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3ヶ月で完売続出! PORTER出身のデザイナーが作った「texnh(テクネ)」のバックパックに大人の男性が魅了される理由

2025.07.01
大人のバックパックに求める条件といえば、丈夫で背負い心地がよく、ポケットもたくさんあるもの。加えて、仕事でも休日でも使えるようなシンプルなデザインが良い。
東京発のプロダクトブランド、texnh(テクネ)の「FLYER / WASHER-NY(フライヤー ワッシャーナイロン)」は、そんな大人のニーズを丸ごと叶えてくれる逸品だ。
今年の春に発売されるやいなや、スタイリストやエディターたちの間で話題となり、店頭では品薄状態が続いている。
デザイナーの松村力弥さんの話から、その人気の理由を探ろう。

PROFILE

松村 力弥(まつむら りきや)

テクネデザイナー

1981年、東京都江東区出身。文化服装学院を卒業後に渡英。2006年に株式会社𠮷田に入社し、デザイナーとして活動。2018年に独立し、翌年canall株式会社を設立。コロナ禍の2020年にテクネを立ち上げ、現在に至る。

「モノとしての価値」を追求するプロダクトブランド

テクネは2021年の春夏シーズンに向けて、2020年にスタートした。
「ブランドのコンセプトは『ある』ということ。現実と仮想が混ざりあう現代において、プロダクトが存在する意義を改めて問い直し、そこにあるモノとしての価値を生み出すことをモットーにしています。
サステナブルな素材や技術を生かして、バッグや小物、アパレルなど、さまざまなプロダクトを展開しています」
松村さんの前職はPORTER(ポーター)のデザイナーである。
「文化服装学院を卒業した後、ベルギーにあるアントワープ王立芸術アカデミーを目指して、ロンドンで語学とファッションの勉強をしていました。
ところが、挫折を味わいつつ当時の情勢などもあり帰国しなくてはならなくなって、日本での仕事を探したところ、𠮷田カバンがデザイナーを募集していたんです。入社後はポーターをはじめとするデザインを担当する企画部に配属され、経験を積みました」
以降、12年のキャリアの間で数々のシリーズや別注アイテムを手がけたものの、学生時代からの「洋服を作りたい」という思いが募り、2018年に独立、2020年にテクネを立ち上げた。
「ブランド名の“texnh”とは、ギリシャ語で「知性、技術、芸術」の完璧な融合を意味する言葉です。優れたプロダクトにはテクネがそなわっているべき、という私のものづくりの信条をブランド名にしました」
ブルゾンやパンツ、カットソーといったアパレルから、バッグやベルト、革小物までが揃うが、デザイナーの経歴もあって、バッグのコレクションに注目が集まることが多いという。
中でも人気が高いのが、デザイナー自身も毎日使っているというデイパックだ。

定番モデルをベースにサイズアップした「フライヤー ワッシャー ナイロン」

「CLASSIC DAYPACK / 66NY」33,000円(税込)
「2022年の春夏シーズンに初めてナイロン素材を使ったCLASSIC DAYPACK(クラシック デイパック)を発表しました」
66ナイロンツイルとはシルクサテンのような豊かな光沢を持ちながら、優れた耐久性を誇る高密度ナイロンツイル。オーセンティックなアウトドアのデイパックを上品な装いにもマッチするようアレンジされたデイパックは、予想を超える売れ行きを記録し、ブランドの知名度を高めるきっかけにもなった。
「フライヤー ワッシャーナイロンは、この定番デイパックをもとにした新作です」
「FLYER / WASHER-NY」37,400円(税込)
「紙のチラシを配る男の子が持つバックパック」をイメージしたという本モデルは、クラシック デイパックと比べてひと回り大きい。
「通勤や通学だけでなく、1〜2泊の旅行にも対応できるような大きめのデイパックを作りたかったんです」
ロゴなどの装飾性が削ぎ落されたミニマルなデザインが松村さんの流儀。このバッグも然りだが、パリッとしたナイロン素材が独特の存在感を放っている。
「高密度なナイロン繊維に高塩縮加工を施したものです。塩類の水溶液に浸して収縮させることで、表面に独特の凹凸やシワを生み出します。
また、紙のようなしっかりとしたハリが生まれるため、型崩れがしにくく、かつデイパックが自立するというメリットもあります」
薄手の素材のわりに耐久性は高く、一般的な撥水加工も施されているので、少々の雨なら防ぐことができる。こうした素材や加工法の豊富なレパートリーは松村さんの真骨頂だ。
「塩縮加工ナイロンは独特のハリやシワによって縫製が難しくなるため、このデイパックでも、素材と構造設計のバランスの調整が高いハードルになりました。縫製や型紙の微調整には苦労しましたが、熟練した技術力を持つ職人さんのおかげでクリアできました」
製造は熟練した職人のいる都内の工場が担当する。
「ステッチのピッチは1cmあたり3目を基準とし、裏側の処理や細部の仕上げにもこだわっています。前職のバッグづくりで学んだ基準です」

