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猛暑時代の新しい選択 — 男性用日傘市場を切り拓く「Wpc. IZA」の戦略

2025.04.18
年々気温が上昇し、真夏には痛いほどの日差しが降り注ぐ。熱中症対策は今や必須となり、小学生から大人まで日傘をさすようになってきた。ところが、男性が日傘をさすいう習慣は、なかなか広まりを見せなかった。
そこに注目したのが、株式会社ワールドパーティーの「Wpc. IZA(ダブリュピーシー イーザ)」だ。すでに傘ブランドとして業界をリードしてきた「Wpc.」が男性用の日傘を開発し、新たな傘文化をつくろうとしている。
そこで同社の「Wpc. IZA」ブランドマネージャーである小野さんに狙いや商品の特徴を伺い、シリーズ累計販売数約140万本という人気の秘密を探った。

PROFILE

小野 航(おの わたる)

株式会社ワールドパーティー セールスプロモーション部 部長
大学卒業後、広告業界でコピーライター・クリエイティブディレクターとして広告制作に従事した後、メーカーでの勤務を経てワールドパーティーに入社。
ブランディング・クリエイティブを司る部署を統括し、Wpc. IZAのブランドマネージャーを務める。

いざ! 男性も傘を持ち歩こう

持ち歩きが苦にならない軽量設計を実現した「Wpc. IZA」
「Wpc. IZA」というネーミングに興味を惹かれるが、小野さんはこの名前に商品のコンセプトがすべて込められていると教えてくれた。
「武士が大きなことを始める際に、『いざ!』と声を発していたことに由来しています。私たちがこのブランドを立ち上げた2021年、男性用の日傘という市場はありませんでした。
弊社は『男性が傘を持ち歩く習慣をつくる』という課題に取り組むため、その気持ちも込めて『Wpc. IZA』という名前を付けました」
近年の温暖化の傾向もあって、暑さ対策や紫外線対策は喫緊の課題だったという。Wpc.の顧客も95%が女性という状況もあり、男性へのアプローチが求められていたという背景もあった。
小野さんによれば、当時は官公庁が熱中症を社会問題として捉え、「日傘男子」というワードで啓蒙活動を展開していたという。近年では、男性の美容意識の高まりもあり、日傘にも需要があると見込んだようだ。

涼しさとカッコよさの両立を目指して

どのようなシチュエーションでも様になるデザイン
2021年のブランド発足時は男性用日傘という文化が浸透していなかったため、「晴雨兼用」をキーワードに販売。雨傘をメインに使っていただきながら、日傘としての使用も促したと小野さんは振り返る。
その狙いは功を奏し、3年でシリーズ累計販売数約57万本を達成した。順調な販売を展開していくなかで、2023年は大きな転機になったようだ。
「2023年を境に猛暑日が日常化し、6〜8月の全国の平均気温が統計開始以降で最高になるなど、日傘を取り巻く環境が大きく変化しました。
男性にとっても暑さ対策の日傘が必需品になる日が迫っていると感じたため、スローガンを『This is COOL.』に設定し、涼しさを伝えるだけでなく、男性が日傘をさす姿がカッコいいものだと伝えていくようにしました」
こうして2025年3月末時点には、シリーズ累計販売数約140万本に到達したというから驚きだ。その人気の秘密はどこにあるのだろうか。

