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朝洗顔もW洗顔も不要? 肌荒れやエイジングサインを招く“洗う習慣”に研究者が警鐘

2025.06.23
シミ、しわ、たるみなどのもととなる乾燥や肌荒れ、敏感肌など、肌悩みを抱える人は右肩上がりに増えている[1]。化粧品技術が向上し、新たな研究や成分も次々と出てくるなか、肌悩みは一向に減らないことに疑問を抱いた研究者がいる。その疑問を掘り下げて導き出した答えは、「現代人は顔を洗いすぎている」ということだった。
今回は、現代人の洗いすぎの習慣を変えるべく、水で洗い流さないクレンジング「セラクレンズ」を開発したMIULE(ミューレ)代表の植村元さんを取材。洗いすぎに警鐘を鳴らす理由と、これまでになかった“洗い流さないオイルクレンジング”の魅力に迫った。

PROFILE

植村 元(うえむら げん)

株式会社cogane studio 代表取締役

化粧品研究開発者

現代人は“洗いすぎ依存”!? 江戸時代の60倍の洗顔が肌を壊す

生物学、生理学を専門とし、長年にわたって化粧品科学の研究や製品開発を行ってきたMIULE代表の植村さん。あるとき、化粧品を開発し続ける意義について悩んだそうだ。
「化粧品科学が発展して各所でさまざまな研究がなされているのに、肌荒れ、乾燥肌の人は右肩上がりに増えています[1]。私たちが長年取り組んできた、製品や科学技術で肌悩みにアプローチすること自体が間違っているのではないか、私たちが気づいていないところに原因があるのではないかと考えて、論文を読み漁ってリサーチしました。
その結果、現代人は習慣的に洗いすぎていることで、知らず知らずのうちに肌荒れを起こしやすい肌環境を作っていることに気がついたのです」
植村さんによれば、現代人は江戸時代の人と比べて約60倍も顔を洗っているそうだ。
「ある入浴に関する研究では、江戸時代は東日本では3〜5日に1回、西日本では月に1回が一般的な入浴の頻度だったことがわかっています[2]。1960年ごろには科学が著しく発展し、界面活性剤が登場しました。それによって洗うためのアイテムが増えたこともあって、入浴は週に2〜3回に。石けんの登場も同時期です。
現在では1日に2〜3回シャワーや入浴をする人もいます。また当社の調査では、洗顔については女性で平均1日3回、男性で2回行っているとわかりました。1年に約12回しか入浴しなかった江戸時代の西日本と比べると、現代人は60倍以上も洗いすぎていることになるのです」
江戸時代から現代にいたるまで、人の肌や体の構造は変わっていない。しかし、紫外線量の増加や気温の上昇、黄砂や大気中に浮遊する化学物質など、江戸時代とは環境が変わっている。
また化粧品科学の進歩とともに、メイクは皮脂や汗で落ちにくいものが開発され、それを洗い流すための洗浄力があるクレンジングが登場した。
「洗うという行為は、非常に難しいものだと思います。メイクや皮脂、汚れは落としたい一方で、肌の天然保湿因子やある程度の皮脂は残したい。そのバランスがとても大切です。
ただ、顔を洗ったりメイクを洗い流したりする行為は、皮膚を守っている天然保湿因子や必要な皮脂も落としてしまうデメリットがあることを忘れてはなりません」

その洗顔、必要ですか?「習慣」を見直す科学的視点

近年、洗顔のしすぎを懸念し、朝はぬるま湯だけで済ませたり、W洗顔(メイク落としのあとにもう一度洗顔すること)を控えたりする人が増えている。こうした方法は、本当に正しいのだろうか。
「朝の洗顔はぬるま湯だけで十分で、そもそも洗う必要はないと考えています。W洗顔も不要です。朝起きたときに肌表面の皮脂が気になったり、クレンジングしたあとさっぱりしたかったり、何のために洗顔するのかが明確であれば洗ってもよいと思います。
私が警鐘を鳴らしたいのは、なんとなく“朝は洗顔するもの”、“洗顔しないのは不潔”と思い込んで習慣的に洗顔をすること。肌状態がよかったり肌が乾燥していたりするなら、洗わない方がベターです。肌と相談しながら洗顔方法や回数を考えることをおすすめします」
洗顔を怠るとニキビや毛穴づまりが起こると考える人も多いが、科学的には証明されていないそうだ。
「“肌表面の皮脂が酸化するとニキビや毛穴の原因になる”という説がありますが、科学的な根拠は十分ではありません。さらには、“メイクが肌に残っていると肌荒れする”という説についても、明確な科学的根拠はまだ十分ではないとされています。
さまざまな属性や肌質、体質、生活スタイルの人がいるなかで、肌表面の酸化した皮脂や化粧品のどの成分が肌に悪いのかを実証するのは、非常に困難なのです。
もっと言えば、世の中のどのクレンジングを使っても、メイクを100%取り除くことはできないと思われます。化粧品に含まれる顔料はマイクロ・ナノレベルの極めて小さいサイズであり、どうしても毛穴やキメに入り込んでしまうのです。
MIULEとしては、メイクは見た目上落とせていればOKとしています。メイクを全部落とすことに固執すると肌ダメージが大きくなってしまうので、メイク残りで肌荒れするという概念を一度捨ててもよいのではないでしょうか」

