

Articles
ミズノのスポーツテクノロジーが注ぎ込まれた 「バディパンツ」は都市生活者の福音となるか?
リモートワークや都市型ライフスタイルの広がりにより、通勤・運動・外出の境界は年々あいまいになってきた。日本が誇る総合スポーツ用品メーカーのミズノも、そんな動きをリードするブランドのひとつだ。
長年にわたるスポーツウエア開発で培われた技術力を駆使し、機能性とデザイン性に優れたデイリーウエアを続々とリリースしている。「BUDDY PANTS(バディパンツ)」は、そんなミズノの進化を象徴するアイテムだ。
2024年春夏シーズンにデビューするやいなや、アクティブな毎日を送る都市生活者の心を掴んだヒット作の実力を深掘りしていこう。
PROFILE

山本晋司(やまもと しんじ)
ミズノ株式会社
グローバルアパレルプロダクト本部
グローバル企画・デザイン室
日常とスポーツをシームレスにつなぐ新しいデイリーウエア
お話を伺ったのは、グローバル展開するアパレル製品の企画開発を統括する部署で、バディパンツを手がけた山本晋司さん。「現代のアクティブなライフスタイルに対応できるパンツを作りたい、と思ったのが開発の原点です。通勤からテレワーク、ジム、スポーツ、街へのお出かけまで、日常を丸ごとカバーできるBUDDY(相棒)のようなパンツを目指しました」

一番こだわったのは、動きやすさだという。
「基本的にはデイリーユースを想定したパンツですが、ミズノというスポーツブランドの特性を生かして、動きやすさを高めることに努めました」
そこで注目したのがパターンだ。
「ミズノはアスリートのための競技用ウエアを開発するうえで、それぞれのスポーツに合わせたパターンを開発してきました。バディパンツには、さまざまな競技における体の動きの解析から得られたパターン理論を採用しています」
スキーパンツに学んだ、動きやすさを追求したパターン設計
ヒントになったのはスキー競技だった。「ミズノは長年、技術選(全日本スキー技術選手権大会)と呼ばれる大会に出場するデモンストレーターたちにウエアを提供してきました。彼らはターン時に、ときに膝が胸につくほどの深い屈伸運動を連続で行います。
そんなハードな屈伸運動に対応するためには、脚の可動域を高め、同時に素材の伸縮性も存分に生かせる特殊なパターンが必要になります。バディパンツには、この深い屈伸にも対応するスキーパンツの理論を応用しています。デスクワークからスポーツまで、脚の動きをスムーズにサポートしてくれます」
サイドシームがないのもこのパンツの特徴だ。
「人間の下半身において、もっとも皮膚の伸長率が高いのが膝とお尻です。その2つの部位をつなぐラインに縫い目があると、生地がつっぱって皮膚の伸縮の妨げになってしまうため、脇のシームをなくしました。
また、スムーズに前屈するためには、後ろ身頃のヨーク部分の伸縮性もポイントになります。そこでゴルフパンツのパターン設計を採り入れ、背面中心部のシームもなくしました」


ただ、シームレス化によって問題も発生した。
「脇のシームを省略すると、キレイなシルエットを作ることが難しくなり、デザイン面でのデメリットが生まれます。この課題をクリアするのにもスキーパンツの理論が役立ちました。
技術選に出場するデモンストレーターには、立ち姿も美しく見えることが要求されます。そこでスキーパンツの立体裁断やテーパードシルエットを採り入れることで、すっきりとしたシルエットを実現しました」
すべてのモデルに耐久撥水加工が施されている点も見逃せない。
「雨の日に傘を差していても、風にあおられた雨粒や地面からの水の跳ね返りでパンツがぬれてしまうことがあります。撥水機能は水をはじくだけでなく汚れもつきにくくなるため、日常のシーンでも役立ちます」

スポーツウエアばりの機能性とタウンユースに対応できるデザイン性を兼備
バディパンツのラインナップは、ライフスタイルとアウトドアの2カテゴリー。「ラインナップは、動きやすさを重視するなら“ライフスタイル”、軽量性を求めるなら“アウトドア”というように、用途に応じて選びやすい構成になっています」
もっとも人気が高いというライフスタイルカテゴリーの「ストレッチ撥水テーパードパンツ」をはいてみた。
軽くて動きやすく、まるでスポーツウエアのよう。
下半身が包み込まれるようなフィット感に加え、屈伸もスムーズに行える。椅子に座っても、膝がつっぱらず、引きつれやねじれも起きない。ランニングやサイクリングにも十分対応できそうだ。

シルエットはやや細身のレギュラーシルエット。テーパードしたラインによって脚がすっきりして見えるため、スラックス感覚でビジネスシーンでも重宝しそう。
生地にはしなやかな風合いの、ポリエステル100%の2WAYストレッチ素材が使われている。

同じくストレッチ素材が使われた「ストレッチ撥水ワイドテーパードパンツ」は、ゆったりとした股上とワタリ、そして裾に向かって細くなるテーパードが特徴だ。

なお、バディパンツの一部のカラーには、「SH」というショート丈のモデルも展開され、自分の体形や好みに合ったシルエットを選ぶことができる。
「10分丈できちんとはきたい、8分丈で軽快にはきたい、といったニーズを叶えます。ウエストはちょうどいいのに、丈が長い。そんなときはショート丈を選ぶことで、裾上げの必要がなくなります」

2024年の2月から、直営店と自社ECで販売され、販売数は右肩上がりに伸びているという。
「レビューでは『通勤にも運動にも使える』『一日中はいていても疲れない』といった声が多く寄せられています。われわれの狙い通りの価値をお客様に届けることができていると、手ごたえを感じています」
テックシールド搭載モデルは寒い季節にも重宝
秋冬シーズンにはくなら、テックシールドが使われたモデルがおすすめだ。「特殊な多層構造によって、風の侵入を防ぐミズノ独自の機能素材を使ったモデルです。もともとはゴルフやアウトドアウエアに使われていたもので、ソフトシェルのような質感の素材はストレッチ性に優れ、撥水加工によって雨や雪をはじきます」

「これまでにもライフスタイルに向けたパンツを開発してきましたが、いずれも素材の機能性に重点を置いたものばかりでした。その点バディパンツは、アスリート用に開発されたパターンで動きやすさを実現している点で異彩を放っています。実際にはいていただければ、その違いを体感していただけると思います」
スポーツテクノロジーを日常に持ち込んだバディパンツは、都市生活者にとって“ただのパンツ”ではなく、日々を支える真のBUDDYとなるはずだ。
Text by Ryota Osujo















