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魔法びんの発想を日傘へ サーモス「&ONDO」高遮熱モデルの開発秘話
魔法びんのパイオニアであるサーモスが展開するアパレル小物ブランド「&ONDO(アンドオンド)」から、初の春夏アイテムとして『COOL遮熱 日傘』が登場した。
サーモス株式会社広報の神林由香さんに話を伺い、魔法びんにある保温や保冷のイメージに着想を得て、どういったコンセプトで日傘の開発にあたったのか、その開発背景や独自の生地構造、そして猛暑を快適に過ごすための設計思想について紐解いていく。
PROFILE

神林 由香(かんばやし ゆか)
サーモス株式会社 社長室 ブランド戦略課 コミュニケーション2グループ
2023年にサーモスに中途入社し、サーモスや&ONDOの広報を担当。好きなことは旅行、映画や動画鑑賞。
魔法びんの“温度を守る発想”は、春夏の日常にも応用できるのか
サーモスはこれまで、真空断熱技術を用いて飲料などの温度を保つ製品を展開してきた。2024年に立ち上げた新ブランド「&ONDO」は、「温度によるセルフケア」をコンセプトに掲げている。秋冬向けのルームソックスなどに続き、2026年春夏アイテムの一つとして日傘の開発に至った背景には、近年の過酷な暑さに対する生活者の深刻な悩みが存在している。「近年は非常に暑い日が続いています。その暑さの中でも、より心地よく過ごしていただけるような製品を提供したいと考え、春夏製品を展開することにしました。中でも日傘は、体の一部を保護するだけでなく、体の周囲全体に暑さを和らげる空間を作ることができるアイテムです」

サーモスが日傘を開発するにあたり、魔法びんの真空断熱技術が直接的に傘の構造へ応用されているわけではない。しかし、魔法びんで冷たい飲み物を冷たいまま保つという機能から着想を得て、日傘をさすことで“涼しい空間”を持ち歩くというコンセプトが生まれたという。
「魔法びんは内瓶と外瓶の2重構造の間に真空状態を作り、熱を外に伝えない構造です。&ONDOの秋冬向けアパレル小物にも見られる、層を作って熱を保つという思想と近しいものがあります。弊社のタグラインである『次の心地よいをつくる。』という考え方に沿って、日傘開発においてもいかに快適に過ごしていただけるかを重視しました」
日傘開発の壁になった色と性能のジレンマ
日傘を開発するにあたって直面したのは「色による性能の差」である。一般的に、白や淡い色は熱を反射しやすい一方で遮光性が劣り、黒や暗い色は遮光性が高い一方で熱を吸収しやすい傾向がある。&ONDOの『COOL遮熱 日傘』は、この課題に対して明確な回答を用意した。「私たちが展開する日傘は、どの色を選んでも遮熱率が統一されている点が大きな特徴です。色によって遮熱率を担保するのが難しいという課題がありましたが、生地を工夫することにより、どの色でも高い遮熱率を実現しました。
同じ白に見える色でも、遮熱率の差があり、最適な生地の選定には非常に苦労したと企画担当から聞いています」
高遮熱タイプの「SG-C601F」は、ホワイト、ライトベージュ、ライトブルーの3色を展開している。全カラーで遮熱率60%以上、遮光率100%、UVカット率100%(UPF50+)、近赤外線カット率99.9%以上という日傘としての高いスペックを備えている。

この性能を支えているのが、サーモスが独自に開発した生地構造である。高密度に織り上げた2重織りの生地の内側に、遮熱・遮光・UVカット・近赤外線カット性能を持つラミネートフィルムを重ねた2層構造を採用している。

「&ONDOの日傘の涼しさは、頭部の温度上昇を抑えることを最優先に設計しています。太陽光の透過を裏地の黒いラミネートフィルムでしっかりと抑えることで熱を通さず、結果として体の周囲全体に暑さを和らげる空間を作り出しています」


