

Articles
アウトドアシーンを彩る「KAVU(カブー)」こだわりのMADE IN USAアイテムとは?
頭のまわりをぐるりとアウトドア用のウェビングテープが一周したキャップを、誰でも一度は見たことがあるのではないだろうか。それは「ストラップキャップ」といって、アメリカ シアトル発祥のブランド「KAVU(カブー)」を代表するアイテムだ。
1993年にブランドをスタートすると、ほぼタイムラグなく日本でも展開が始まり、現在では多くの人がKAVUのアイテムを愛用している。今回は株式会社 エイ アンド エフの南日 清伸さんに、多岐にわたるアイテムの中からMADE IN USAにこだわったアイテムをご紹介いただき、ブランドの歴史と併せてお話を伺っていこう。
アラスカの海の過酷な環境で浮かんだアイディアがストラップキャップにつながる
「ブランドの歴史からお話しさせていただきます。創業者はBarry Barr(ベイリー・バー)という人物で、彼は若いころ父親の勧めで漁船を購入し、漁業許可を取得して、アラスカでサーモン漁を行う会社『ブリストル・ベイ・ボート』の経営を始めました。アラスカの船上での漁作業は、海上の強い風と、強い日差しが照り返すという過酷な環境にさらされます。そうしたなかで、“風に飛ばされにくく、日差しも遮れるサンバイザーを作ってみてはどうか”というアイディアが浮かんだそうです。これが、現在もブランドの看板商品であるストラップキャップの構想につながっていきました。
そして1993年、KAVU社をシアトルにて設立し、『ストラップキャップ』をリリースします。
それまでになかったまったく新しいコンセプトを持つストラップキャップは、初年度はスキー市場に、翌年にはアウトドア市場やカヌー・カヤックマーケットへと急速に浸透していきました。1996年のアトランタオリンピックでは、アメリカのカヌー&カヤックチームの公式ライセンス製品にも選ばれ、KAVUはアウトドアブランドとしての地位を一気に高めることとなりました。
ブランド名となるKAVUは、“限りなく視界良好”という意味の航空用語、CAVU(Clear Above Visibility Unlimited)の頭文字をCからKにもじって誕生しました」




“世界で一番タフなキャップを作りたい” ストラップキャップを深掘り
ここで冒頭から話題にあげているストラップキャップについて深掘りしていきたい。誕生の背景やアイテムの紹介など、引き続きお話しいただこう。「アラスカの海で仕事をしていた経験から、“世界で一番タフなキャップを作りたい”という思いがBarry氏に芽生えました。そこで自作でキャップの縁にアウトドア用のウェビングテープを取り付け、従来のキャップよりもサイズ調整がしやすいモデルを試作し、量産が可能な縫製工場を探し回ったそうです。
1990年代のシアトルはアウトドア文化が盛んだったこともあり、バックパックなどのアウトドア製品を主に取り扱う縫製工場がいくつか存在していました。その中で、“世界で一番タフなキャップを作りたい”というBarry氏の思いに共感してくれた工場とともに、ストラップキャップを完成させたのです。
こうしてこのキャップのみでKAVUというブランドはスタートしました。そして当時の工場とはブランドの規模が大きくなった現在に至るまで、近い関係性を保ちながら付き合いが続いています。
KAVUのスタートから間もなく、アメリカ・ネバダ州リノで開催された開催された展示会出展し、弊社の会長がそこでBarry氏と出会ったことをきっかけに日本での展開が始まりました。当時は日本でもアウトドアウエアブームの真っ只中ということもあり、ストラップキャップはすぐに注目を集め、多くの方にご愛用いただくアイテムとなりました」


「アイテムについてもお話しさせていただきますと、最大の特徴は縁に付いたサイズ調整用のアジャスタブル・ウェビングテープです。このウェビングシステムによって、強風の中でもキャップが脱げにくくなっています。
このウェビングテープはさまざまな色柄で展開されており、デザインは基本的に“おまかせ”となっている点も、楽しみのひとつとして人気を集めています。また、本体にはタフなキャンバス素材を使用しており、使い込むほどに風合いが増し、経年変化によって“アジ”が出ることも愛され続ける理由のひとつではないかと思います。
さらに、ツバの裏側は黒1色で統一されており、水面などからの日光の照り返しを防ぐ工夫も施されています。そして現在ではサステナビリティへの配慮から、100%オーガニックコットンを使用したウエアづくりにも取り組んでいます」


