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140年の歴史を持つ老舗サロン専用品ブランド「WELLA(ウエラ)」、日本にR&Dを移転したその開発力に迫る

2024.11.14
140年以上にわたり髪のプロフェッショナルとして研究を重ねてきた、ドイツ発のヘアケアブランド・WELLA(ウエラ)。そのサロン向けブランドである『ULTIME(アルタイム)』から、今年7月に新ライン『ULTIME REPAIR(アルタイム リペア )』が発売された。
使うとたちまちにダメージ髪がなめらかに扱いやすくなると人気を博している『アルタイム リペア』。今回はその開発背景や、アジアの研究開発拠点をシンガポールから日本に移した理由、移転後の変化について取材した。

PROFILE

エンジェル コウ(Angel Koh)

WELLA COMPANY GROUP
学術博士 研究開発本部 APAC R&Dディレクター

PROFILE

高杉 広政(たかすぎ ひろまさ)

WELLA COMPANY GROUP
研究開発本部 スタイリストネットワーク/グローバルテストサロン マネージャー

140年の専門知識に基づく髪の補修要因分析

スキンケアに着想を得た、髪の集中補修ライン『アルタイム リペア』。開発背景にあった顧客ニーズや、ヘアケアのトレンドについて教えてください。
高杉近年、一般的に「髪が美しくなければ、肌も全体的な印象も美しく見えない」という考えが定着しています。そんななか、ウエラのデータでは約70%の女性がヘアカラーやパーマ、ドライヤーなどが原因で「自分の髪は傷んでいる」と感じていることがわかっており、ダメージ補修のニーズは高いと考えています。
ウエラ プロフェッショナルは、ヘアデザインを楽しむ人を増やしたい、ポジティブな変化を楽しんでほしいという思いで、「もっと強く、もっと美しく」というメッセージを掲げて『アルタイム リペア』を発売しました。
ここ数年、ヘアケアにコストをかける人は増加傾向で、高価格帯のアイテムも好調です。実際サロンの現場でも、サロンに来ない日常も髪をまとまりやすく美しく見せたい需要があり、お客様からホームケアの提案を求められることが多くあります。
ヘアケア市場には新規の成分も出てきていますが、『アルタイム リペア』はウエラの長年の知見を生かしたスキンケアでなじみのある成分を応用しました。またスキンケアと同じように、複数の製品を組み合わせることでより高い効果を感じられるような製品にニーズがあると考えました。
『アルタイム リペア』には、スキンケア発想の成分としてAHAやOMEGA-9が採用されていますね。スキンケア成分をヘアケアに応用するには、どのような難しさがありますか?
エンジェルAHA-アルファヒドロキシ酸、OMEGA-9には、たくさんの種類があります。多数存在する成分のうち、ほかの成分とのバランスや相性を吟味し、髪の補修に適したものを選びました。
成分をひとつずつ検討し、アップグレードを重ね、最良のコンビネーションを追い求めていきました。これまでのウエラの知見があったうえでも、現在の処方に辿り着くまでには5年の月日がかかりました。
『アルタイム リペア』はアウトバス(浴室外で使用)アイテムですが、最新のトレンドではアウトバスケアを重要視する傾向があるのでしょうか?
高杉髪を好みの質感、理想のコンディションに整えて維持するには、サロンでのケアやインバスケア(浴室内でのケア)が欠かせません。
とはいえ、なかなか頻繁にサロンに行けなかったり、時間やタイパを重要視したりする人も少なくありません。そこでサロンではお客様にアウトバスアイテムを提案し、ヘアケアの意識を高めていくきっかけづくりに努めています。
アウトバスアイテムは美容師にとってもお客様のスタイルの仕上げに使いやすく、サロン専売品ならではのアウトバスケアの効果を訴求できます。お客様がアウトバスアイテムでよさを感じて、その流れからインバスアイテムにも興味をもたれることも多くあります。
『アルタイム リペア』は、来年2月にシャンプーとマスクを発売予定です。『アルタイム リペア』のアウトバスアイテムを気に入っていただいているお客様に、シャンプーとマスクも含めたナイトルーティンを提案していきたいと考えています。
『アルタイム リペア』の効果的な使い方、取り入れやすい使い方を教えてください。
高杉ミストは手を汚さずに使えるので取り入れやすいですし、忙しい朝の寝癖直しにも使えます。スキンケアのように、ミスト、ナイトミルク、オイルと重ねていただくのもおすすめです。