高遮熱にすると重くなる。その矛盾にどう向き合ったのか
高い遮熱性を追求すると生地が厚くなり、必然的に日傘自体の重量が増してしまう。この相反する要素を解決するために開発されたのが、軽量タイプの「SG-C602F」である。「一般的に、高い遮熱性を実現するには厚い生地が必要です。しかし、厚い生地のまま軽量化を図ることは非常に困難でした。この壁を乗り越えるため、素材の開発や設計の工夫に多くの時間を費やしました」
軽量タイプは、約210gという毎日持ち歩いても負担にならない軽さを実現しながら、全カラーで遮熱率40%以上を確保している。親骨などの金具部分は高遮熱タイプとほぼ同じであるため、軽量化の鍵は生地そのものにあるという。

「高密度の生地には従来よりも軽い繊維を採用しています。さらに、その生地に遮熱・遮光・UVカット・近赤外線カット機能を持つパールコーティングを施し、内側にはラミネートフィルムを貼り合わせた2.5層構造にしました」
単一の素材では達成が難しい遮熱性能を、複数の層を組み合わせる「複合層構造の相乗効果」によって実現している。各層を薄くしながらも、コーティングとフィルムのダブルの効果で、熱や光をしっかりと遮る仕組みだ。
“遮熱”だけでは選ばれない。ユーザーの声が生んだ2つの最適解
&ONDOが「高遮熱タイプ」と「軽量タイプ」の2モデルを展開した背景には、事前のユーザー調査から得られたリアルな声がある。日傘に求める機能について、生活者の切実な悩みが浮き彫りになったという。「サーモスから日傘が発売されるとしたら何を期待するかという問いに対し、もっとも多かったのが『UVカット性能』で次いで『遮熱性の高さ』でした。年々暑さが増すなかで、お客様は紫外線対策だけでなく、いかに涼しく快適に過ごすかという視点を強く持っていらっしゃいます」
一方で、日常的に使用している日傘への不満点として多く挙げられたのが「重さ」であった。この2つの異なるニーズそれぞれに応えるため、遮熱性能を高めたモデルと、携帯性を重視したモデルが誕生した。
また、開発段階の社内テストでは、生地が厚いことによる「たたみやすさ」への課題も浮き彫りになった。日常的に使うアイテムだからこそ、収納時のストレス軽減も重要なポイントとなる。
「高遮熱タイプは生地が厚い分、最初はしまいにくいという声が多くありました。そこで、生地の性能は変えずに、傘をまとめるベルトの幅を太くし、収納袋を少し大きくすることで、使い勝手を向上させています」

サーモスが描く新しい夏の快適さ
かつて日傘は、主に女性が日焼けを防ぐためのアイテムとして認識されていた。しかし、近年の気候変動により、その役割は大きく変化している。「今は紫外線をカットするだけが目的になるのでなく、ハンディファンやネッククーラーなどと同様に、どうすれば快適に涼しく過ごせるかという観点から選ばれるアイテムへと変わってきています。男性やビジネスパーソン、さらにはお子様まで、性別や年齢を問わず暑さ対策は必須の時代です」
&ONDOの日傘は、ビジネスシーンからレジャーまで、あらゆる場面で使いやすいシンプルなデザインを採用している。高遮熱タイプは明るめのカラー、軽量タイプはシルバーやメタリックグレーなど落ち着いたカラーを展開し、日常のあらゆる外出時に「涼しい空間」を持ち運ぶことができる。
最後に、今後のブランドの展望について神林さんは次のように語ってくれた。「お客様が生活の中で感じる温度を、より心地よいものにしていただくために、春夏・秋冬問わずラインナップの拡充を図っていきたいと考えています。暑さや寒さを我慢するのではなく、より快適に過ごせる製品を展開していく予定です」
魔法びんの「温かい・冷たい」というイメージは、日傘という新しい形へとつながっている。確かな遮熱技術とユーザー目線の細やかな設計が融合した&ONDOの日傘は、暑さが厳しさを増すこれからの季節において、日常の移動を快適にする助けになりそうだ。













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