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1枚あたり320g以下! 超軽量で暖かいピークパフォーマンスのダウン「ヘリウム」
いくら暖冬がウワサされようが、日本の冬はしっかり寒い。となるとますます需要を伸ばすのが、機能的な防寒ウエアだ。事実、リアルな環境で爪を研ぐ本格派のみならず、実にさまざまなブランドから“街で着るアウトドア”な服が発信され続けている。
そこで注目したいのが、スキーをルーツに持つアウトドアブランド・ピークパフォーマンスが手掛けるダウンシリーズ「ヘリウム」だ。1枚あたり320g以下という軽量を実現しながらも、700フィルパワーの暖かさを持つジャケットを多数揃える。
今回は、ヘリウムが持つ魅力を解剖していこう。
創業当時から変わらない北欧らしいミニマムデザイン
ピークパフォーマンス。1986年に誕生したスキーブランドは、もうすぐ40歳の誕生日を迎える。生まれ故郷は、スウェーデンのほぼ中央に位置するオーレ。古くからウインタースポーツが盛んなこの地を愛する、ふたりのスキーヤーが生みの親だ。当時を振り返り、ピークパフォーマンスジャパンPRの松本紀子さんは次のように語る。「80年代と言えば、日本ではバブル期の真っ只中。世界規模で見ても煌びやかな時代で、スキーアイテムも派手な色柄のデザインがほとんどでした。そんな風潮に懐疑的で、自分たちが本当に着たいと思えるアイテムを自作しようと考えたのがブランド立ち上げの発端です」

創業者である熱心なスキーヤーとその友人が理想としたのは、「優れた機能性と、シンプルで魅力的なデザインを兼ね備えたウエア」だった。
「黎明期には、肩にレザーパッチを当てたシックなジャケットなどを手掛けていました。単色をベースとする色使いなど、現代で言うところの北欧らしいミニマルデザインは創業時から変わっていません。
一方で、スキーヤーのサポートに欠かせない優れた機能性も普遍です。特にブランドのDNAとなるのが、自社で世界大会を主催する『フリーライド』[1]との関係性。日本ではまだマイナーなカテゴリーですが、その自由度の高いスキー競技の発展とともにブランドの知名度も高まっていきました。現在は、ワールドカップチャンピオンのスキーヤーやアスリートと協力してものづくりを行っています」

1枚あたり320g以下の軽さを誇る「ヘリウム」

まさしく雪山生まれ、雪山育ち。そんなブランドの存在を世界中に知らしめたのが、傑作ダウン「ヘリウム」だろう。風船に封入するガスから採用されたその名の通り、驚くほどの軽さを誇るロングセラーシリーズ。軽さはジャケット1枚あたり、 240〜320gと言われている。圧縮・耐水・耐風性にも優れ、スキーのシュプールを想起させるS字ステッチングもアイコニックだ。
「アウトドアアクティビティに適した、軽量で高い保温性を持つダウンジャケットを目指して開発されました。S字を描く波型ステッチは、各セクションに正確な量のダウンを施したキルトパターンによって暖かさを最適化し、コールドスポットを排除するという実用性も備えているんです」

初代となる2012年の「ヘリウム ダウン フード ジャケット」のリリース以降、派生モデルも多種多様だ。
リバーシブル仕様のウィメンズモデル「ヘリウム リバーシブル ジャケット(インサレーションタイプ)」、フードのない「ヘリウム ダウン ジャケット」、袖をフリース素材に切り替えた「ヘリウム ハイブリッド ダウン ジャケット」はたまた首元と頭部をピンポイントで彩る「ヘリウム バラクラバ」など。
その顔触れはアウターだけでなく、ミドルレイヤーからアクセサリーにいたるまで百花繚乱。毎シーズンのように新作が加わるラインナップは、上昇を続ける支持率のバロメーターとなるだろう。


かたや生粋のアウトドアウエアだけに、機能性とサステナブルという2軸も外さない。
現行モデルで使われる700フィルパワーのダウンはすべて原産地を追跡可能で、シェル素材にはPFCフリーのリサイクルポリアミドを採用する。
北欧の厳しい環境に耐えうるタフネスは言わずもがな、創業者の想いを引き継ぐシンプルで飽きのこないルックスも、トレンドに左右されず末長く着用できるという点で持続可能なメリットとなる。
スキーヤーによるスキーヤーのための服
しかし圧巻の完成度とは裏腹に、とりわけ日本のファッションシーンからはピークパフォーマンスの名前はさほど聞こえてこない。冒頭の通り、アウトドアウエアを街で着ることが一般化された現在では、なおのこと不思議な現象である。なぜだろう。「そもそも私たちは、スキーヤーによるスキーヤーのための服を作ってきました。その信念は今も変わりません。誤解を恐れずに言うと、服作りをファッションとして考えてはいないんです。フリーライドという競技との関係性は先に述べた通りですが、現在のブランドとしての目標はフリーライドの考え方を世界に広めること。
自然との共存を前提に、自ら滑るラインを選択する自由、恐怖に打ち克つ姿勢、仲間やローカルを大切にすることなどがそれに該当します。フリーライドの土台を支える要素は、まさにブランドの屋台骨であり続けます」

ファッションアカウントを一切持たず、プロ仕様のスキーショップに絞り込んだ販売経路も松本さんの言葉の証左となる。ファッション雑誌に登場するケースさえ、極めて稀。過去には英国のアパレルブランド「ナイジェル・ケーボン」とのコラボレーション実績もあるが、それはあくまで例外的だ。
いわば“街で着ない”系、職人気質のアウトドアウエア。しかしその本質は、モダンファッションに求められる「本格さ、気持ち良さ、持続可能性、シンプルデザイン」といったキーワードと皮肉なほどに合致するのだ。
とはいえ、発祥の地スウェーデンでは多くの人がデイリーにピークパフォーマンスを纏う。スキーが一過性のファッションではなく、その地に根付くライフスタイルの一部となっているからであろう。

「スタンスを変えず、これからもピークパフォーマンスはスキーブランドであり続けます。でも、アイテムの魅力に気付き、街中で楽しんでくれるファンが増えるのはとてもうれしくありがたいこと。スキーのための服はスキーのため“だけ”の服ではありませんし、自由や自ら選択することの重要性もまた、フリーライドの精神と重なりますから」
必要以上にトレンドに寄り添わず、製作者自らがファンとなり、自ずと消費者から求められるもの。ピークパフォーマンス、そしてヘリウムは、グッドプロダクトの矜持を示し続ける。
PROFILE
松本 紀子(まつもと のりこ)
ピークパフォーマンスジャパンでPRを担当する
《註》
[1]自然のままの地形を滑るスキーやスノーボードの遊び方
Text by Naoki Masuyama


















