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ファミマが変える、ファッションの可能性 ―落合宏理が描くコンビニエンスウェアの未来
いまや株式会社ファミリーマートが手掛ける「コンビニエンスウェア」を知らない人はいないだろう。Fashion Tech Newsでも「ラインソックス」を取材した記事は、多くの読者を獲得した。その躍進はとどまることを知らず、2024年11月には台湾での販売も始まった。
そこで今回、コンビニエンスウェアが5年目を迎えるこのタイミングで、デザイナーである落合宏理さんにお話を伺った。これまでの軌跡を振り返りながら、ファミリーマートのコンビニエンスウェアの未来を語っていただいた。
PROFILE

落合 宏理(おちあい ひろみち)
ファッションデザイナー
1977年東京生まれ。文化服装学院卒業。
2007年、「FACETASM」を立ち上げる。
2013年、毎日ファッション大賞・新人賞受賞。
2016年、毎日ファッション大賞・大賞受賞。
同年にはリオオリンピック・パラリンピック競技大会閉会式「フラッグハンドオーバーセレモニー」の衣装制作を手掛け、パリ・メンズ・ファッションウィークにてコレクション発表を続ける。
「NIKE」、「Coca-Cola」、「LEVI'S」などのグローバルブランドとのコラボレーションを行うなど国内だけでなく国外でも活躍中。
新たな価値観を見せたい
今年で5年目を迎えるファミリーマートのコンビニエンスウェア。ファセッタズム(FACETASM)のデザイナーである落合さんは、どのようなきっかけでファミリーマートと関わりを持つようになったのか。「2016年にリオオリンピック・パラリンピック競技大会の閉会式で『フラッグハンドオーバーセレモニー』の衣装制作を担当しました。
その後、自分たちのクリエーションや価値観を多くの人に伝えていこうと考えていたときに、ファミリーマートさんからコンビニで洋服を売る文化を新しく作りたいというお話をいただきました。
その熱意や考えに心が動き、即答でやりたいと伝えました」
当時のコンビニエンスストアにおける衣料需要は、出張時の不測の事態などの緊急時に限られていた。その価値観を変えたいという思いから、当時の担当者は新たにアパレルを立ち上げようと考え、そこで落合さんに協力を仰いだという流れだったようだ。
アイテムの名前付けからコンセプトにいたるまで、すべてを監修している落合さん。さぞかしプレッシャーは大きかっただろうと想像するが、「新しくチャレンジをするなかで、仲間を作るという意識のほうが強かった」という。
新しい仲間を作るとは、どういうことなのか。その考えの背後には、自身のブランドでもあるファセッタズムの仕事とは別の意識があったようだ。
「ファセッタズムは自分の世界観やファンの存在が明確で、その人たちに向けて制作しています。それに対して、コンビニエンスウェアは文化をデザインしていると考えています。
ファミリーマートは全国に16,000店舗以上あり、年間で55億人の人が利用しています。それゆえ、大量生産の責任や利用される方の生活をより豊かにできるかということに意識を向けています」
コンビニエンスウェアらしさを出した製品作りに集中しているからこそ、プレッシャーを感じる以上に、自分自身の成長やコンビニエンスウェアの広がりの速さに驚いているという。
コンビニに適したデザインの追求
落合さんが考えるコンビニエンスウェアのあり方は、他ブランドが出しているデザインや、流行を追うことではなかった。コンビニで購入することの意味を追求すると、ベーシックなアイテムが中心になる。そのうえで、意識していることを伺った。「お客様とのコミュニケーションを主軸に置いています。たとえば2、3月になれば、そろそろ春を感じたいよねってことで、ローズピンクやみどりを使った靴下を出しました。
すると、お客様もそのメッセージを受け取ってくださり、日本全国で一般的に売れると言われている黒色よりも売れたという事実があります。
こうしてお客様とリズムが一致してくると、次はこのメッセージを送りたいよねって考えが生まれてきます。どのような商品にも僕らはメッセージを込めています。買っていただいた商品から、新たな会話が交わされるとうれしいですね」

ファミリーマートといえばラインソックスを思い浮かべる人も多く、いまやコンビニエンスウェアの主軸となっている。ラインナップが増えていくなかで、落合さんはアウターTシャツが定番商品になったことに注視していた。
「白Tがかっこよければそれで十分だと思っています。アウターTシャツは、USAコットン100%を使用していて、肩の落ち感や首のつまり具合も計算して作っています。
靴下から始まり、ここに来てTシャツが高い評価を得たのはとてもうれしいです。『育てる』服として、皆さんに受け入れられていっている感じがします」

目標としていた海外進出

日本では圧倒的な人気を誇るコンビニエンスウェアが、昨年、台湾でも販売されることが決まった。すべてがチャレンジングだと語る落合さんは、この動きをどう見ているのか。
「海外進出を目標にはしていましたが、こんなに早くやらせていただけるとは思ってもいませんでした。
台湾にはファミリーマートが4,000店舗ほどあり、日本語も通じることが多いです。現地の人たちと交流してみると、すごくポジティブな印象を受けました。まずは台湾の方々とコミュニケーションを取りながら、台湾らしさとは何か、何が求められているのかを考えていきます。
日本で売れているからそれを並べるというわけではなく、台湾の人々の生活の中に入り込むことが大切だと思います」
コンビニエンスウェアの未来

コンビニという限られたスペースでも、いつでも気軽に購入できるという条件下で、良いものを作るというコンセプトを貫いてきたコンビニエンスウェア。ついに国外への進出も果たすという目まぐるしい成長スピードのなかで、落合さんはどのような未来を描いているのだろうか。
「大手のコンビニで、アパレルブランドを持っているのはファミリーマートだけです。ですから、コンビニエンスウェアの歴史はファミリーマートの歴史になるし、そのままコンビニの歴史になるわけです。
今後、他のコンビニがウェアを本格的に展開するようになっても、原点はファミリーマートだと思います。
新しい店舗ができたり、新しい担当者になったりしても、この意識は受け継がれていくと思いますし、僕らとしては今後も真剣なものづくりを続けていきます」
いろいろとチャレンジできる環境にあり、「デザイナーとしてはすごく幸せです」と落合さんは語る。自分の中にある種がいつ芽を出すのか楽しみだとも話しており、アパレル商品のラインナップやデザインの追加にとどまらず、文具の展開まで手掛けている。
今後も、コンビニエンスウェアの進化は止まらない。












