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予防医学の観点からも注目! ととのうを可視化する「サウォッチ」の進化

2025.10.08
サウナ愛好家(サウナー)にとって、「ととのう」は至高の体験だ。だが、それは極めて主観的なものであり、どのような感覚なのかと気になるサウナ初心者もいるだろう。そこで、データという客観的な数字を用いて、「ととのう」を可視化しようという動きが出てきた。
それが、サウナ専用ウェアラブルデバイス「サウォッチ」だ。体表温度や心拍変動を計測することで、総合的に体の状態を評価してくれる。
今回、「サウォッチ」を手掛けた株式会社100plusの代表であり、医師でもある加藤容崇さんに、その機能をはじめ、サウナが健康にもたらす効果をお聞きした。

PROFILE

加藤 容崇(かとう やすたか)

慶應義塾大学医学部特任助教・日本サウナ学会代表理事 群馬県富岡市出身。北海道大学医学部医学科を経て、同大学院(病理学分野専攻)で医学博士 号取得(テーマは脳腫瘍)。北海道大学医学部特任助教として勤務したのち渡米。ハーバード 大学医学部附属病院腫瘍センターにて膵臓癌研究に従事。帰国後、慶應義塾大学医学部がんゲノム医療センターや北斗病院など複数の病院に勤務。専門はがんゲノム(癌遺伝子検査)とがんの早期発見技術開発。加速する医療費増加を目の当たりにし予防医療の重要性を再認識し、人間が健康で幸せに生きるためには、健康習慣に よる「予防」が最高の手段だと言うことに気づき、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を 最新の科学で解析することを第二の専門としている。サウナを科学し発信していく団体「日本 サウナ学会」を友人医師、サウナ仲間と作り、代表理事として活動中。初の著書「医者が教えるサウナの教科書」(ダイヤモンド社刊)はロングセラーに。著書に『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)があり、ホンマでっかTV(フジテレビ)、文藝春秋、などメディア掲載多数。

なぜサウナにウェアラブルデバイスが必要なのか

サウナにウェアラブルデバイスという新たな体験
近年、サウナは予防医療の観点からも注目を集めている。フィンランドでは、50年にもわたる疫学的な研究がなされており、疾患のリスク低減効果が認められているようだ。その上、フィンランドの人々は、病気にならないためという以上に、サウナはリラックスできる場所であるとともに、社交の場としてもサウナを愛好している。
「皆さん予防医療には関心がありつつも、なかなか行動に移せません。運動習慣がない人に、健康に良いので週3回は運動してくださいと言っても、続けられる人は少数です。
そうしたときに、嫌なことを強いるのではなく楽しいとか気持ちが良いとか、ポジティブな感情に基づいた行動変容のかたちは何かないかなと考えたときに、サウナに辿り着きました」
しかし、一概にサウナに入るといっても、適温や入浴時間、その日の体調といった個人差が非常に大きいことが問題となってくる。そうした一人ひとりの状況を正確に把握するためには、ウェアラブルデバイスが必要だという考えに至ったという。
こうした目的から、2023年にGakkenの『大人の科学』から初代「サウォッチ」が販売された。そして今回第2弾として、さらに高性能な「サウォッチ SHOWDOWN 1(ショダンワン)」へと進化を果たした。

サウナの高温環境に耐える設計

サウナ室の高温や蒸気に耐えるために、使われている部品や設計を一から見直し
サウナ室は非常に特殊な環境だ。とりわけ電子機器にとっては、極めて過酷な環境ともいえる。
高温なだけでなく、高い湿度、さらには入浴中の人間の汗、そして最後には水風呂が待っている。防水性能だけでなく、急激な温度変化にも耐えうる設計でなければならない。この課題をどのように解決したのだろうか。
「一般的なスマートウォッチはサウナでの使用を想定していないので、サウナに耐えうる部品に変更しています。
中でも一番難しかったのは、蒸気を防ぐというところでした。通常の防水機能では蒸気の浸入までは防げず、また温冷交代入浴によって内部に結露が生じてしまいます。その対策のために、一から設計を見直しました」
さらに、メール等の通知機能などサウナに不必要な機能を削ぎ落とすことで、消費電力を抑制している。これにより、安定した動作と長時間のバッテリーライフを両立させることが可能になった。

