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ロート製薬に聞く、白髪ケアの最前線:「隠す」ケアから「前向きな美容習慣」へ

2026.02.20
昨今は「グレイヘア」という選択肢も広まり、あえて白髪を染めないスタイルを選ぶ人も増えている。しかし、ケアを続ける人にとって、それは依然として「面倒で憂鬱なもの」になりがちだ。
そんなネガティブなケアを“前向きな美容習慣”へ転換させようとしているのが、ロート製薬が展開するヘアケアブランド「PRORY(プロリー)」である。従来の「隠す」ための白髪ケアを、いかにして「髪本来の美しさを引き出す」ポジティブな体験へと進化させたのか。白髪ケアの変遷や、独自の処方を採用した「プロリー リペアカラー トリートメント」開発の裏側について、担当者の栗原氏に話を伺った。

PROFILE

栗原 優理(くりはら ゆり)

ロート製薬株式会社

プロダクト&ブランドマーケティング部

「隠す」ケアから、心が躍る「美容習慣」へ

年齢を重ねるなかで、多くの人が避けては通れないのが白髪の問題だ。ロート製薬が実施したアンケート調査によると、白髪に悩んでいる人の割合は年齢とともに増加し、50代・60代では7割にのぼるという。
この結果の裏にあるユーザーの複雑な心理について、栗原さんは次のように分析する。
「当社ではプロリーの開発にあたり、アンケート調査を重ねてきました。ロート製薬が実施した調査によると、30代では約3割だった白髪悩みが、40代で6割超へと急増し、50代・60代では7割以上に達することがわかっている。多くの方が『隠すために染めなければならない』といったネガティブな感情を抱えていることがわかったのです。
興味深いのは、スキンケアや通常のヘアケアに対しては『ワクワク感』を持つ方が多いのに対し、白髪ケアに関しては温度感がまったく異なること。現在の市場は、美容室や自宅でのセルフカラーなど、あくまで“対症療法的に隠す”行為にとどまっています。
そこで私たちは、白髪ケアの時間を少しでも楽しく、優雅なものにしたいと考えました。短時間や1回での染まりを追求する商品が多いなか、プロリーが目指したのは『美しく染まり、かつツヤのある髪に整える』こと。白髪ケアを、前向きな気持ちになれる新しい美容習慣として提案したいと考えたのです」

技術進化とともに、カラートリートメントが人気に

白髪ケアをめぐる技術と人々の意識は、時代とともに大きく様変わりしている。今日に至るまでの変遷について、栗原さんは次のように振り返る。
「かつて白髪染めと言えば、美容室や家庭で2剤を使って行うのが一般的で、脱色してから色を入れる医薬部外品が主流でした。しっかり染まる利点がある一方、生え際から染めることによる頭皮や髪へのダメージを懸念する人も少なくありません。
現在は、脱色を行わない、化粧品扱いのカラートリートメントの人気が高まっています。以前は、カラートリートメントは髪を色でコーティングするようなものでしたが、技術が進んでキューティクルのあいだにカラーがとどまり、染まった実感が得られやすく、かつ脱色をしないことでダメージを抑えたケアが可能になっています。
とくにコロナ禍で、自宅で白髪ケアを行う人が増加した影響もあって、カラートリートメント市場は伸長傾向にある印象です」
人気が増しているカラートリートメントだが、栗原さんは白髪染めとカラートリートメントの両方をうまく活用することを推奨している。
「白髪染め(カラー剤)は2剤タイプの医薬部外品で、脱色してから染めるため染まりやすいのが特徴です。しかし、髪の毛は1ヶ月に約1cm伸びるため、2週間もすれば生え際が気になってきます。とはいえ、美容室にはなかなか頻繁に行けませんし、カラーリングの頻度が高ければダメージも気になり、不安を感じる方も多いでしょう。
そこで、美容室でのヘアカラーとカラートリートメントを併用して、カバーする使い方をおすすめしています。カラートリートメントは、自宅で生え際に使っても大丈夫ですし、白髪がない部分に塗布しても問題ありません。
当社の『プロリー リペアカラー トリートメント』は、すでに白髪が多い方だけでなく、白髪がちらほらと目立ち始めた“出始め”の方にもおすすめです。ブリーチを行わないため、自分の髪色より明るくなることはありませんが、ファッションカラーをしている人でも、現在の髪色に自然に重ねていくことが可能です」

