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フランス発「AUDE HEROUARD(オード・エルアール)」とは? ノルマンディーの光を纏う、熟練職人のアイウェア

2026.02.13
ノルマンディーの風が運ぶのは、静けさと強さ、そして時間の手触り。農家の父と職人の母のもとに生まれたオード・エルアール(Aude Herouard)は、自然と共に生きる日々の中で、「美とは、時間をかけて磨かれるもの」だと知った。その哲学を形にしたのが、2021年に誕生したアイウエアブランド「AUDE HEROUARD(オード・エルアール)」である。
フランスの手仕事と穏やかな光の色を纏ったアイウエアは、着用者の個性に静かに寄り添い、日常にやわらかな彩りを添える。アイウエアという美しいオブジェを通して“見ること”と“美しくあること”を探求する彼女に、創作の源とその内に宿る哲学を聞いた。

PROFILE

オード・エルアール(Aude Herouard)

AUDE HEROUARD デザイナー

自然が育んだ美意識とブランドの誕生

ノルマンディーの穏やかな田園と、エトルタの断崖の力強さ。その間に吹くやわらかな風が、アイウエアデザイナー、Aude Herouardの創作の原風景である。
「父は亜麻を育てる農家で、母は古いものを美しく再生する職人でした。両親が教えてくれたのは、物を丁寧に扱い、時間をかけて磨くことの尊さです。それは今も、私のデザイン哲学の核にあります」
自然と共に生きる家族の姿、時間を重ねて風合いを増す道具、そして季節の移ろい。彼女の美意識は、そうした持続する美しさへの感覚から生まれている。
2021年、彼女は自身の名を冠したブランド「AUDE HEROUARD」を設立。そこに並ぶアイウエアは、ただ視力を補うものではなく、身に着ける人の個性や生き方を映す小さな舞台である。
「サングラスも光学用のアイウエアも、顔の上で最初に目に入る存在です。美しい靴と同じように、その人らしさを完成させるもの。私にとって理想の装いは、白いメンズシャツにデニム、そしてキャラクターのあるアイウエアと靴。それだけで充分にエレガントだと思うのです」

技術と個性が織りなす「日常の芸術作品」

設立からわずか5年、ファッション業界人やアーティストなど、感度の高い人々の間で着実に支持を広げている「AUDE HEROUARD」。最大の魅力は、高い技術力に支えられた品質と機能性、そして素材への深いこだわりにある。
その基盤となったのは、彼女が修業時代を過ごしたルーアンの名門アイウエアメーカー「Le Lanchon(ル・ランション)」での学び。そこでは、単なる職人技を超えた、物の見方や考え方を身につけたという。
「完璧な仕上げへの執念だけでなく、一歩引いて物を見るということを学びました。問題が起きたときも焦らず、一つずつ解決していけば必ず答えが見つかる。今の私の仕事への姿勢もそこから来ています」
彼女は、オーガニックアセテートやイタリア製レンズを用い、プロトタイピングから研磨、組み立てに至るまで、すべてフランス国内の熟練職人による手作業で完成させている。その緻密な手仕事は、フレームのエッジの丸みや、肌に触れたときの軽やかさ、光の反射まで計算し尽くされている。
「フレームは、色や形だけでなく、その手触りも人格を語るもの。仕上げの艶や、わずかな厚みの違いが、その人の表情を変えてしまうんです」
そしてカラーパレットには、彼女が愛するノルマンディーの風景が宿る。チェスナッツ、チェリー、オーク、そして曇り空のグレイッシュブルー。自然の光の中でゆっくりと移ろうその色合いは、日常の中で穏やかに溶け込みながらも、ひとさじの個性を添える。

身近な人々から着想を得た、物語を持つモデル

さらにデザインのモデルには、身近な人物からのインスピレーションを色濃く映す。
祖母から着想を得た“CHRISTIANE(クリスティアン)”は、控えめで働き者、少しシャイな佇まいを感じさせるモデルで、透明感のあるブラウンのフレームが落ち着きとやわらかさを兼ね備え、誰の顔にも自然に馴染む。
Christiane AMBRE
一方、母のナチュラルエレガンスを体現した“BRIGITTE(ブリジット)”は、シンプルなジーンズとカシミアのセーターに似合う、軽やかで洗練されたシルエットを持つ。やわらかなベージュやピーチトーンのフレームが、穏やかで知的な印象を与え、装う人の内面の魅力を引き出す。
Brigitte ROSE
そして伯母から着想を得た“MICHÈLE(ミシェル)”は、鮮やかで個性的なキャラクターを表現するモデルだ。深みのあるグリーンやレッドのフレームは、強い個性と色彩感覚が印象的で、顔に唯一無二の存在感を生んでいる。
Michèle SARRASIN

「20年後も愛される」アイウエアを目指して

小規模生産にこだわるのは、日常に溶け込みながらも、特別感を持つ存在として届けたいという思いからだ。大量生産ではなく時間をかけて一つひとつ丁寧につくることで、アイウエアはパティーナを宿し、使う人の人生の一部になっていく。彼女は短期的な流行に流されるのではなく、20年後も愛される持続的な創造性を追求し続けているのだ。
「かけることで、心が整う」。そんな静かで力強いエレガンスをもたらすAUDE HEROUARDのアイウエアは、フランスの職人技術、オーガニック素材、そして繊細な色彩表現を通して、顔の上に時を超えた物語を宿す。それは時間とともに育ち、使う人の人生に色を重ねる小さなオブジェであり、日常に静かな特別を演出する人生の記憶のような存在だ。
日本国内でも一部の店舗やECで購入できるので、その「日常の中の芸術作品」をぜひ体感してほしい。

Text by ELIE INOUE

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