日中に髪の乾燥が気になるときは、乾いた髪になじみやすいオイルの使用をおすすめします。なお髪をセットした上から水分を与えると崩れてしまうので、セット後のミストは控えるのがベターです。
『アルタイム リペア』ユーザーからは、どのような声が届いていますか? 予想外のリアクションもあればお聞かせください。
高杉ここ数年、ヘアケア市場はオイルタイプやミルクタイプが主流でしたが、ウエラがミストタイプを出したことで「手持ちのオイルやミルクと併用できる」といったお声をいただきます。ヘアケアにも複数のアイテムを組み合わせて使用するお手入れ方法に、多くの共感が得られています。
一番人気なのは、ミストタイプの『ミラクルヘアトリートメント』です。ミストは予想以上によい反応をいただいています。サロンのスタイリストがSNSで発信した、クシが通らなかった髪にミストを使用するとクシが通るという動画も注目されました。
驚いたのは、『アルタイム』の香りを気に入っていただく方がとても多く、香りの面からも『アルタイム』で揃えたいという需要があったことです。
『アルタイム リペア』の開発において、ウエラだからこそできたポイントは?
エンジェル『アルタイム リペア』はスキンケアから着想を得て開発しましたが、肌と髪には大きな違いがあります。それは、自己再生能力の有無です。髪には自己再生能力がないため、アプローチ方法が異なります。肌にははたらくけれども、髪にははたらかない成分もあるのです。
『アルタイム リペア』の開発時は、ウエラがもつ140年以上の専門知識を生かして、髪の補修のための要因を分析しました。その結果、髪の補修に最適な成分として、化学合成物ではなく人体でも生成できる要素のOMEGA-9を発見しました。
もっとも効果的な処方を見つけることができたのは、こうした140年以上積み上げた知見をもとに、分析や配合量のテストを慎重に行うことができるR&Dがウエラにあったからだと言えるかもしれません。

国内拠点から実現する顧客との深い対話

ウエラのアジアのR&D拠点は、2023年にシンガポールから日本に移転されましたね。グローバル企業において、アジアのハブはシンガポールであることも多いですが、日本に移し『TOKYO Innovation Center』として新たにスタートした理由は何ですか?
エンジェルアジアのR&D拠点を日本に移したきっかけは、コロナ禍でした。WELLAにとって日本は重要な市場のひとつです。コロナ禍前は月に1回ほど日本に出張していましたが、コロナ禍でシンガポールの出入国が厳しくなり、十分に日本のニーズやトレンドをキャッチしにくくなりました。
日本に移して『TOKYO Innovation Center』がスタートしてからは、日本の消費者のニーズ、洗練されたビューティ意識を肌で感じやすくなり、より日本のカスタマーとコミュニケーションしやすくなりました。会社としてのプロセスも変わり、非常に効率化され、サロンの現場に寄り添う体制も整ったと感じています。
『TOKYO Innovation Center』では、現在どのような研究開発をされていますか?
エンジェル現在、トレンドに合わせたヘアカラーやヘアケアの製品に積極的に取り組んでいます。深みと透明感を両立させ、硬い髪質を柔らかく見せるヘアカラー『カリスマブラウン』のバリエーションを追加予定です。
ツヤや透明感の表現性で人気の『イルミナカラー』にはヘアカラーによる髪への負担軽減に配慮した新技術を採用したり、10月16日には『LUXE LINE(リュクス ライン)』がアップグレード。『リュクス ライン』は、日本人の髪特有のニーズに応えるため、『TOKYO Innovation Center』で改良されました。
TOKYO Innovation Centerでの研究や商品開発について、今後の展望をお聞かせください。
エンジェルR&Dが日本に移転して、ヘアサロンやお客様の声を直接キャッチしやすくなりました。私自身、つねにドラッグストアやヘアサロンに足を運び、刺激を受けています。また『TOKYO Innovation Center』には研究者も多く、美容への情熱や最新の情報に敏感です。
社内でのコミュニケーションはもちろん、日本のスタイリスト、お客様とのリレーションを深めながら、タイムリーにニーズに応えられる革新的で魅力的な製品を提供できるよう、これからも研究開発を続けていきます。

Text by 継田 理恵(美容家/ライター)

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