独自の「イーブンカラープロテイン処方」へのこだわり

「プロリー リペアカラー トリートメント」の開発において、とくに注力されたのが大人の髪特有の悩みである「うねり」と「染色」への同時アプローチだ。
「カラーをする以前の問題として、髪がうねっていると均一に染まりにくく、ムラになりやすいという課題があります。そこで開発されたのが、うねり補正と保湿を同時に叶える『イーブンカラープロテイン処方』です。
髪のうねりの原因は、水分とタンパク質の不足にあります。それに対して、髪の芯から表面までケアしてうねりを補正する成分として“乳酸”と“PVP”を、そして髪の芯まで保湿する成分として“加水分解ケラチン”を採用しました。
乳酸やPVPは、あまり白髪トリートメントには使用されてこなかった成分ですが、うねりを補正するためにあえて配合しています。これらはプロリーのシャンプーやトリートメント、トリートメントセラムなどのインバスアイテムにも共通して入っている成分です。
プロリーのカラートリートメントは、これまでの当社の知見を生かした処方になっており、髪のスペシャルケアをしながら白髪ケアができる設計になっているのです。
ケラチンについては、分子量の異なる多様な種類の中から、髪への浸透性が高い小さな分子量のものを採用し、ダイレクトな補修と保湿効果を狙っています。さらに、加水分解デンプンによるカラー持続効果を組み合わせ、理想の仕上がりを叶える独自の処方が誕生しました」
開発過程では、トリートメント効果を高めるために美容成分を贅沢に配合しようとすると、染まり具合が低下するという「トレードオフ」の難しさに直面した。成分量を微細に調整しながら、実際に髪に使用した際の発色を確かめるという、地道な試行錯誤を繰り返したという。
「製剤の見た目がナチュラルブラックでも、実際に髪に使用すると紫っぽくなってしまうこともありますし、トリートメント成分を入れると色が落ちやすくなるなど、やってみなければわからない部分が多かったです。
理想の色の出具合に仕上げるまでには、非常に大きな労力を要しました。うねりケアやツヤ感、そして染まり具合を絶妙なバランスで保持できるものを追求し、ようやく昨年10月にリリースにいたりました」
発売後は市場でも評価され、ECでの発売後、Amazonやアットコスメといったプラットフォームで高い評価を獲得。「しっかり染まった」「ツヤが出た」といった喜びの声が寄せられている。

隠すものから「魅せるもの」へ。頭皮から変えるこれからのヘアケア

「前向きな美容習慣」への転換は、機能面だけでなく、ユーザーのライフスタイルに目を向けたデザインにも表れている。
「アンケート結果で、多くの人が白髪ケアアイテムを『洗面台の奥に隠している』という実態を受け、プロリーはあえて出しておきたくなるような、洗練されたパッケージデザインにこだわりました。
一方で、外箱には使い方を丁寧に記載し、二次元コードから動画へも誘導しています。塗り方一つで仕上がりが変わるからこそ、初めての方でも迷わず、リラックスして使っていただきたい。香りもツンとした臭いを抑えた『ホワイトティーブロッサム』を採用し、深呼吸したくなるようなひとときを目指しました」
また、意外な反応として男性からの支持も厚い。女性向けに開発されたものの、「ナチュラルブラック」を中心に、白髪の割合を気にする男性ユーザーからも好評を得ているという。
ロート製薬がプロリーを通じて目指すのは、長年の皮膚研究の知見を生かし、頭皮ケアから美しい髪を育てる文化を広めることだ。
「意外にも、頭皮ケアから美しい髪を育てるという考え方はまだ定着していません。ロート製薬は長年皮膚の研究を行ってきましたので、これからも頭皮ケアから美しい髪を目指す文化を広め、白髪ケアをポジティブなものに変えていきたいと考えています」
白髪染めを「隠す作業」から、美しくツヤのある髪に整える「ポジティブな習慣」へ。ロート製薬の挑戦は、多くの人の白髪や頭皮との向き合い方を、より豊かなものへと変えていくだろう。

Text by 継田 理恵(美容家/ライター)

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