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誕生から9年! 高品質750フィルパワーを誇る、無印良品の「軽量ダウンポケッタブルノーカラーベスト」はなぜ愛され続けるのか?
2008年の初登場以来、老若男女を問わず長く支持され続けているのが、無印良品の「軽量ダウンポケッタブルノーカラーベスト」だ。ロングセラーの背景には、時代に合わせた改良と、技術の積み重ねがある。今回は、このヒット商品の現在地を探るべく、商品開発に携わる黒田裕生さんと岡田桃子さんに話を聞いた。
PROFILE
黒田 裕生(くろだ ゆうき)
株式会社良品計画
衣服・雑貨部 紳士アウタートップス担当
PROFILE
岡田 桃子(おかだ ももこ)
株式会社良品計画
衣服・雑貨部 婦人アウタートップス担当
今でこそ一般的になったインナーダウンだが、本商品の発売当初はアウトドアやスポーツブランドの商品が中心で、日常着としての提案はほとんどなかった。
「当時は生地がツルツル・ピカピカのものばかりで、日常では使いにくいものが多かった印象があります。そこでアウトドアアイテムに着想は得ながらも、軽量でコンパクト、そして普段着として取り入れやすいものを作ろうと考えました」(黒田さん)

マットな質感とベーシックなカラー展開、そして750フィルパワーの高品質ダウンによる膨らみと軽さを両立した。小さく収納できるポケッタブル仕様を採用したことで、これまでにない新しいタイプの防寒具として注目を集めた。
「朝晩が冷える季節の変わり目や、旅行や出張のときにバッグに入れておくと本当に便利なんです」と黒田さんは話す。
ポケットに押し込むだけ。ユーザーの声から生まれた新仕様
ポケッタブルアイテムといえば、外袋に収納するのが一般的だ。しかしユーザーから寄せられたのは、「畳むのが大変」「袋をなくしてしまう」という声だった。そこで2023年にポケッタブルの方法を大きくリニューアルした。
「ポケットにどんどん押し込んでいくだけで、コンパクトにまとまるようにしました」と岡田さんは話す。
身頃の縫い目とポケットのスリットを同一線上に設計することで、着用時にはその存在を感じさせない、美しさと機能性を両立させた。

「大きすぎるとポケッタブルの意味がありませんし、小さいと収納するのが難しくなる。小さいけど、しまいやすい絶妙なサイズ感を探りながら、何度も検証を重ねました。結果、『畳みやすくなった』とのお声をいただいています。左右どちらのポケットにも収納できるのもポイントです」(岡田さん)
新素材を使った3層構造により、価格以上の価値を創出
そしてこの商品の最大の強みは、なんといっても価格である。ダウンをはじめとする原材料の高騰により、今季は価格改定が行われたものの、それでも税込み4,990円という手に取りやすい価格を維持している。「コストパフォーマンスが良いと感じていただけているのか色違いで購入される方も多いです。レディースはベーシックカラーに加え、インナーダウンとしては珍しい“スモーキーピンク”など、5色を展開しています」(岡田さん)

一方、メンズはベーシックな4色を展開。毎年新しいカラー提案も行っていて、今季はキーカラーのライトシルバーグレーが投入されている。
また、値上げ以上の価値を感じてもらえるよう、品質と機能面でのアップデートも行った。
「昨年まではステッチが表に出た2層構造でしたが、今季からはその上にさらに1枚生地を重ねた“3層構造”に変更しました。これにより、ダウンが縫い目から出にくくなり、冷たい風をさらに通しにくくなったことで、店頭では『薄くて不安だったけれど、実際に着てみると驚くほど暖かい』という声を多くいただいています」(岡田さん)
表地は風の流入を防ぎつつ、軽さと柔らかさを実現するため、サプライヤーと共同開発した。この独自素材により、3層構造ながらも約130gという軽さを実現している。
「もともと、レイヤードしたときに着ぶくれして見えないよう、コンパクトなサイズ感にしていましたが、3層構造により生地の膨らみが抑えられたため、スーツの下に着る人も増えています」と黒田さんは語る。

また、裏地にうっすらと見える横のラインは導電糸になっており、静電気の発生を抑制している。さらに素材には環境配慮型の再生ナイロンを採用するなど、価格を抑えながらも、日々寄せられるユーザーの声や、時代に求められる視点を取り入れつつ改良を積み重ねてきた。その姿勢がロングセラーの理由のひとつでもあるだろう。
「最近は秋や初冬はアウターとして1枚で着たり、真冬にはコンパクトなサイズからレイヤードとして楽しんだり、暖房代の節約のために自宅で愛用されていらっしゃる方も多いです。
お客様が季節やシーンに応じて、私たちの想定以上のスタイルを楽しんでくださっているのを見ていると、本当にうれしいです。プレゼントとして購入される方も多く『母に贈って喜ばれた』というお声もいただいています」(岡田さん)
軽く、暖かく、コンパクトで、どんな装いにも驚くほどなじむ「軽量ダウンポケッタブルノーカラーベスト」が、9年もの間、愛され続けてきた理由は、そんな普遍的な価値を保ちながらも、時代の変化に合わせて進化を重ねてきたからだ。
これからも、「軽量ダウンポケッタブルノーカラーベスト」は日常に寄り添いながら、私たちの暮らしをさりげなく暖め続けてくれるだろう。寒さが本格化する前に、このベストをぜひ手に取ってみてほしい。冬が訪れる頃には、きっともう1枚買い足しているはずだ。
Text by Junko Hayashida














