしやすい。

背負い心地にも配慮が行き届いている。ショルダーハーネスにはクッション性の高いパディングを内蔵し、背面には夏場でも蒸れにくいメッシュ素材を採用した。電車、徒歩、自転車といった日常の移動を、快適に支える仕様だ。
“引き算”で導き出された都市型バックパックの完成形
機能的なディテールが充実しているにもかかわらず、外観はじつにシンプルだ。「機能を詰め込みすぎると、どうしても使い勝手や見た目にノイズが出てしまいます。毎日使うものだからこそ、ストレスなく、生活の一部として自然になじむことを重視しました」
余計なストラップやハーネスは極力排されており、電車内や人混みで引っかかるリスクも抑えられている。都市生活においては、こうした“余計なものがない”こと自体が、ひとつの機能になりうる。

使いやすさを追求するために、必要なものだけを残し、余計なものは排除する。「パシフィック・リンカーン・スクエア・バックパック」には、ニューヨークブランドらしい美意識が静かに息づいている。
Text by Ryota Osujo