「ととのう」を可視化する独自アルゴリズム

「サウォッチ」と「サの国」アプリで、ととのうを可視化することに成功
サウナの醍醐味である「ととのう」の定量化が、「サウォッチ」の特徴だ。一般的に「ととのう」とは、サウナから水風呂へという普段の生活では経験することのない過酷な温度環境変化により、人間の副交感神経が通常よりも大きく活性化し、体がホッとした状態を指す。
この状態を把握するために、個々人の体調や身体状態を、心拍数や心拍変動(HRV)といった客観的なデータで可視化できれば、ユーザーは自身のコンディションを正確に把握し、誰でも最高のサウナ体験が可能になるという考えだ。
「『サウォッチ』は、心拍数や体表温度、HRVという心拍変動を計測しています。特にHRVが重要な鍵を握り、サウナの高温による交感神経の活性化から、水風呂による急激な温度変化を経て、外気浴での副交感神経優位へのスイッチングという、一連の過程におけるHRVの変化を精密に捉えます。
これを独自のアルゴリズムで解析し、ユーザーがどの程度リラックス状態になっているか、いわゆる『ととのう』の状態にあるのかを客観的に評価できるようになりました」
サウナ、水風呂、休憩と、その時々で表示も変化する設計
より細かいデータは、「サの国」というアプリを使用すると情報が得られるよう設計されている。
「ととのうの数値化だけでなく、心拍数もグラフで見ることができます。そこでは、安全スコアと熱中スコアというのぼせ具合もわかるようにしています。
勘違いをされている方も多いのですが、サウナは負荷をかければいいというものではなく、過剰に負荷をかけると逆効果になってしまうこともあります。正しくサウナを楽しんでもらうために、目安となる心拍数を確認できるようにしています」
データの蓄積という点では、スマートフォンのGPS機能を利用し、アプリ内で近場のサウナを検索できるだけでなく、どこのサウナに何分滞在していたのかまで計測でき、サウナーにとってはかゆいところに手が届く設計になっている。
サウナ活動、いわゆる「サ活」を記録し、より快適なサウナライフを提供
さらにサウナの効果を多角的に検証するという点で、睡眠の記録ができる機能にも注目したい。
「『ね録』という新機能を搭載しました。こちらは『サウォッチ』をつけて寝ていただくと、自動で睡眠を記録してくれます。直前にサウナに入った記録と紐づけされることで、睡眠スコアとの関係を見出せるようになりました。
たとえば、サウナに入った日と入らなかった日で違いはあったのか、サウナに入った時間帯で睡眠の質は変化したのか、サウナに何セット入った日がよく眠れたのかなどを知ることができ、記録を続けていくことで、どのような行動が自分の睡眠に影響しているのかを把握しやすくなります」
サウナ記録と睡眠の質をリンクさせることで、新たな発見が得られる
実際に製品を使用したユーザーからは、「自分の感覚が正しかったことがデータで証明された」「体調に合わせてサウナの入り方を調整できるようになった」といった肯定的な声が寄せられているようだ。

「サウォッチ」が描く未来のサウナ体験

サウナ初心者からベテランまで、また体調を管理したいすべての人の選択肢に
これほどまでサウナに特化したウェアラブルデバイスは、これまで存在してこなかった。だからこそ、その注目度は高かったのだろう。
加藤さんは、以前ビジネス映像メディアであるPIVOTに出演し、サウナの効能について解説をしていたが、「サウォッチ」の販売時期よりも早い放送だったため、自社ECサイトにアクセスしてくれる人がどれほどいるのか不安だったという。
「第1弾はGakkenさんのお力もあり、多くの方のもとに届けることができました。今回は自分たちだけでの販売でしたので、ほそぼそとでも売っていければと考えていました。
ところが、3,000個ほど準備した分は販売開始15分で完売してしまい、今は予約を受け付けながら販売を続けている状況です」
より効果的なサウナ体験ができるということで、以前から注目していた人は多いのだろう。今後、よりサウナ人口を増やしていくために、どのような機能のアップデートなどを予定しているのだろうか。
「サウナ愛好家のためには、より高度な個別化したデータが見られるようなサウナカルテを提供できるようにしていきますし、サウナに興味を持ち始めた方にも、サウナの入り方やその効能がはっきりと分かるかたちでデータ提供ができるようにしていきます。
また、男性よりも女性のほうが自身の体調管理に敏感な傾向があります。多くの女性が手に取りやすいデザインも開発中です」
サウナと聞くと、どうしても体に大きな負担がかかるのではないか、いまいち入っても良さが感じられなかったという人も多いだろう。だが、加藤さんが話すように、楽しみながら病気の予防に効果があるのなら、試してみようという人もいるはずだ。そうした人には、ぜひ「サウォッチ」と「サの国」アプリを自身の健康管理ツールとして取り入れてみてほしい。

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