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スポーツ業界初! ミズノが3Dプリンターで個人専用ソールを製造、「3D U-Fit」は究極のオリジナルシューズ

2025.02.21
ミズノは、スポーツ業界で初めて3Dプリンターで個人に合わせた専用の一体ソールを設計・製造する技術を開発。その技術を活用したパーソナルフィッティングシューズ「3D U-Fit(スリーディーユーフィット)」のオーダー受け付けを、4月から開始する。「3D U-Fit」は、個人の足型を測定し、一体ソールをそのデータに合わせて作ることで、それぞれの足に合ったオリジナルのシューズを作ることができるという。シューズ新時代の幕開けを感じる「3D U-Fit」の全貌に迫る。

自分の足にフィットしたシューズを作ることができる

足幅が広い、狭い、左右差が大きいなど、シューズ選びに困っている人は案外多い。足幅が広いタイプのシューズを選ぶと、踵がゆるくなってしまった。左足に合わせてシューズを買うと、どうしても右足がブカブカになる。といった経験をしたことがある人もいるのではないだろうか。「3D U-Fit」は、そんな悩みを解決してくれるものだ。
 
これまでの製造工程では、シューズの機能のほとんどを担うソールは、個人に合わせて簡単に変えられない技術的な制約があった。「3D U-Fit」は、3Dプリント技術を活用することで、その制約を解消。個人の足型を測定し、一体ソールをそのデータに合わせて作ることで、それぞれの足にフィットするオリジナルのシューズを作ることができるのだ。
 
どうして「3D U-Fit」が生まれたのか。そこには、開発担当者のミズノ株式会社 グローバル研究開発部・北 憲二郎さんが経験したとある出来事が関係している。
 
「20年以上前の話になりますが、あるお子さんのシューズを作ってほしいという依頼がありました。それは一般の方なのですが、その子は足に障がいがあり変形していて、ふつうのシューズが足に合わなかった。それで、その子の足に合うスポーツスタイルのデザインの靴を作ってほしいという話でした。
 
実際に作ってはみたものの、当時の技術では時間もコストもとんでもなくかかってしまい、トップアスリートのための世界に一足のシューズは作れたとしても、一般の人のためのオーダーシューズを提供するのはビジネス的には現実的ではありませんでした。
 
それから随分と時間が経ちましたが、最新の技術を使えばもっとリーズナブルに、もっとスマートに、それぞれの足にフィットしたシューズが作れるのではないかと考えたのが3D U-Fitの開発をスタートしたきっかけになります」
3Dプリンターで作製するパーソナルフィッティングシューズ、3D U-Fit。55,000円(税込)。MIZUNO TOKYOで4月より一般販売開始予定

従来の3Dプリント技術を活用したシューズとは別のもの

筆者もいくつか所持しているが、3Dプリント技術を活用したシューズは、さまざまなスポーツブランド、シューズメーカーが展開してきた。その多くが、ミッドソール全体、もしくは一部を、3Dプリント技術を活用して作るというものだ。
 
ミッドソールを3Dプリント技術で作るとフォームを成型するための金型が不要になるため、通常のシューズよりも短いサイクルでテストシューズを作ることができる。加えて、データに基づいた硬度などの調整がしやすいというメリットもある。
しかし、ミッドソールだけ3Dプリント技術を活用して作っても、インソールやアウトソールが別途必要になるのであれば、革新的ではあっても革命的とは言い難い。
「3D U-Fit」では、ミッドソール、アウトソール、インソールを一体化することで、シームレスなフィット感およびライド感を実現。そして、3Dプリンターを用いて一体ソールを作る技術の完成と、計測データに基づいて個人専用シューズを作る設計フローの完成という技術的なブレイクスルーにより、税込55,000円という、現実的な価格でのパーソナルフィッティングシューズ提供に至ったのだ。
「アウトソールとミッドソールでは求められる機能が異なりますが、部位によって構造を変えることで一体化することができました。同時に、アウトソールとして必要な耐久性とグリップ力を実現する素材開発は苦労した点でもあります。ミッドソール内部には空洞部分を設けてクッション性を高めながら、外側に壁を作ることで安定性も確保しています」
一体ソールは3Dプリンターを使ってアウトソールから積み上げいくように作られる
自分の足にフィットする世界に1つだけの一体ソールを作ることができる
アウトソール、ミッドソールともに同素材

デザイン、ソール硬度を選ぶことができる

「3D U-Fit」を購入する際、まずはMIZUNO TOKYOで足型を測定する。3D足型計測器を使って、足型を3Dで計測。足とシューズの専門家による診断を行い、土台になるソールを設計する。
ソールのデザイン、アッパーのカラー(ブラックとホワイト)はそれぞれ2種類用意され、好みで選ぶことができる。ユニークなのは、ソール硬度が“ふつう”と“やわらかめ”から選択できるところ。好みや目的(しっかりとウォーキングをする用なのか、タウンユースメインなのか)に合わせてチョイスしたい。
 
「一体ソールについては、その人の足に合った世界に1つだけのものになります。当然、左足と右足で長さや幅を変えられるので、今までシューズのサイズ選びに困っていたという人の問題を解決できると思います」
 
アッパーはストレッチ性の高いニット製。それぞれの足型に沿うように、アタッチメントをつけて木型を調整して作られる。データ計測後、最終確定した情報がミズノテクニクス山崎ランバード工場へ転送され、そのデータを基にシューズが製造される。完成までは約1ヵ月とのこと。
3D足型計測器を使って、足型を3Dで計測する
計測データはこのような感じ
計測データを元に木型を調整
サンプルシューズに足を入れさせてもらったのだが、気になる2種類のソール硬度、“ふつう”と“やわらかめ”にはわかりやすく違いがあった(もちろんシューズを作る際に試し履きすることができる)。3Dプリント技術を使ったシューズにありがちな、重さや硬さはなく、快適に歩くことができた。
ニットのアッパーはソフトに足にフィットする。ざっくりとサイズを合わせたサンプルシューズでも快適なのだから、自分の足にジャストフィットした完成モデルであれば、きっと素晴らしい履き心地、歩き心地を得られるに違いない。
アッパーのカラーはホワイトとブラックの2種類から選択可能

PROFILE

北 憲二郎(きた けんじろう)

ミズノ株式会社
グローバル研究開発部 人間拡張研究開発課 参事

Text by Fumihito Kouzu

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