晴雨兼用でも高機能を実現した技術

高機能を実現するためにはコーティングが鍵
「Wpc. IZA」は晴れでも雨でも使える晴雨兼用という使い勝手の良さが売りだ。その上、公式ブランドサイトには兼用とは思えないほど優れた機能を有していると書かれている。こうした高機能はいかにして実現したのか。
「徹底した生地へのこだわりと高いコーティング技術によって、非常に優れた遮光性や撥水機能を持たせることができました。
たとえば生地はJIS L 1055 A法という規格に準じて、遮光率100%の測定値が出たもの、またJIS L 1925の規格に準じてUVカット率100%、UPF50+の測定値が出たものを採用しています。それにより、強い日差しの下でも効果が発揮されます」
晴雨兼用傘であっても、徹底した日差しの遮光を実現
生地の性能だけでも十分な効果が得られるが、実はコーティングも製品の性能を左右すると共に、企業力が問われるもののようだ。
「傘の表地には撥水加工を、裏地にはポリウレタン樹脂の多層コーティングを施しています。これにより、撥水についてはJIS規格の中でも最高等級の5級を獲得しています。耐水性も10,000mmH2Oという、大雨の中で使用しても雨の浸入を防ぐ高い性能が証明されました。
こだわりのコーティング技術で、大雨でも安心して使用できる設計
製造過程の大きな課題は、日々の天候に応じてコーティングの乾燥時間が変わること、それに伴って質のばらつきが生じやすいという点です。
ですが、弊社には長年傘業界で多くの傘を製造し、高い技術力と豊富な経験を有した熟練職人が在籍していますので、より厳格な品質管理が可能です」
話を伺っていると、この品質管理も徹底したものらしく、海外のラインにも本社から検品をするために社員が足を運んでおり、国内に製品が届いた後も、複数回にわたって検品をするという。

男心をくすぐる製品づくり

「Wpc. IZA」の開発に際して苦労したのは、技術よりも「男性用の日傘」というコンセプトに合わせた商品づくりと、認知の拡大だった。
「日傘や雨傘の生地としての機能はこれまでの知見を基に、柔軟に対応ができます。ですが、もともと弊社のブランドは『傘を持ち歩く習慣』をつくると掲げているので、ストレスを感じない使用感や軽量性を実現させるために、試行錯誤を重ねてきました」
小野さんが語るように、ふだんから折りたたみ傘を持ち歩くのは面倒だと思う人は多いだろう。それが男性なら尚更だ。中には、スマホや財布、あとは鍵だけポケットに入れて、手ぶらが良いという人も少なくない。
だが、「Wpc. IZA」の高機能性は、男性の心をくすぐるものではないだろうか。その上、これまでのベーシックなデザインカラーやサイズ展開も男性の嗜好性に合わせたものだったが、最近はより多くの人にアプローチする製品展開を始めたという。
「多様なライフスタイルの男性に選んでいただけるよう、常備傘を必要とする方向けの超軽量モデルやバックパックユーザー向けの専用モデルなど、ラインナップを拡大しています」
軽量・スリムモデルやバックパックまで守る「Wpc. IZA」の登場
地道な商品開発と販売を続けてきたなかで、ここまで人気を博した理由をどのように捉えているのだろうか。
「傘作りに20年以上向き合ってきた企業として、ブランドローンチから一貫して男性が日傘をさしやすい雰囲気を醸成するために啓蒙活動を続けてきた成果が出たと思います。また、近年の気温上昇も大きな要因です。日傘なしでは過ごせないほどの日差しになったことで、徐々に手に取っていただく機会が増えたのだと考えています」
最初に話があったように、2023年は記録的な猛暑日が続いた年だった。小野さんによれば、その年の『日経トレンディ』(2023年12月号)で「メンズ日傘」という言葉と共に、Wpc. IZAの日傘が紹介されたのは大きな転換点だった。そこから美容目的だけでなく、熱中症対策として男性が日傘を使用するという認知が拡大したという。
その性能の高さとデザイン性から人気を集めてきた「Wpc. IZA」。今後はどういった展開をしていくのか。
「これからも、熱中症や暑さ対策の助けとなって快適に過ごしていただきたいという思いを持ち続けていきます。夏が来たら、『Wpc. IZA』を思い出してもらえるようなブランドを目指していきます」
大人の男性の身だしなみのひとつとして、いざ! 「Wpc. IZA」をバッグに忍ばせておくことをおすすめしたい。

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