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ワークマン「イナレムプレミアム防水防寒コート」が高額でも即完売した理由
以前、このFASHION TECH NEWSに掲載された「リペアテック洗えるフュージョンダウンフーディー」の記事で、ワークマンには「4,000円の壁」があるというエピソードをご紹介した。圧倒的な低価格で知られるワークマンでは、価格が4,000円を超えると、お客さんが製品を手に取りにくくなる傾向があるというのだ。
今回ピックアップする「イナレムプレミアム防水防寒コート」は、「4,000円の壁」を大きく上回る7,800円という価格にも関わらず、初登場した2023年秋冬には早い段階で完売した。
今回は「イナレムプレミアム防水防寒コート」の企画に携わる、株式会社ワークマン製品開発第6部チーフバイヤー羽倉優太朗さんに、ワークマンの公式アンバサダーで同製品の共同開発者でもある山田耕史が、開発にまつわるエピソードを伺った。
今回は「イナレムプレミアム防水防寒コート」の企画に携わる、株式会社ワークマン製品開発第6部チーフバイヤー羽倉優太朗さんに、ワークマンの公式アンバサダーで同製品の共同開発者でもある山田耕史が、開発にまつわるエピソードを伺った。
高額でも即完売した理由
山田耕史(以下、山田)製品名に冠されている「イナレム」は、防水透湿素材の名前ですね。まずは「イナレム」が開発された経緯を教えてください。
羽倉優太朗(以下、羽倉)「イナレム=蒸れない」というネーミングでも表しているように、高い防水性と透湿性を兼ね備えた素材を目指してスタートしました。
初登場した2018年の時点で、ワークマンの全製品の中で最高の耐水圧と透湿性を誇っていましたが、そこから6年の年月を経るなかで技術革新も進み、現在は耐水圧20,000mm、透湿度40,000g/m2/24hというスペックに進化しています。
山田「イナレム」シリーズのフラッグシップモデルと言えるのが、2023年秋冬に登場し、2024年秋冬でも継続販売される「イナレムプレミアム防水防寒コート」です。

羽倉「イナレム」シリーズはレインウエアを中心に展開していましたが、カジュアルにも着られる防水透湿性が高い防寒アウターの需要もあるのでは、というアイディアから企画が始まりました。
山田近年は化繊も進化したと聞きますが、同製品の中わたはポリエステル50%、ダウン40%、フェザー10%という比率になっています。これには理由があるのでしょうか?
羽倉ダウンはかさ高さが保てるので空気をしっかりと溜められますし、吸放湿性も高いので、やはり防寒アウターの素材としては非常に優秀なんです。
「イナレムプレミアム防水防寒コート」では、より保温性を高めるために、吸湿発熱機能に加え、静電防止や消臭機能も備えているグラフェンをポリエステル中わたに練り込んでいます。
「イナレムプレミアム防水防寒コート」は、「イナレム」による高い防水透湿性と、ダウン・機能中わたによる保温性の両方を兼ね揃えた製品なんです。
山田「イナレムプレミアム防水防寒コート」は7,800円と、ワークマンの製品ではかなり高額ですが、売れ行きはいかがでしたか?
羽倉「イナレムプレミアム防水防寒コート」が登場するまで、ワークマンのアウターの最高価格は6,800円でした。これだけ高額なうえに、プロモーションなども一切かけなかったんですが、販売開始後すぐに売り切れてしまいました。
今年は昨年の倍くらいの量をご用意しているのですが、入荷後すぐにかなりの数が売れています。
山田どういった点がお客さんに評価されたのでしょうか?
羽倉やはり、包みこまれるような暖かさですね。もちろん、それまでにレインウエアとして「イナレム」の機能性の高さに評価をいただいていたという要素もあると思います。
メーカー品で満足できなかったファスナーは自社開発
山田機能性に加え、スタイリッシュなデザインも魅力です。僕がアンバサダーとして以前からずっとお願いしていた「シンプルでベーシックなデザイン」が徹底されていると感じました。
羽倉普段着として使えるように、ジーンズやチノパンツなどのカジュアルアイテムとの相性を重視しています。一般の方もたくさんご購入いただいていますが、職人さんにも売れています。作業のときに着るのではなく、オシャレ着のような感じで行き帰りの車の中で着用されている職人さんが多いみたいです。
「格好良いから、現場で汚したくない」という声もあるそうで、デザインにこだわってよかったなと思っています。丈が短めなので、座っても邪魔にならないところにもご好評をいただいています。
山田ディテールも本格的で素晴らしいと思います。

羽倉「イナレム」の防水透湿性を生かすために、止水ファスナーを使っているんですが、これは上からも下からも開閉できる、逆開ファスナーというタイプのものです。

羽倉実は、2023年モデルはこの逆開ファスナーが開閉しづらい、という声があったんです。それを解消するためにさまざまなメーカーさんのファスナーを試してみたのですが、満足できるものがなかったので、ワークマンで自社開発しました。

山田着こなしに変化が生まれるので、逆開ファスナーはファッション的にも楽しめるディテールです。また、個人的にうれしかったのが、脇下のベンチレーションです。この価格でこのディテールを備えているアイテムはなかなかありません。

羽倉このベンチレーションは単なる開口部ではなく、内側にメッシュ生地を当てることで雪などが入りにくくしています。袖口のベルトにもこだわっています。フロッキーベルトという、粘着性が高く柔らかいものを使っています。コストが非常に高くなってしまうのですが、腕の丸みにきちんとフィットするので、適度な締めつけ感が得られるんです。

羽倉冷えを感じやすい首周りには、マイクロフリース素材を採用しています。

羽倉裾には、スキーウエアなどでよく見られるウィンドガードを付けて、防寒性を高めています。

山田今年のはじめに家族でスキーに行ったんです。僕はこの「イナレムプレミアム防水防寒コート」を着ようと思っていたんですが、12歳の娘に奪われてしまいました(笑)。
羽倉ワークマンの社員もウィンタースポーツのときによく着ていますよ。スキー場では見知らぬ人とお揃いになることも多いようです(笑)。
ワークマンの最高峰「プレミアム」ラインのこれから
山田ワークマンには「イナレムプレミアム防水防寒コート」の他にも製品名に「プレミアム」を冠した製品がありますが、これはどういった意味があるのでしょうか?
羽倉この「プレミアム」の名称を正式に使い始めたのは2024年からです。ワークマンの製品はどれも「高機能・低価格」をコンセプトにつくっていますが、企画を検討するうえで、機能性や快適性にさらにこだわった製品をつくってみたい、という思いからスタートしました。
「イナレムプレミアム防水防寒コート」ともう2点、同じく山田さんに開発協力をしていただいた「ソロテックスプレミアムスーツジャケット・パンツ」を展開しています。

山田このジャケットとパンツはつくりや生地感がかなり本格的で驚きました。「プレミアム」はまだ3製品だけなんですね。今後増える予定はあるのでしょうか?
羽倉2025年春夏アイテムで計画中なんですが、現時点ではまだ公表できないので、今後のお楽しみにしておいていただけるとありがたいです。
PROFILE

羽倉 優太朗(はぐら ゆうたろう)
株式会社ワークマン 製品開発第6部 チーフバイヤー
PROFILE

山田 耕史(やまだ こうじ)
ファッションアナリスト/ワークマン公式アンバサダー
「山田耕史のファッションブログ」を中心にフリーランスとして活動。著書に『結局、男の服は普通がいい 世界一かんたん、一生使えるオシャレの方程式』(KADOKAWA)



















