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赤ちゃんとママ・パパの快適な眠りを目指す:スワドルブランド「エルゴポーチ」の挑戦
赤ちゃんの睡眠に関する知識と対策において、日本と海外には大きな隔たりがあるのはご存知だろうか。この知識の差は、赤ちゃんの安全と健康に直接影響を及ぼすと言われている。
たとえば、日本では一般的な布団の使用が、赤ちゃんの窒息のリスクを高める可能性があるという。また、適切な睡眠環境が整っていないと、赤ちゃんの睡眠が不安定になり、結果として親の疲労も蓄積してしまう恐れもある。
このような問題に対し、オーストラリア発のスリーピングウェアブランド「エルゴポーチ(ergopouch)」は、赤ちゃんを布でくるむ『スワドル』という欧米の育児文化を日本に広めることで、赤ちゃんと親の双方に安全で快適な睡眠環境を提供し、この深刻な課題の解決を目指している。
今回は、エルゴポーチを日本の代理店として運営する住田さんに、赤ちゃんの睡眠についてやエルゴポーチの特徴、今後の展望について話を伺った。
PROFILE
住田 由香(すみだ ゆか)
weskiii株式会社COO
「クリエイティブディレクター」として、海外ブランドの買い付けやインスタライブの出演など幅広く活躍している。
スワドルで赤ちゃんと親の快適な眠りを目指す
まず、赤ちゃんの快適な睡眠の促進方法について、子育て中の親へのアドバイスを伺った。「新生児期には、モロー反射という生理現象により、赤ちゃんが外からの刺激に対してビクッと反応し、睡眠が妨げられてしまうことがあります。
これは生後3〜4ヶ月頃まで続きます。赤ちゃんが自分自身を驚かせてしまうような反応になり、覚醒して泣き出してしまいます。それを毎回ママやパパがケアしなければならないため、睡眠不足になって、この時期に子育てノイローゼの人が増えやすくなります。
このような問題への対処法としては、『スワドル』と呼ばれる赤ちゃんをくるむ布や製品を使って、モロー反射を最小限に抑えることで、安定した睡眠につながります」
日本ではスワドルを使うことで赤ちゃんの安定した睡眠につながることはあまり知られていないが、オーストラリアやアメリカなどの睡眠先進国では既知の情報であるようだ。
また、一般的な『おくるみ』は巻き方自体も難しいとのことで、ただでさえ赤ちゃんを寝かせるだけでも大変なのに、巻くのも難しい。こういった課題感から、ジップアップ式のスワドルを世界で初めて開発したのがエルゴポーチだ。

海外では赤ちゃんの睡眠に関する取り組みが進んでいるようだが、日本との知識の差異はどの程度あるのだろうか。
「日本では、赤ちゃんの睡眠に関する情報が限られています。たとえば、乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防に関して、日本の政府[1]からは(1)仰向けで寝かせる、(2)母乳で育てる、(3)タバコを吸わないの3点が主に強調されています。
一方、米国小児科学会(AAP)が発表した安全な睡眠のガイドライン[2]には、11項目ほどの予防策が提示されています。日本では赤ちゃんに布団をかけることが一般的ですが、海外ではそれがSIDSのリスクになると認識されています。
布団をかけてしまうと、赤ちゃんが動くにつれて布団が上がってきて窒息死につながる可能性もあるため、エルゴポーチでは、スワドルの使用を推奨しています。
これらの海外の最新情報を含め、日本ではまだ広く知られていない『スワドル文化』を広げることで、ママ、パパ、赤ちゃんみんなが過ごしやすい環境を整えていくことを目指しています」
赤ちゃんの安全を考慮した製品開発と睡眠環境の整え方
『スワドル文化』を日本で広げるために認知拡大に向けて取り組んでいる住田さん。では、エルゴポーチにはどのような製品があるのだろうか。製品の特徴や素材、デザイン面ではどのような点に注力しているのか伺った。「エルゴポーチは、赤ちゃんの成長段階に合わせて主に3つの製品を展開しています。
生まれてすぐから使用できる『コクーンスワドルバッグ』は、赤ちゃんがスワドルの中で手を好きな位置に持っていくことができ、ボタンを外して手を出すこともできます。これにより、寝返りをするようになった際に赤ちゃんが手を出して顔を起こすことができるよう設計されています。

