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開発に10年、ユニクロが力を注ぐ高機能アウター「パフテック」は何がすごいのか

2024.11.16
なんでも今年の冬は、ラニーニャ現象などの影響で、例年よりも厳しい寒さが予想されるという。
そんな冬を迎え撃つべく、「UNIQLO(ユニクロ)」はとある高機能アウターに力を入れている。「PUFFTECH(パフテック)」と名付けられたアウターの見どころは、最新鋭の繊維技術が駆使された中綿にある。
UNIQLO史上もっとも軽くて暖かいという中綿は着ぶくれしない、水や湿気に強い、綿抜けがしにくい、といったさまざまな特性を兼ねそなえる。
開発秘話から最新ラインナップまで、株式会社ユニクロのPRチームに話を聞いた。

UNIQLOの叡智を結集した機能性中綿

はじめに、パフテックとはどんなものかを教えてください。
数々の先端素材を手がける素材メーカー、東レと共同開発した機能性中綿です。天然の羽毛(ダウン)の構造を化学繊維で模したもので、多くの空気を含んだ層を生み出すことによって高い断熱効果と保温性を実現します。「パフテック」はこの中綿の名称であり、同時にこの中綿を使ったアウターの名称でもあります。
昨年、ベストやパーカなどを試験的に発売したところ、予想を超える反響がありました。そこで今シーズンは満を持して、最注力アウターとして本格展開を開始します。
パフテックは「UNIQLO史上、もっとも軽くて暖かい」ということですが、どこに秘密が?
新たに開発した繊維にあります。髪の毛の5分の1の細さの繊維を含む複数の繊維からできています。この極細中空繊維をさらにバネ状にすることで、より多くの空気層を生み出すことに成功しました。
また、多くの商品は中綿はシート状になっていますが、この中綿では形状を粒状にすることができたのもポイントです。より多くの空気を含むことができるようになったと同時に、卓越した軽量性を実現しました。
開発で苦労した点はありますか?
羽毛の暖かさは羽毛が膨らむパワーによって左右され、それを数値化したものをかさ高性といいます。一番苦労したのは、このかさ高性を高めながら、かつ本物の羽毛のような柔らかい風合いを出すことでした。1年に100回以上の試作を繰り返し、完成まで10年もの時間がかかりました。
パフテックの特長を教えてください。
とにかく軽くて暖かい。中綿が少量でも十分暖かいので、シルエットがモコモコしません。そのため、着ぶくれせず、脱ぎ着もしやすい。また、軽量でかさばりにくいので、コンパクトに畳んで持ち運びやすいというメリットもあります。
水や湿気に強いのも特長です。雨や霧など、湿度90%以上の環境下でも保温性が下がりにくいという特性を持っているうえ、表地にも撥水加工を施しているので、急な小雨にも対応できます。
また、通常の羽毛に比べ速く乾くこともあり、家庭で洗濯することができます。

ダウンジャケットに発生する綿抜けの問題をクリア

UNIQLOには、すでに「ウルトラライトダウン」という大ヒット作があります。パフテックはどこが違うのでしょうか?
2009年にデビューしたウルトラライトダウンは、従来のアウトドアダウンの厚くて重いイメージを覆し、驚異的な軽さとスリムなデザインによって、ダウンジャケットを都会的なデイリーウエアへと昇華させました。爆発的な売れ行きを記録したダウンジャケットは、その後も進化を続け、現在も世界各国で支持を得ています。
ウルトラライトダウンはUNIQLOの冬を代表する名品ですが、クリアすべき課題もありました。このダウンジャケットをご愛用いただいているお客様から、「中に着用したセーターに羽毛がつく」というお声をいただいていたんです。この原因はキルトから羽毛が抜けてしまう綿抜けという現象によるもの。
しかし、粒状の構造を持つパフテックには、綿抜けがしにくいという特性もあって、この課題をクリアすることができました。
デザインも多彩ですね。
はい。綿抜けのしにくさはデザイン面にもメリットがありました。ダウンジャケットのデザインは、羽毛を外に出にくくするために、キルトを横長のかたちにすることが多かったのですが、パフテックはもともと綿抜けがしにくいため、ダイヤモンドやブロック、ノンキルトなど、さまざまなデザインが可能になったんです。
今シーズンだと、メンズは4型、ウィメンズは6型、キッズ/ベビーは5型のアイテムをラインナップしました。UNIQLO UやUNIQLO:Cでもパフテックを使ったアイテムを展開します。
「パフテックパーカ(メンズ)」6,990円(税込)
「UNIQLO:C パフテックキルトコート(ウィメンズ)」9,990円(税込)

時代とともに多様化するニーズに対応するために

これほど高い完成度を実現できた要因はどこにありますか?
UNIQLOが長年培ってきたものづくりのノウハウや技術力によるところも大きいですが、開発の礎になったのはお客様の声です。
昨今の急変する天候や暖冬傾向もあって、アウターに求められるニーズは以前より拡大しています。今やダウンジャケットは軽くて暖かいだけでは十分ではなくなってきているんです。
パフテックには、本物の羽毛に匹敵する軽さと暖かさに加え、着ぶくれしない、携帯できる、脱ぎ着がしやすい、長期間着られる、水に強い、自宅で洗濯できる、といったさまざまな機能を追加することで、多様化するニーズに対応しました。
「パフテック コンパクトベスト(メンズ)」3,990円(税込)
将来的にパフテックはUNIQLOにとってどんなアイテムになっていくのでしょう?
ヒートテックやエアリズム、スフレヤーンなど知名度の高いアイテムがたくさんありますが、パフテックに関しても、「UNIQLOの防寒アウターといえば……」、「UNIQLOの中綿といえば……」と呼ばれるようなアイテムに育てていきたいと思います。

UNIQLOの本気がうかがえるグローバルなマーケティング戦略

メディアや街中でもパフテックを目にします。
パフテックは世界各国の店舗で展開し、グローバル規模でUNIQLOが最注力していくアイテムです。目指すのは、LifeWearの新しいカテゴリーとして高い認知度を獲得すること、そしてウルトラライトダウンで築き上げた軽量アウター市場でのポジションを拡大することです。
その目標を達成するために、今までにないビッグスケールのマーケティングを実施しました。10月にはファッションウィーク中のパリでブランド設立40周年を記念するイベントを開催し、パフテックを大々的に披露しました。
その後は、欧米や中国、韓国、東南アジアの各国で世界共通の動画を使い、プロモーションを行いました。日本では東京や名古屋、京都、大阪、博多など主要な駅内にラッピング広告を展開し、認知拡大を図りました。
今後はどのような進化を遂げていくのでしょうか?
UNIQLOは常に時代の流れをリサーチして、お客様の声に耳を傾けながら商品を改良しています。21年間アップデートされ続けているヒートテックはその好例といえるアイテムです。パフテックもヒートテックと同様に進化を続け、いつか既存のダウンジャケットにとって代わる、ひいてはその存在を大きく超えるようなアイテムになることを目指して、技術革新を続けていきます。

Text by Ryota Osujo

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