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【日本未上陸】価格40万円でも完売続出──ニューヨーク発・個性派バッグブランド「Esha Soni(エシャ・ソニ)」の挑戦

2025.05.25
ファッション業界で今、注目を集める新星バッグデザイナーがいる。2022年にニューヨークで誕生したラグジュアリーブランド「Esha Soni(エシャ・ソニ)」の創設者、エシャ・ソニだ。
彫刻のようなフォルムと高い実用性を兼ね備えたバッグは、すべて職人の手作業によるもの。その美しさは“持ち歩けるアート”とも称される。
さらに彼女は、財団を通じた社会貢献にも力を注ぐ。「利益と社会貢献のバランスを大切にしたい」と語るエシャが描く、次世代ラグジュアリーのかたちとは──。

PROFILE

エシャ・ソニ(Esha Soni)

バッグブランド「Esha Soni」設立者兼デザイナー

ラルフ ローレン、マイケル コース コレクション、プロエンザ スクーラーなど、数々の名門ブランドでデザインとクリエイティブリーダーシップを発揮してきたバッグデザイナー。ムンバイで育ち、ニューヨークのFITやフィレンツェでデザインを学ぶ。インドの子どもたちに教育を提供する財団を立ち上げたことをきっかけに、自身の名を冠したブランドをスタート。素材とクラフトへの愛情が息づく作品で注目を集め、2023年にはCFDA(アメリカファッション協議会)に招待され、2024年にはイザベル・マランによるFashion Trust U.S. アクセサリー賞を受賞

曲線が語る、新しいラグジュアリーのかたち

ニューヨークの老舗高級百貨店バーグドルフ・グッドマンやバーニーズ・ニューヨーク。そのバッグ売り場の広いスペースに陣取るのが、今注目の新進ブランド「Esha Soni(エシャ・ソニ)」だ。
デビュー作品でもあるシグネチャー“THE ORB”は、円形のベース、曲線を描くボディ、そして丸みを帯びたトップフラップを特徴とする。エレガントなシルエットは真鍮製のトップハンドルと一体化しており、手彫りの真鍮パーツが留め具として施されている。
The Orb OLIVE FRENCH CALF
日本円で定価約40万円と、決して手が届きやすい価格帯ではないが、カラーによっては公式ECや各小売店で売り切れになるほどの人気ぶりだ。
“THE ORB”に続く新作として世に送り出されたのが、「彫刻的なエレガンスを体現するアイテムを作りたいという思いから生まれた」という“THE SLOPE”だ。
The Slope SADDLE FRENCH CALF
花瓶もしくは壺のようにも見えるそのバッグは、ジュエリーとして単体で着用することも可能なバングルが装飾されており、エシャのレザーとハードウエアとの調和というコンセプトをも体現する。
自身のブランドを通してこれらアイコニックな作品を創造する彼女は、それ以前にもバッグデザイナーとしてのキャリアの中で多くのヒット作を生み出してきた。「Michael Kors(マイケル コース)」や「Ralph Lauren(ラルフ ローレン)」、「Proenza Schouler(プロエンザ スクーラー)」、「Mansur Gavriel(マンサー ガブリエル)」といった象徴的なアメリカブランドの成長を、18年以上にわたり牽引してきたのだ。

ファッション業界での経験を通じて芽生えた、ブランド設立への意欲

エシャはインド・ムンバイで生まれ育ち、ニューヨークの名門FITでデザインを学び、その後イタリアのフィレンツェにあるポリモーダ・インスティテュートに1年間留学。その後、前述した数々のブランドでバッグデザイナーとして経験を積む過程で、「いつかはブランドを立ち上げ、自分の思いを体現する術を持つだろうと常に思っていた」と語る。
2019年に、デザインとコンセプトを練り、ブランド立ち上げの準備が整ったと感じるも、新型コロナウイルス感染症の影響で一時中断。2022年6月に満を持してデビューを果たした。
「ゆっくりと、そして意義深く創作したいという思いが、ブランドを立ち上げた理由です。今のファッション業界では、ラグジュアリーラインでさえ常に速いペースで進化していくことに、私は疲れ果ててしまっていたのです。
時代を超えて受け継がれる、家宝級の品質を持つ作品を作るために、もっとじっくり考えたいと思うようになりました」

エシャが描く、ラグジュアリーの再定義

「意図と誠実さをもって、長く愛される“身につけるアート”を届けたい」
それがエシャの揺るぎない信念だ。彫刻やジュエリー、アートからインスピレーションを得る彼女は、レザーの成形から真鍮パーツに至るまで、各分野の職人と協業し、すべてを手作業で生み出している。
「私たちの作品はすべて少量生産で、値下げやセールは一切行いません。真に時代を超えるものであり、時を経るほどに価値が増していくものだと信じています」
Esha Soniに携わる職人たち
エシャの思想は、サステナビリティにも深く根ざしている。環境・経済・社会の側面から世代間の公平性を重視し、職人の保護、利益の持続性、社会貢献のバランスを保つことが“誠実なデザイン”に直結すると語る。
「私たちは、自然や素材、製品の製造に使われる有形資源と人的資源に、精神的な敬意を込めています」
廃棄物の最小化、CO₂排出量の削減、サプライチェーンの透明性といった取り組みに加え、彼女はブランドの立ち上げと同時に、インドの子どもたちに初等教育と職業訓練を提供する財団も設立した。
「ブランドが成長するほど、社会貢献もそれに比例して大きくなっていくようにしたい。いつか、少女たちのための職業訓練プログラムをデザインできたらと思っています。美しく、時代を超える象徴的な作品を生み出すことで、人々の感性や行動を刺激し続けたいのです」
The Slope
「Esha Soni」の作品は、トレンドに流されることなく、個性と品格をあわせ持つ。真摯な手仕事から生まれるバッグは、持つ人の感性に語りかけ、時に会話のきっかけにもなる存在だ。モダンとクラシックを巧みに融合させ、社会貢献への情熱をも静かに織り込むその姿勢には、唯一無二の信念が宿っている。
「バッグづくり、ビジネス、顧客とのコミュニケーション——すべての行動において、誠実であり続けることが大切。誠実さを伴うラグジュアリーこそが私の信念であり、“モダンラグジュアリーハウス”というビジョンなのです」
その言葉通り、彼女の創造は、美と思いをまとうラグジュアリーの新たなスタンダードを提示している。

Text by ELIE INOUE

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