次に、寝返りが始まる頃からは『ジャージスリーピングバッグ』をおすすめします。脚の部分が広くなっており、赤ちゃんの動きに対応しています。

最後に、歩き始めてから4歳頃まで使える『スリープスーツバッグ』があります。脚の部分が分かれているため歩くことができ、必要に応じて寝袋のようにも使えます。

これらの製品は、オーガニックコットンを使用し、通気性が良く、赤ちゃんの肌に優しい素材で作られています。また、性別を問わず使用できるカラーバリエーションも特徴です。
エルゴポーチの製品は、国際股関節異形成協会の認証を受けており、赤ちゃんの股関節にも安全な設計となっています」

このように、エルゴポーチは赤ちゃんの発達段階を細かく考慮した製品設計をしており、安全と快適さを重視していることが見て取れる。
製品の魅力は伝わったが、実際にエルゴポーチの製品を活用して赤ちゃんの睡眠環境を整えるためには、どのような点に注意すればよいのだろうか。
「赤ちゃんの睡眠環境を整えるには、音、光、温度の3つの要素が重要です。
寝る前になったら、照明を少し暗くし、音を静かにしていくことで、赤ちゃんに寝る時間が近づいていることを伝えましょう。
ホワイトノイズも睡眠環境を整えるのに効果的です。エルゴポーチのホワイトノイズマシンは、7種類の音が設定でき、街の音や雨音、海の音などを再生できます。これは周囲の音をサウンドマスキングし、赤ちゃんの睡眠を妨げないようにします。このマシンはライト付きで、授乳時の間接照明としても使用できます。

温度管理に関しては、エルゴポーチの製品にTOGという指標が設定されています。TOGとは、寝具の断熱性や保温性を表す単位です。たとえば、0.2TOGは夏に適しており、1.0TOGはオールシーズン使用可能です。エルゴポーチの製品には、室温に合わせて適切なTOGを選べるガイドが付属しています」
エルゴポーチは単に寝具を提供するだけでなく、赤ちゃんの睡眠環境全体に科学的にアプローチしていることが印象的だ。特にTOGという具体的な指標を用いて温度管理を行う点は、親にとって分かりやすい指針となるだろう。
日本の育児文化に潜む問題に光を当てる
エルゴポーチでは、インスタライブなどを通じて、母親が自分の時間を作ることは悪いことではないと伝えている。このような話をすると、多くの母親が感動して涙を流してしまうそうだ。「ママの睡眠は赤ちゃんの健康に直結しています。赤ちゃんが健康に成長するためには、ママが良好な精神状態を保つことが不可欠で、そのためにはママ自身の睡眠が重要です。
しかし、日本では『ママなんだから無理をすることも仕方ない』という風潮があり、ママが自分の時間を作ることに罪悪感を抱いてしまうことがあります。エルゴポーチは、ママたちが睡眠の重要性を理解し、罪悪感なく十分な休息をとれるよう情報発信を行っています。このように、ママの笑顔が家族全員の幸せにつながるという考えを広めているんです」
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エルゴポーチの取り組みは、日本の育児文化に潜む根深い問題に光を当てていると言えるだろう。最後に、エルゴポーチの今後の展望について伺った。
「エルゴポーチの最終的な目標は、日本を“睡眠先進国”に近づけることです。具体的には、赤ちゃんが生まれたらスワドルを買う、という意識をより多くの人に持ってもらうことを目指しています。
現在、睡眠先進国と言われているのはオーストラリアやアメリカです。エルゴポーチは、これらの国々のように、日本にもスワドル文化を広げることで、赤ちゃん、ママ、パパ、みんなが過ごしやすい環境を整えていきたいと考えています。
エルゴポーチは、SNSを活用して、スワドルの必要性や使用方法、TOGの見方、赤ちゃんの成長段階に応じた製品の選び方などの情報を発信しています。
また、寝る環境の整え方など、睡眠に関する幅広い情報も提供しています。さらに、エルゴポーチは大手の赤ちゃん用品専門店での販売開始も予定しており、より多くの人々にスワドル文化を広めていく計画です。
エルゴポーチは日本の遅れている睡眠文化を変えていくために、積極的に情報を発信し、スワドル文化を広げることで、国を変えていこうという姿勢で取り組んでいます」
エルゴポーチがこの目標をどのように長期的に追求していくのか、そしてその過程で直面する課題にどう対応していくのか、今後も注目したい。
註
[1]出典:政府広報オンライン「赤ちゃんの原因不明の突然死 「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント」より
[2]出典:米国小児科学会(AAP)「安全な睡眠のガイドライン」より
Text by ogurin














