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水にぬれても暖かいTHE NORTH FACEの新作ダウン「ウーゼル」の潜在能力

2025.01.07
なぜ、ダウンジャケットは暖かいのか?
その理由は内部に充填された「羽毛」にある。水鳥から採れた羽毛はふわふわの綿毛のような形状になっていて、大量の空気をため込むことができる。そして熱伝導率が低い空気が断熱材の役割を果たし、保温性を高めるのだ。
だが、そんなダウンジャケットにも、「水」という弱点がある。内部の羽毛が水にぬれてしまうと、空気をため込むことができなくなるため、保温性が低下してしまう。
今シーズン、THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)がリリースした「WOUZEL(ウーゼル)」は、そんなダウンジャケットのウィークポイントに着目した一着だ。今回はザ・ノース・フェイスのMDを担当する千葉弥生さんに、ウーゼルが誕生した背景やそのスペックを語ってもらった。

PROFILE

千葉 弥生(ちば やよい)

株式会社ゴールドウイン ザ・ノース・フェイス パフォーマンスグループ マネージャー
趣味は登山で、今年の夏の休暇は、英国でロングトレイルを楽しんだ。

羽毛自体に撥水性を持たせるという画期的なアイディア

「ウーゼル フーディ」 50,600円(税込)
まずはウーゼル開発の経緯を教えてください。
アウトドアシーンでは、雨や雪、霧、汗などで、ダウンジャケットが水にぬれてしまうことがよくあります。実際にザ・ノース・フェイス アスリートたちからも、「ダウンジャケットの軽量コンパクト性は生かしたいが、湿ったときのロフト減をなんとかできないか?」という声をいただいていて、そのニーズに応えるために開発を始めました。モデル名はカリフォルニアのヨセミテ国立公園周辺に棲息する水鳥に由来した造語です。
水にぬれても保温性が低下しない秘密はどこにあるんですか?
外部の雨や雪、霧などは、はっ水性のあるシェルを上に着ることで防ぐことができます。ですが、体から出る汗による湿気も、羽毛がぬれる要因になるんです。
この湿気もまたダウンジャケットの大敵で、羽毛が湿気を吸収すると、羽毛が閉じてしまい、保温力の低下や変形の原因になります。そこで改めて見直したのが、「羽毛自体にはっ水性を持たせる」ということでした。

羽毛の名門、河田フェザーのクリーンダウンを使用

羽毛にはっ水加工が!? そんなことができるんですね。
はい。このモデルには、はっ水加工が施された羽毛を使用しているんです。もともと天然の羽毛は水鳥から採れたものですので、ある程度水を弾きます。そんな羽毛にさらにはっ水加工を施すことで、水への強さを高めています。この技術はザ・ノース・フェイスのダウン製品に封入されている河田フェザーの企業秘密です。はっ水ダウンの良さを改めて見直して、開発を進めました。
河田フェザーといえば、日本を代表する羽毛メーカーですね。
河田フェザーは、国内で羽毛の精製・加工から、羽毛ふとんの製造までを行う羽毛素材メーカーです。優れた洗浄技術を持つことで知られ、羽毛の細部まで浸透する超軟水を使うほか、羽毛同士を複雑にぶつけ合わせる研ぎ洗いと呼ばれる洗浄方法を駆使しています。ウーゼルには同社のクリーンダウンというトップクオリティの羽毛を使っています。
羽毛のパフォーマンスを高めるためには洗浄が重要なんですね。
そうなんです。羽毛に付着する垢やホコリを徹底的に取り除くことで、よく膨らみ、暖かさや軽さ、柔らかさが最大限に引き出されます。また、羽毛独特の臭いも気になりにくいです。
しかも、900フィルパワー! かなりのスペックです。
フィルパワーとは羽毛の膨らみ具合を数値化したもの。この数値が高いほど、多くの空気を含むことができ、熱も放出されにくくなるため、保温性が高くなります。

アウターにもミッドレイヤーにもなる万能ダウンジャケット

表地はどんな素材でしょうか? 薄手のナイロンのようですが。
パーテックスのダイヤモンドフューズを一部使用した素材です。これはダイヤモンド形状のナイロンフィラメント糸を使用することで表面をフラットにし、強度と耐摩耗性を実現した素材です。表面にはっ水加工を施しているため、少々の雨や雪をはじきます。また、独特のハリと上品な光沢があるので、着映えがします。
シルエットについて教えてください。ダウンジャケットにしてはすっきりして見えます。
はい。スリムすぎず、かといって太すぎないボックスシルエットです。ミッドレイヤーはもちろん、アウターとしてとしても使いやすいようにバランスを調整しました。ロフト感やバッフル[1]はそんなに大きく見えませんが、トップグレードの羽毛を使っているため、少量でも十分暖かいんです
これからダウンジャケットを買う人は、たくさんあるザ・ノース・フェイスのアイテムの中で迷うかとも多いと思いますが……。
それぞれのアイテムにデザインや細かいスペックなどさまざまな違いがあるなかで、ウーゼルはアウトドアフィールドでのアクティビティ中の使用を想定しているため、先にお話ししたような機能面、ミッドレイヤーとしてもアウターとしても使いやすい点に強みがあります。ですので、秋口から真冬、春先まで活躍するアイテムです。コンパクトに折り畳んでスタッフサックに収納できる点もこのモデルの特長です。
シンプルなので、スタイリングにもとり入れやすそうです。
カジュアルはもちろん、ハイゲージのタートルネックニットやグレーのスラックスといったキレイめの着こなしとも相性がいいでしょう。また、スタンドカラーのジャケットとフード付きのフーディの2種類があるので、スタイリングに合わせて選ぶことができます。
スタンドカラーの「ウーゼル ジャケット」 47,300円(税込)
今後、ブランドにとって、ウーゼルはどんな存在になりそうですか?
ウーゼルはアウトドアギアとして必要な要素を存分に盛り込んだモデルです。だからこそ、雨への強さや着回し力の高さなど、タウンユースにおけるアドバンテージもさまざま。現代のライフスタイルにフィットする万能アウターとして、幅広いユーザーに愛されるダウンジャケットになるでしょう。
ダウンの弱点を見事に克服したザ・ノース・フェイスのウーゼル。アウトドアでも普段使いでも欠かせない存在となりそうだ。

《註》
[1]ダウンを封入する内側のスペースを部屋のように仕切った構造のこと。羽毛の移動や片寄りを防ぎ、アウター全体の保温性を均一に保つ効果が期待できる。

Text by Ryota Osujo

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