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ダウンの“あるある問題”を解消! ゴールドウイン渾身の「3D BOX BAFFLE DOWN」のスペックとは

2024.12.17
冬の防寒に欠かせないダウンジャケット。だが、暖かさを感じる一方で、被服内にわずかな寒風を感じた経験はないだろうか。この問題に向き合ったのが、ゴールドウインだ。
1951年に創立され、ジャパンメイドの高い品質で、日本のみならず、世界のアウトドアシーンで愛されてきたゴールドウインは、新たなバッフル構造を開発し、特許を出願中。その最新のテクノロジーについて、商品企画を担当する加藤さんに話を聞いた。

PROFILE

加藤 雅大(かとう まさひろ)

株式会社ゴールドウイン ゴールドウイン事業部ライフスタイル企画グループMD

自社のラボで機能性をデータ化し、商品に反映

御社はアウトドアウエアを長らく手がけていますが、その中でダウンジャケットにはどのようなこだわりを持っているのでしょうか?
ゴールドウインは現在、スキーやアウトドア、アスレチック、モーターサイクルなどの6カテゴリと、カプセルコレクションのゴールドウインゼロで成り立っています。
なかでもスキーは重要なカテゴリです。というのも、我々はスキーウエアから始まったブランドで、過去にはスウェーデンやイギリスのナショナルチームにウエアを提供してきた実績もあります。スキーにダウンジャケットは欠かせませんから、ブランドとしてはとても重要なアイテムだと考えています。
また、弊社には、8,000m峰級の高所登山にも対応可能なアウターを手がけるザ・ノースフェイスというブランドもあり、社内に蓄積されたテクノロジーが多くのダウンジャケットに反映されています。
具体的にどのようなテクノロジーなのでしょうか?
弊社は富山県小矢部市に本店がありまして、併設されたR&Dセンターにはテックラボという研究施設を構えています。ここでは、人工降雨機を使って耐水圧や透湿性を検証したり、温度や湿度を一定に保持した条件下で素材の性能を試験・評価したりしています。
ダウンジャケットにおいては、サーモグラフィ等を使って、体のどの部位を温めると保温性が上がるのかといったことをデータ化しています。たとえば、背骨に沿ったラインを温めると、保温効率が高まり、より暖かく感じることが弊社の研究で判明しているので、ゴールドウインのダウンは基本的には背骨のラインに中わたを集めた設計になっています。
データに基づいて作られているんですね。その中で、今回の3D BOX BAFFLE DOWNが誕生した背景を教えてください。
「ダウンを着ているのに暖かくない」と感じるメンバーが多かったことがきっかけです。原因を調べていくと、体をひねったときに裏地が体に追従せず、その結果生まれたダウンとの隙間が空気の通り道になって、寒さを感じる一因になっているのではないかという仮説が出てきました。
そこで、ダウンを小分けにしていけばうまく体に追従できるのではないかという話になり、開発がスタートしました。

裏地の長さを変え、保温性をアップ

具体的にどのような構造になっているのですか?
ポイントとなったのは裏地の長さです。弊社も含めて、これまでの一般的なダウンジャケットは、表地と裏地がほぼ同じ長さで作られていて、間に中わたを詰めるという構造でした。この構造だと裏地が体の動きに追従しないだけでなく、中わたが潰れてしまい、ダウンのフィルパワーや保温性が生かされないことが多いことがわかりました。
そこで裏地の長さを長くして、ブロック状に区分けをし、タックやプリーツで立体感を出すことで、上下左右に動いても体に追従して、コールドスポット(縫い目部分のダウンが潰れて冷気が入り込んでしまう箇所)を作らないダウンが完成しました。
背骨の部分だけパターンが違うのは、先ほどおっしゃっていた背骨を温めるためですか?
その通りです。人間の体は前肩気味になっています。たとえばアウトドアカテゴリでは山道を歩くことを想定するのですが、このときは前傾姿勢になるため、より前肩になりやすいんです。そうすると背骨付近のダウンが左右に逃げてしまって、隙間が空いてコールドスポットが生まれやすくなります。そこで背骨付近の幅を狭くすることで、ダウンが左右に逃げることを防いでいます。
パターンにおいて、他にこだわりはありますか?
まずアウトドアカテゴリのダウンジャケットでは背面とフードにのみ、3D BOX BAFFLE DOWNを配置しています。というのも、立体感があるので、すべてに入れてしまうと着膨れてしまい、動きづらくなるからです。
また、表地にゴアテックスのウインドストッパーを採用しているのですが、軽量の素材なので、ダウンの形状が伝わりやすく、身頃が相当膨らむんです。3D構造を維持しながらも、どうしたらすっきりとしたフォルムに見えるか。この調整には苦労をしました。
一方で張りがある表地の場合は、ダウンが響きにくいので、前面にも配置をしています。また、ライフスタイルカテゴリのダウンは、背面全体に取り入れると街中では暑いぐらいなので、横一列に配置をしたりと、カテゴリによって3D BAFFLEのパターンを変えています。
「ゴアテックス900フィルパワーダウンジャケット」132,000円(税込)
「ゴアテックス スノー レンジ ダウン パーカ」99,000円(税込)
アウトドアカテゴリのダウンで、フードにもダウンを採用しているのはなぜでしょうか?
アウトドアでヘルメットをかぶったときに、寒さを感じやすい耳を守ったり、首から冷気が入り込むことを防いだりするためです。
また、止水ファスナーを使っていますが、風が通ってしまうことがあるため、シャットアウトできるように前立ての部分にもダウンを使っています。

構造の改良でヒートロスが21%軽減、保温性が7%アップ

実際に3D バッフル ダウンにすることで、どのぐらい暖かさが変わるのでしょうか?
通常のダウン生地とバッフルダウン生地で、保温力の違いをテックラボで測定したところ、同じダウンの量でヒートロスが21%軽減され、保温性が7%上がることがわかりました。
弊社のダウンは、もともとリサイクルダウンや環境に配慮されたフローで採取された毛を使っていますが、さらに7%少ないダウン量で同じ暖かさを出せるので、環境にもやさしいダウンジャケットになっています。
「ゴアテックス スノー レンジ ダウン コート」121,000円(税込)
実際に着てみると見た目よりも軽くしなやかですね。
ライフスタイルではビジネスカジュアル用のダウンも用意しているのですが、そちらは光電子ダウンという、体温の輻射熱を循環するダウンを使っていて、暑くなりすぎないのもポイントです。
特にタウンユースでは、電車内などではダウンだと暑すぎることがありますが、そういうときでもオーバーヒートしない設計になっています。
光電子を採用したダウン「ゴアテックス ウインドストッパー ダウン パーカ」121,000円(税込)
ダウンジャケットの今後の展望を教えてください。
3D BOX BAFFLE DOWNは、ダウンだけでなく中綿のアイテムも含めて、FWシーズンのアイコンにしていきたいと考えています。たとえば今シーズンのゴールドウインゼロでは、3D BOX BAFFLE DOWNを表地にして、デザインとして落とし込んだアイテムも発表しています。
また最近は暖冬傾向が続いているので、もう少し薄手のミドラーダウンや、ダウンシャツのようなアイテムの需要が増していくことが考えられます。なので、今後はダウンジャケットだけでなく、アイテム属性が異なるところへの水平展開も視野に入れていきます。
ジャパンメイドの高い技術力により、デザイン性、着心地、保温性を兼ね備えた新時代のダウンテクノロジー構造が、今後どんなアイテムに採用されるのか。楽しみにしたい。

Text by Junko Hayashida

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