デザイナーの美意識が宿るディテール群

主室の口部分やフロントポケットのパイピングに使われた丘染めレザーもこだわりの素材だ。
「革の芯地をあえて染めずに、断面に茶色の地色が残るように仕上げたヌメ革です。使っていくと断面がだんだんアメ色に変化していき、味わいが増すところが特徴です」
コイルファスナーはベーシックなYKK製だ。
「開け閉めの多いメインファスナーには、やや太くてしっかりとした8号を採用しました。スライダーに結び付けたヌバックレザー製の長いコードは、ファスナーの操作性を高めるための工夫です」
実際に背負ってみると、背中に吸い付くようにフィットする。
「デイパックは体に密着するアイテムなので、背負ったときに違和感を与えないことがもっとも大切です。
設計から耐荷重のバランス、素材選びまで、自然な背負い心地を追求しています。ショルダーハーネスにも、背面にも、ウレタンの芯材を入れてクッション性を高めています」
目立ちにくい部分だが、背面の下部には、ショルダーハーネスから繋がったテープが横向きに縫い付けられている。テクネ独自のこのディテールは、腰へのフィット感向上にひと役買う。
「上部のループは、電車に乗る際などに手持ちがしやすいよう若干長めに設計しています」

収納性と使いやすさを両立したポケットの数々

ポケットのデザインにも松村さんのこだわりが光る。両サイドのポケットの口は上側ではなく、横向きになっている。
「こうすることで、背負ったままバックパックを前に回したときでも、中のものを取り出しやすくなるんです。また、体側にファスナーがあることで、防犯性も高まります」
マチのあるフロントポケットを開けると、さらに小さなポケットが現れる。
「ポケットの中にポケットをつけるのは、じつに日本人的な発想だと思います。私はワイヤレスイヤホンや名刺、お守りなどを入れていますね」
PCスリーブはウレタン素材のクッション材入りだ。
「14インチのパソコンをケースに入れたまま収納できるよう設計しました。ケースに入れないなら、16インチのMacBook Proも収納できます」

発売して3ヶ月で完売する店舗が続出

売れ行きも好調で、今年3月の発売後は、セレクトショップやポップアップショップでも完売する店舗が続出したという。
「まだ発売して3ヶ月ほどですが、すでにブランドを代表する定番バックパックになりました。リサイクルナイロンを使った派生モデルも展開しており、今後はもう少しコンパクトなモデルも計画中です」
リサイクル素材を使った派生モデル「FLYER / SHRINK-ReNY」29,700円(税込)
今後のバッグ開発においては、機能性と持続可能性の両立を目指すという。
「サステナブルはブランドのコンセプトのひとつです。環境に配慮した素材や製造方法がどんどん増えているので、自分たちの価値観に合ったものを選んでいきたいです。
ただ、バッグに関しては、素材だけでなく、長く使い続けられることにも重きを置いています。ひとつのバッグを大切に使い続けることもまた、サステナブルにつながると思うんです」
雰囲気良し、背負って良し。丈夫で汎用性も高く、オンオフ問わず使うことができる。大人の日常に寄り添うバックパックの魅力をぜひ体感してほしい。

Text by Ryota Osujo

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