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ゴジラやファントムシータとのコラボで話題:ha | za | ma 松井諒祐が語る「生き様としてのファッション」

2025.07.10
日常に、ひとさじのドラマを――。
アパレルブランド「ha | za | ma」が紡ぐファッションは、着る人の心に物語を宿し、見る人の感情を揺さぶる。ゴジラの靴で世間を驚かせ、最近ではAdoプロデュースのアイドル「ファントムシータ」とのコラボレーションを発表するなど、その唯一無二の世界観が今、多くのファンを魅了してやまない。
ブランドの中核を担うデザイナー・松井諒祐は、何を思い、クリエイションと向き合っているのか。その心の内に迫った。

PROFILE

松井 諒祐(まつい りょうすけ)

ha | za | ma デザイナー

「働きたくない」から始まった、異端の道

SNSを中心に話題が絶えないha | za | maは、2014年にスタートした。4年制の大学を経て、文化服装学院を卒業後、ブランドを立ち上げて今日に至るまで、そのスピードたるや目を見張るものがある。
松井さんがファッションに興味を持ち始めたのはいつ頃なのだろうか。
「就活の時期になると、『働きたくない』『まだ就職したくない』という気持ちが強くて、大学生活というモラトリアム期間が終わるのを少しでも先延ばしにしたいと考えていました。たとえば、金髪を黒髪に戻さなければいけないとか、そういったルールに縛られるのもすごく嫌で。
もともとファッションが好きだったこともあり、『専門学校に進んで夢を追う』という理由を親に伝えて、就活を回避する道を選びました。もちろん親には反対されましたが、『自分のお金でやる』と言って、文化服装学院に進学しました。
とはいえ、文化(服装学院)に入った時点では、将来的にはどこかの企業に就職して、まずはビジネスについて勉強もしてから自分のブランドをやるのかなと思っていたんです。でも、結果的に『もうこのまま始めよう』と決めて、就職せずに自分の道を進むことにしました」
現在では、D2Cブランドも多くなってきているが、ha | za | maがスタートした2014年はまだ少なく、珍しい時代でもあった。
「2014年は、おそらくインターネットブランドの黎明期だったと思います。本格的にネット発のブランドが注目され始めたのは2018年頃ですが、当時はまだ界隈も狭く、今と比べても本当に初期段階でした。
そんななかで、『大人セーラー』というアイテムを作ったんです。シンプルなスウェット素材のセーラー服のようなもので、自分なりの解釈で提案してみたものです。
文化を卒業して1年ほど経った頃から、それがネットで少しずつ反響を呼ぶようになって。その流れを受けて、受注生産で販売してみたら、少しずつ形になっていった、という感じですね」
大人セーラー

生き様と自分らしさが行き交う服

一度聞くと記憶に残る、不思議な響きを持つブランド名「ha | za | ma」。その名には、松井さんの哲学が幾重にも込められている。
「僕は“ファッションは生き様”だと思っていて。“生”の字は“生える(はえる)”とも読めるし、“生様(はざま)”という言葉にいろいろな意味を込めました。
どんな世界観を表現しても、そこに自然と残る“自分らしさ”を見つけていくために、このブランドを続けている感覚があります。いろんな“間(はざま)”に身を置きたい、という想いも込めて」
さらに、と彼は続ける。
「“人の生き様に寄り添う服”というテーマも大事にしています。『人間』と書くと『人』という字の隣には『間』がある。そうした想いや言葉、重ねていった意味のすべてが“ha | za | ma”なんです」

「ほぼ何でも作れる」チームと、執念のクリエイション

ha | za | maのクリエイティブは、ドラマティックなデザインでいつも私たちを驚かす。
映画『ゴジラ-1.0』での衣装制作では、「ゴジラの“手”がヒールを掴む」というイメージはすぐに固まったという。造形は、ゴジラに造詣の深いアートディレクターが担当し、高い完成度で形にした。
映画『ゴジラ-1.0』での衣装でも話題になった“ゴジラシューズ”
松井さんの研ぎ澄まされたインスピレーションとともに動いているha | za | maのチームは、どのような存在なのだろうか。
「僕自身は技術的に何かを作れるわけではないけれど、『何を作ったら面白いか』という直感はあって、それを形にしてくれる仲間がいる。面白そうだと思ったら知らないことでもやってみる、というスタンスでいたら、いつの間にか“何かに対して深いこだわりを持つ人たち”が集まり、『ほぼ何でも作れる』チームになっていました」
そのクリエイションの裏側を、ファントムシータとのコラボレーションを例に明かしてくれた。
「MV用に靴を制作したのですが、うちの代表的なモチーフである『ハンド』をどう表現するか試行錯誤しました。チームのひとりが提案してくれたのが“レースの手袋”です。ただ、撮影前日に見たら、レースが手の先まで覆われていて『虫取り網に引っかかった手みたいだ』と(笑)。
急遽、某スーツ店で買った黒のレース手袋を参考に指先をカットし、深夜まで現場でブラッシュアップを重ねました。あのお店が閉まっていたら、危なかったですね」
ファントムシータのMVに登場したha | za | maの靴
この執念ともいうべきこだわりこそ、ha | za | maの本質だ。
「譲れないというか、もう全部、自分たちで作ります。ボタン、コードストッパー、ジップの引き手、裏地まで、既製品で合うものがなければすべていちからデザインする。テキスタイルも同じです。
『そこまでやるの?』とよく言われますし、自分でもやりすぎかもとも思う(笑)。でも、それくらい徹底して世界観を詰め込みたい。振り切ることが、ha | za | maらしさになっているんだと思います」
ha | za | ma ×ファントムシータ「狂気乱舞のワンピース」140,000円(税別)

ファッションは「似合う」より「馴染ませていく」もの

自分らしくファッションを楽しみたい人へ、松井さんは「『似合うかどうか』にとらわれすぎなくていい」と語る。
「たとえば、タモリさんのサングラス。あれが最初から似合っていたかなんて、誰にも分からないはずです。でも、今では誰もが『ああ、タモリさんだ』と自然に認識する。大事なのは、似合うかどうかではなく、“その人らしさ”として馴染んでいるかどうかだと思うんです」
ファッションも同じだ、と彼は言う。やってみたいスタイルがあるなら、まずはやってみること。繰り返し身につけるうちに、それは次第に“その人のキャラクター”を表すものとして定着していく。
「憧れのスタイルがあるなら、まず10回着てみてください。自分の中でもフィットしてくるし、結果として、『似合う』を超えて『馴染む』状態へと整っていくものかなと。
形から入って、内面が変わっていく。服を変えるだけで、自分自身の見え方も、人からの見られ方もガラッと変わる。ファッションは、そういう“きっかけ”をくれる、シンプルで力強いツールなんです。
そして、ha | za | maの服が、誰かの人生の転機になったとしたら、それほどうれしいことはないですね。
ha | za | ma ×ファントムシータ「鮮烈に滲む狂気のシャツブラウス」49,000円(税別)
たとえ僕らのブランドを卒業したとしても、『あの時ha | za | maを着たことがきっかけだった』と思ってもらえたら素敵ですよね。ファッションを通して“自分に変化を起こすきっかけ”を伝えられたら、それが一番です」
日常に、ほんのひとさじのドラマを加えるだけで、見慣れた景色は少し違って見える。
ha | za | maの服は、誰かの人生の“生き様”に寄り添い、新たな物語をそっと差し出すように、これからも私たちの心を動かし続けるだろう。

Text by Tajimax

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