“洗わない”という革命──セラクレンズが生んだ新しい常識

オイルをもってオイルを制す ティッシュオフするクレンジング
メイクをする以上、どうしてもクレンジングは必要になる。そこで、洗顔の回数を減らし肌ダメージを抑えることを目指して開発されたのが、MIULEの『セラクレンズ』だ。オイルクレンジングでありながら“洗い流し不要”で、浮かせたメイク汚れはティッシュで押さえてオフする設計になっている。
「化粧品は主に油性の成分でできているので、油になじませることで浮かせてオフできます。一般的なオイルクレンジングも油で汚れを落としますが、メイクを浮かせたあと水で流せるように、またクレンジングオイルの中に水溶性の成分を抱えられるように界面活性剤が使われます。
界面活性剤は肌の保湿因子も流してしまうので、MIULEでは使わない処方を検討しました。私自身も長年界面活性剤の負担を減らす研究をしてきましたが、オイルでメイクを浮かせたあと、ティッシュオフで十分ではないかと気づきました。
実はオイルをなじませてティッシュなどで拭き取る手法は、自社調べでは古代エジプトや中国でも行われていたような記録があり、長い歴史をもっていると考えています。現代においてティッシュは安価であり、家にない人はほとんどいないでしょう。ティッシュオフは今の時代に最適ではないかと思います」
実際に筆者も「セラクレンズ」を使用してみた。しっかり塗ったファンデーションや赤い口紅に「セラクレンズ」を塗布し、くるくるとなじませると肌からメイクが浮いてくるのがわかる。ティッシュをそっと当てるとティッシュ側にメイク汚れが移り、きれいにオフできる。
「『セラクレンズ』は洗い流さないので、肌の天然保湿因子や必要な皮脂を残しながらメイクをオフすることができます。さらに『セラクレンズ』のオイルや保湿成分が肌に残るので、スキンケアまでできるのです」

使ってわかる“オイルで落とす”心地よさ

洗い流すデメリットを知れば、「セラクレンズ」でメイクをオフしたくなるだろう。しかし、開発から現在にいたるまで苦労もあった。
「オイルクレンジングは洗い流すのが常識と思われているなか、その固定観念を覆すのは大変だと感じました。中には、オイルを肌に塗るとニキビができると信じている人や、その誤った情報を拡散している人もいます。
その影響もあって、オイルクレンジングはベタベタすると思われがちであるため、ベタつきにくいオイルを厳選したり処方に工夫をしたりしました」
実際に使ってみた人からは、どのような声が届いているのか。
「お使いいただいた方からは、『今まで無意識に洗顔していたけど、いかに洗いすぎていたか実感できた』、『これまで肌が乾燥することを毎日やっていたのだと痛感した』、『肌の土台が整ったことで刺激を感じにくくなり、スキンケアやメイクをより楽しめるようになった』、『1本使い終わるころに肌の弾力を感じた』といった感想をいただいています。
洗いすぎの訴求でスタートしましたが、忙しい子育て中の方や、介護・アウトドア・災害時など“水が使いにくい”環境でも活躍します。このように『セラクレンズ』がいろいろなシーンで役に立つことがわかって、うれしく思っています。
また海外では水質が異なり、洗い流すクレンジングがうまく機能しないことがあります。豊富な水資源をもつ日本と違って、水が貴重な地域も多くあります。今後は、水が貴重とされる諸外国での展開も目指していきたいです」
洗う習慣を変える「セラクレンズ」。洗いすぎをやめた人から、肌に自信が生まれるかもしれない。

[1]NPO法人 日本健康増進支援機構 「日本におけるアレルギー疾患の増加」

[2]雑誌『一個人』2月号(2018)

Text by 継田 理恵(美容家/ライター)

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