JA/EN

AI検索

関連ハッシュタグ

Articles

ルイ・ヴィトン×パーフェクト社がデジタルで挑む、究極のパーソナライズ体験

2026.02.17
パーフェクト株式会社(フランス)は、LVMHグループのルイ・ヴィトンに対し、AIを活用したバーチャル試着(Virtual Try-On)とレコメンデーション機能の提供を開始した。
多くのラグジュアリーブランドがデジタルシフトを加速させるなか、店舗での接客体験を重視してきたルイ・ヴィトンへ技術提供をしたパーフェクト株式会社に取材を行った。

PROFILE

Sylvain Delteil (シルヴァン・デルテイユ)

フランス・パリ支部 Vice President

ネット購入の壁「色選び」の課題

リップスティックやファンデーションといった化粧品をECサイトで購入する際、頭を悩ますのが「色選び」だろう。画面上で見る色と実際の色が違っていたり、あるいはモデルの肌色と自分の肌色が異なっていたりするために、自分に似合うかどうかが判断できないからだ。
今日、オンラインでの購買行動は日常の一部となっているが、同時に「失敗したくない」という気持ちもある。そのため、SNSでの口コミ検索やレビュー確認に時間を費やして、納得するまで購入しない人は多いはずだ。だが、どれだけ情報を収集しても、本当にその製品が自分に合うかは、結局のところ試してみないとわからない。
こうした状況下において、ラグジュアリー領域では「普遍的に高いサービス」を提供しつつも、「限定感があり、パーソナルである」ことが重要になる。ユーザーのデジタル化が進む中で、ラグジュアリーブランドも、限定感とパーソナライズを両立したデジタルサービスへ適応していく必要がある。
本件で重視されたのは「最高品質のバーチャル試着体験」を目指すことであり、課題は技術そのもの以上に、サービスがユーザーとどう相互作用するかという点で、ブランド独自のDNAを反映させることだった。
バーチャル試着技術の提供企業はいくつかある中で、パーフェクト株式会社が「独自性のある(エクスクルーシブな)品質」を実現できるということが鍵だった。さらに、ルイ・ヴィトン側がカスタマー体験を丁寧に設計・管理し、「シームレスで、極めて使いやすい」体験になるよう作り込んだという。

一瞬で解析するフェイスアナライザー

本件の体験要素の一つとして、パーフェクト社の「フェイスアナライザー」が挙げられている。AIによるリップカラー・レコメンドにおいて、「どのようにしてレコメンドを決定しているか」はブランド側の企業秘密とされている。
ユーザーがカメラを通じて自身の顔を映すと、AIはわずかな時間で肌の色(スキントーン)、目の色、髪の色、唇の色といった色彩情報に加え、顔の各パーツの位置関係や形状といった構造的な特徴を瞬時に読み取る。
この技術の素晴らしい点は、肌の色ひとつとっても、単に「白い」「黒い」といった明度だけでなく、トーンまで明らかにしてくれることだ。これにより、経験豊富なビューティーアドバイザーが行っていたパーソナルカラー診断に近い精度を、AIによって自動化することが可能となった。

失敗しない「冒険色」の提案

フェイスアナライザーによってユーザーの顔の特徴がデータ化されると、AIによるいくつかの案が示される。
AIが、分析された肌色、髪色、瞳の色などの各データと、ブランドが持つ膨大なリップカラーのデータベースを照合し、ユーザーの本来持っている色素と調和し、顔色をもっとも美しく見せるカラーを選定する仕組みとなっている。
私たちが色を選ぶ際、どうしても「好み」のものを手にとってしまう。また、ビューティーアドバイザーも、その時のトレンドや販売目標に左右されることも少なくない。だが、AIによる提案は、感情を排除したパーソナルなデータに基づいているため、ブレのない安定したものとなる。
これにより、「自分では選ばなかったが、実は似合う色」に出会うことができる。普段は無難な色ばかりを選んでしまうユーザーに対し、AIが客観的な根拠を持って鮮やかな色や深みのある色を提案することで、新しい自分を発見する機会を提供する。
もちろん、自分の好みやなりたいイメージに合わせて、複数の選択肢を提示してもらうことも可能だ。あらかじめユーザーの顔立ちとの調和が確認されたものに絞り込まれているため、どの色を選んでも「大きく外すことはない」という前提がある上での選択となる。これこそが、デジタルにおける「失敗しない買い物」の最適解なのだ。

リアルさながらのバーチャル質感

パーソナライズされた色の提案や商品がいかに素晴らしくとも、画面上で再現されるリップの質感がチープであれば、購買意欲は削がれてしまう。
今回、パーフェクト株式会社は、バーチャル試着における「質感」の表現に徹底的にこだわった。リップスティックには、マット、サテン、シアー、グロスなど、製品ごとに異なる質感がある。これらを単なる色の塗りつぶしではなく、光の反射や唇への馴染み方まで含めてリアルに再現するために、パーフェクト社の高度なAR技術が駆使されている。
詳細なテクスチャマッピングにより、ユーザーが顔を動かした際の光沢の変化や、唇の縦ジワに対する色の乗り方までもがシミュレーションされる。これにより、ユーザーは実際に店頭でテスターを使用したときのように、詳細な製品イメージを確認することができる。
また、この高品質なバーチャル試着体験は、ブランドの公式サイトだけでなく、店舗に設置されたタブレット、さらにはWeChatなどのソーシャルプラットフォーム上のアプリでも展開されており、ユーザーの利便性にも配慮されている。
店舗においては、混雑時でもスタッフを待つことなく自分のペースでアイテムを試すことができ、また衛生面から実際のテスターを唇に塗ることに抵抗がある顧客に対しても、バーチャル試着は有効な代替手段となるだろう。
自宅でゆっくりと試着し、店舗で最終確認をして購入したり、店舗で試して気に入った色を後からオンラインで購入したりするという、シームレスな購買体験が実現されている。

確信を持って「自分を美しくする」未来へ

AIによるパーソナライズ診断と高精細なバーチャル試着の導入は、単に利便性を向上させるだけでなく、消費者の購買心理に突き刺さるものになるだろう。なによりも、「自分に似合う色がわからない」「買って失敗したくない」という不安が、AIによる客観的な診断と、リアルな試着体験によって払拭されたのは大きい。「これは自分に似合う色だ」という確信を持って購入された製品は、顧客満足度が高く、ブランドへのロイヤリティ向上にも寄与していく。
店舗での人間味ある接客と、デジタルでの精緻な分析が融合することで、これまでにない新しいラグジュアリー体験が生まれようとしているのだ。
今後、この技術はさらに進化し、メイクアップだけでなく、ファッションやジュエリーなど、より広範なカテゴリーでのパーソナライズ体験に応用されていくだろう。消費者が「失敗しない」だけでなく、「新しい自分に出会う」ためのツールとして、AIとバーチャル試着の重要性はますます高まっていく。

Tags

この記事はいかがでしたか?

シェアリンクをコピーしました

Related Articles

Related Database