

Articles
【日本未上陸】スイス発「iman ama(イマン アマ)」がプレミアムバッグ市場を牽引する理由
コングロマリット傘下のラグジュアリーブランドが低迷する一方、独立系のプレミアムブランドやコンテンポラリーブランド、ニッチブランドの需要が高まっている。
そんななか、スイス発の「iman ama(イマン アマ)」は、プレミアムバッグ市場で注目を集めている。共同設立者のサラ・イマンとセリーヌ・アマは、中学時代からの友人だ。美意識とアフロピアンとしての誇りを共有し、2022年、出身地ジュネーブでブランドを立ち上げた。
「文化とのつながりを大切にし、職人文化を守ることが使命」と語る2人。今回はセリーヌに、ブランド誕生の背景から革新のものづくりまで話を聞いた。
PROFILE
左:サラ・イマン(Sarah Iman)、 右:セリーヌ・アマ(Céline Ama)
iman ama 設立者
友情から生まれた、文化と想いをつなぐバッグブランド
まずは、2人の出会いについて教えてもらえますか?
私たちは共にスイス・ジュネーブ出身で、今年で30歳になりました。クリエイティブな感性を持つ親友同士であり、もうすぐ20年の付き合いになります。出会いは18年前、中学校でのことでした。美意識や文化、ストーリーテリングへの好奇心を通じてすぐに意気投合し、時を重ねるごとに、深い信頼関係と共通の価値観を育んできました。デザイン、アイデンティティ、そして目的に関する対話を重ねながら、絆をより強固なものにしてきました。
ブランド名「iman ama」は、私たちのセカンドネームに由来しています。サラ・イマン(エチオピア系)とセリーヌ・アマ(ガーナ系)という名前です。

それぞれの大学での学びと、ブランド設立までのキャリアは?
私たちはジュネーブの芸術デザイン大学(HEADジュネーブ)で学び、サラはインテリア建築、私はファッションデザインの学士号を取得しました。卒業後、サラはジュネーブでインテリア建築やホスピタリティ分野の仕事に従事し、私はニューヨークに渡って「Marc Jacobs(マーク ジェイコブス)」や「Proenza Schouler(プロエンザ スクーラー)」といったブランドで、クラフトやレディ・トゥ・ウエアの制作に携わりました。そうした経験のなかで、いつか自分たちのルーツや混ざり合った背景を表現するものを、一緒に創りたいという思いをずっと持ち続けていたんです。
親友からビジネスパートナーへ。ブランド設立についてはいつ頃から構想していたのですか?
ブランドの構想が本格的に生まれたのは、それぞれが専門分野でのキャリアを積んだ直後でした。「iman ama」は単なるブランドではなく、友情が姉妹のような深い絆へと発展した象徴であり、「意図を持ってデザインする」という共通のビジョンの結晶でもあります。
互いの補完的なスキルとクリエイティブな視点が重なり、機能性と時を超える美しさを併せ持つ“オブジェクト”を生み出したいという方向へ自然と進んでいきました。なかでもハンドバッグは、身体と密接に関わりながら、あらゆる女性の生活に寄り添う存在であることから、私たちがごく自然に選択したアイテムでした。
「iman ama」では、アフロヨーロッパの文化遺産とサステナビリティを尊重し、ルーツの美しさと現代のニーズをつなぐプロダクトを制作しています。自然への敬意を込め、一つひとつ丁寧に。スタイルだけでなく、その背後にあるストーリーにも誇りを持ってもらえるバッグを届けたいと思っています。

「アフロ・ミニマリズム」が導く、文化と機能が調和するバッグづくり
洗練されたフォルムが印象的な「iman ama」のバッグにおける、ブランドの美学について教えてください。
私たちは「アフロ・ミニマリズム」と呼んでいます。象徴的なアフリカのオブジェクト「カラバッシュ(ひょうたん)」から着想を得ており、自然な造形と多用途性を現代のバッグへと再構築しています。モダンなコンテナとして、日常に馴染む機能美を備えたデザインが根本にあります。
スイスという環境で育ったこともあり、ミニマルで構築的な美学も自然と反映されています。私たちは、シンプルさ・機能性・文化的背景の融合を目指しており、それが「iman ama」の核となるスタイルです。トップステッチでフォルムを際立たせたり、ジュエリーのような金具にアフリカン・クラフトの美意識を込めたりと、細部にこそ物語があります。
その美学に裏打ちされた「iman ama」のユニークさとは?
「文化性・革新性・職人技」の3つの融合が、私たちのブランドの大きな特徴です。たとえば、バッグには農業廃棄物から抽出された植物由来素材(VEGEA®やOHOSKIN®)を使用。カラバッシュという“果実”から発想を得たデザインが、実際に果実由来の素材で具現化されているという点が、ユニークな「原点回帰」を体現しています。製造は、イタリアの熟練職人による手仕事です。ハードウェアに至るまで自社でデザインし、サラが3Dモデリングを担当しています。私たちは、ものづくりの現場で学んだ職人技への敬意を、未来へと継承していきたいと考えています。小規模ながら深い価値を持つヨーロッパの職人文化を守ることは、ブランドのミッションのひとつでもあります。

ーサステナビリティはどのようにブランドに取り入れていますか?
サステナビリティは、「iman ama」の中心にあります。学生時代から、私は古着のレザージャケットを解体して一点物を制作するなど、環境への配慮を続けてきました。現在のコレクションでは、炭素集約型資源に依存せず、農業廃棄物由来のバイオマテリアルを積極的に採用しています。また、ヨーロッパ内の短距離サプライチェーンにこだわることで、輸送による環境負荷を最小限に抑えています。スイスの地元企業と協業し、デッドストック素材を活用した限定モデル「ボティ(Boti)」も開発。環境配慮とクリエイティビティの両立に取り組んでいます。
ーその自然への眼差しには、ルーツとのつながりもあるのでしょうか?
もちろんあります。私たちはスイスとイギリスの国籍を持ちつつ、アフリカにルーツを持っています。アフロ・ヨーロピアンとは、単に出自を指す言葉ではなく、「祖先や文化とのつながりを現代に生かす姿勢」だと捉えています。私たちはアフリカ大陸で育ったわけではありませんが、ルーツを見つめ直し、それをジュネーブでの日常に取り入れることによって、文化の継承ができると信じています。この視点は、ブランドの哲学にも深く結びついています。

iman amaの今後の展望も気になります。
私たちは「iman ama」を、次世代のプレミアム・ラグジュアリーバッグの変革を担う存在として確立していきたいと考えています。“変革”とは、創造的でありながら問題解決型のアプローチをとること。単なるトレンドではなく、意義あるものづくりを続ける姿勢が大切です。2025年秋には、パリの有名百貨店に出店予定のサステナブル志向のショップにて、新色ラインを展開します。将来的には日本展開も視野に入れており、価値観を共有するパートナーとの出会いを楽しみにしています。
Text by ELIE INOUE















