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なぜ約140gにできたのか? ワークマンの日傘が両立した、軽さと耐久性の構造
昨年発売した日傘が好評だったことを受けアイテムを拡充するなかで、なぜ彼らはスマートフォン程度の軽さとスリムさにこだわったのだろうか。
今回は株式会社ワークマン製品開発部第3部のチーフバイヤーである大後湧暉さんに、軽さと耐久性を両立させた構造の秘密や、低価格を実現した独自の開発手法について聞いた。
昨年好評だった日傘を拡充。晴雨兼用で長く使える一本に
今回、日傘のラインナップを拡大し、「スリムアンブレラ」の発売に至った経緯を教えてください。
近年、男性の方も日常的に日傘を持つようになってきました。実は昨年、ワークマンで1アイテムだけメンズ向けの日傘を発売したところ、それが想定以上に売れまして、非常に好評だったんです。そこで今年はアイテム数を一気に拡大しようということになり、その一つとして、軽さとスリムさが特長の「スリムアンブレラ」を発売しました。主なターゲットとして30代から50代の方に向けて開発したのですが、実際の購入者層もその世代の方々から支持する声が多く聞かれます。
雨の日でも使える晴雨兼用仕様にしたのはなぜでしょうか。
日傘専用にしてしまうと、どうしても活躍する期間が5月から8月くらいまでに限定されてしまいます。そのため、もっと前の時期から活用してもらえるよう、「雨でも使える」という点を明確に打ち出しました。どちらかの機能に偏っているわけではなく、販売期間を長く取り、より多くのお客様に日常的に使っていただきたいという狙いがあります。親骨は50cmで、収納時の直径は約4cmと非常にコンパクトです。カラー展開も含め、どのような使用シーンを想定していますか。
一番は通勤時ですね。基本的には雨傘として使うことが多いかもしれませんが、「いざというときには日傘にもなる」という感覚で、携帯しやすいものが良いと考えました。だからこそ、軽さとスリムさにこだわって少し小さめに設計しています。ビジネスシーンで男性が持っていても、シャープでかっこいい見た目を意識しました。カラーについては、通勤で使いやすいネイビーとグレーのほかに、アウトドアで使っていただくことも想定し、オレンジのような少し派手めな色もラインナップに加えています。

140gの軽さと耐久性を両立する、こだわりの構造
重さは約140gと非常に軽いですね。どの部分で軽量化を図っているのでしょうか。
一番の大きな特徴は、骨の素材です。一般的にはスチールが使われることが多いのですが、スリムアンブレラでは傘の中心にある中棒などの一番重さがかかってくる部分に、軽量なアルミを採用しています。お客様にとって「何gだと軽い」というのは伝わりにくいと思うのですが、約140gはスマートフォン程度の重さなので、体感しやすい軽さになっていると思います。

軽量化を進めると耐久性の確保が難しくなりそうですが、そのバランスはどのように調整したのでしょうか。
そこが一番のポイントです。中心の骨にはアルミを使って軽量化を図りつつ、風を直接受ける外側の骨の部分には、耐久性に優れたスチールとグラスファイバーを使用しています。耐久性を上げるだけであればすべてグラスファイバーにすれば良いのですが、それだと価格が高くなってしまいます。逆に安く作るならすべてスチールにすれば良いのですが、それでは重くなってしまう。一本の傘の骨組みの中で複数の素材を用いるとコストを抑えるのが難しいのですが、そこをうまく調整し、異なる素材を組み合わせることで軽さと耐久性のバランスを取っています。
構造だけでなく、生地にも軽量性と機能性を両立させる工夫が施されている。
遮熱やUVカット、撥水といった生地の機能面についても教えてください。
傘の裏側にコーティングを施しており、真夏には約60度に達することもある頭部の体感温度を、約4度下げる遮熱効果があります。生地をもっと厚くすればさらに遮熱効果は高まるのですが、この傘は軽量であることが売りなので、その両立を目指しました。UVカット機能もUPF50+を備え、紫外線を99.9%カットできます。これ以上生地を薄くすると数値が落ちてしまうという、ギリギリの薄さに調整しました。また、生地自体の加工によって4級の強力な撥水機能も持たせています。
日常使いを前提とした使い勝手の工夫
毎日使うことを考えると、使い勝手の部分で工夫されたポイントはありますか。
スリムなので、リュックのサイドポケットなどにペットボトルと一緒に入れられるくらい収納に便利です。また、傘をまとめるバンドの部分をあえて長めに作っています。私自身も電車通勤をしていて、駅に着いたときに急いで傘を巻こうとすると、綺麗にたためず太くなってしまうことがあります。そのストレスをなくすために、雑に巻いてもまとめやすい長さにしました。また、さしているときにバンドが垂れて邪魔にならないよう、固定できる仕様にもなっています。

最後に、他のアイテムも含めた今年の展開と今後の展望を教えてください。
今年は、最強に涼しい「遮熱マイナス15」880円というコスパ最強のもの、そしてこの軽い「スリムアンブレラ」の、“涼しい・安い・軽い”の3兄弟として展開しました。お客様の感じ方や用途によって、それぞれ合うものを選んでいただけるようになっています。ただ、スリムアンブレラについてはそのサイズ感から、リュックを背負ったときに少しぬれてしまうというお声もいただいています。軽量化を意識した50cmというサイズはギリギリのラインだったのですが、来季はそのあたりのご意見も踏まえて、さらにより良い製品につなげていきたいと考えています。
軽量化と耐久性という相反する要素を、骨の素材を細かく使い分けることでクリアしたスリムアンブレラ。通勤という日常のリアルな体験から生まれた細かな工夫も随所に盛り込まれている。こうした設計思想は、低価格帯の日傘のあり方を更新する存在といえる。
PROFILE
大後 湧暉(おおご ゆうき)
株式会社ワークマン
製品開発部第3部 チーフバイヤー