ストラップキャップだけじゃない、KAVUが誇るMADE IN USAのアイテム
ここからはストラップキャップに続く、KAVUらしさを感じられるMADE IN USAのアイテムを紹介してもらおう。「ストラップキャップ誕生から間もない1990年代にリリースされたアイテムをご紹介させていただきたいのですが、『チリワックショーツ』と『ハーフジップ スローシャツ』の2型が、KAVUらしさがあふれるMADE IN USAのアイテムだと思います。
チリワックショーツは10ozオーガニックコットンキャンバス生地を使用したタフな一本になっていて、前後にある『ハーフムーン ポケット』とも呼ばれる特徴的なデザインのポケットは、クライミングの際に便利なディテールになっています。ゆったりとしたシルエットでタウンユースからフィールドまで場所を選ばずに着用でき、レイヤードして夏以外でも使ってほしいアイテムです」



「そして『ハーフジップ スローシャツ』も、厚手のオーガニックコットン生地を使用しており、キャンプサイトで過ごす際や肌寒い季節にアウターとしてぴったりのアイテムです。
ディテールとしては、フロントにハーフジップを採用し、袖口には面ファスナーを使用するなど、ボタンを一切使わないデザインとなっています。この仕様には、船の上で仕事をしていたBarry氏ならではのアイディアが反映されています。というのも、漁の際にボタンが魚網に引っかかってしまう可能性があるため、このようなディテールになったそうです。
もちろん、ハーフジップ スローシャツ自体は漁で使うためのシャツではありませんが、Barry氏の経験がこうしたデザインワークに生かされている点が、このアイテムのKAVUらしさでもあると思います。また、ストラップキャップと同様に、胸元には『ウェビングテープ付きポケット』が配置されており、アクセントとしても印象的なディテールになっています。
これら2つのアイテムは、洗濯がしやすいイージーケア仕様であることや、化学繊維と異なり焚き火の火の粉で穴が開きにくいことなど、リリース後にユーザーから寄せられたフィードバックによってその価値や利便性がさらに認知されていきました。そうした理由からも、現在ではKAVUを代表するアイテムとなっています」


これぞKAVUならでは、傘帽子のような「チルバ」
もうひとつ、これぞKAVUというようなMADE IN USAのアイテムがある。日本の「傘帽子」、またはベトナムの「ノンラー」のような、「チルバ」というアイテムについてもご紹介いただこう。「アジアへの旅から帰国したBarry氏は、この“傘帽子”のアイディアをなんとか商品化したいと考え、いつもの縫製工場に相談を持ちかけたそうです。その際、工場にあったピザの箱を円形に切ってイメージを伝えた、というエピソードがあります。当時、その縫製工場にはバックパックを製作するためのウレタン素材が用意されており、それを使って試作品が作られたそうです。
こうしてKAVUならではのユニークなデザインが光る日よけハット、『チルバ』が誕生しました。チルバは太陽の光から身体全体を守ってくれるだけでなく、水に浮く設計になっているため川遊びやSUP(サップ)など、水辺のレジャーやスポーツに最適で、日差しの強い暑い夏の日には欠かせないマストアイテムとなっています。
サイズ調整が可能なあご紐でしっかりと固定できるため、風の強い日でも飛ばされる心配がありません。また、ソフトなフォーム素材を使用しているため、折りたたんで持ち運ぶこともできる、非常に便利なアイテムです」



1990年代から、アウトドアブランドとして日本でも長く愛され続けているKAVU。
ブランドの規模は年々大きくなり、アイテムもさまざまな国で作られるようになっているが、いまも変わらずMADE IN USAにこだわり続けているアイテムを今回はご紹介いただいた。いつの時代も変わらないアイディアにあふれたものづくりの姿勢が見られた。
KAVUのアイテムをまだ持っていないという人は、“世界で一番タフなキャップを作りたい”という気持ちで誕生したストラップキャップから、まずは手に取ってみてはいかがだろうか。
PROFILE

南日 清伸(なんにち きよのぶ)
株式会社 エイ アンド エフ
ブランド管理部
専門課長
某セレクトショップでの勤務を経て2011年に入社。以来、ブランドマネージャーとしてKAVUにかかわる全ての業務を担当している。



















