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フランスのGALIBIER(ガリビエ)が約35年ぶりに再始動! 「スーパーランド」が映し出す登山靴の未来

2025.10.22
今年、アルプス登山の黄金時代を築いたフランスの名門シューズブランド、GALIBIER(ガリビエ)が再始動を果たした。その幕開けを飾るのが、1970年代の登山者たちに愛された“スーパーガイド”をルーツとする「スーパーランド」だ。
消費サイクルの加速化が進む現代のシューズ市場に対し、「10年、20年履ける靴」を志向するガリビエが満を持して復刻したモデルは、一種のアンチテーゼといえるだろう。
ガリビエジャパン株式会社の篠崎拓馬さんに、ブランド復活の経緯と「スーパーランド」が示すビジョンを聞いた。

PROFILE

篠崎 拓馬(しのざき たくま)

ガリビエジャパン株式会社

営業マネージャー

19年間にわたってパラブーツを扱う株式会社RPJに勤務し、2025年9月にガリビエジャパンの営業マネージャーに就任した。

2017年まで稼働していたイゾーのリシャール・ポンヴェール本社兼工場

誕生から黄金期までアルプスを象徴したフランス登山靴の系譜

「ガリビエは1909年にフランス・イゼール県で創業したリシャール・ポンヴェール社のブランドでした。その名はツール・ド・フランスでも知られるアルプスのガリビエ峠に由来し、1922年に登山靴のラインとしてスタートしました」
1960年代の広告には、1962年にジャヌー北壁登頂を果たしたフランス人登山家、ロベール・パラゴ氏の姿とサインが掲載されている
リシャール・ポンヴェール社は、パラブーツの母体でもあるシューズメーカーで、ガリビエは、1930〜60年代が黄金期であり、第2次世界大戦後の登山ブームを背景にガリビエの名はヨーロッパ中に知れわたった。
「堅牢なレザーアッパーやノルヴェイジャン製法を特徴とする登山靴は、アルプスやヒマラヤ遠征隊、探検家たちに使用され、ガリビエは欧州登山靴の代名詞とも称されました」
1960年代の広告にはパラブーツの横にガリビエのロゴも見られる
1960年代に活躍したフランスの著名な登山家、ジョルジュ・パイヨもガリビエの愛用者のひとりであった
1960年代にブランドのコンセプトが改められ、パラブーツは街用シューズに、ガリビエは登山靴のカテゴリーを担うことになった。しかし1970年代に入ると、登山界では軽量性の重視と化学繊維の普及が進み、ヘビーデューティーなレザー製の登山靴は次第に主流から外れていくことになる。
「1990年代には新モデルの開発を停止し、ブランドとしての活動は事実上の休眠状態となりました」

時代の逆を行く“育てる靴”を提案するガリビエ

約35年という永い眠りから目覚めた背景には、現代のアウトドアシューズを取り巻く状況があった。
「いまやシューズ市場では、消費サイクルの加速による“靴の使い捨て化”が進んでいます。それに対し、手入れやリペアをすれば10年、20年と履き続けられるガリビエのシューズは、明らかに逆行する存在といえるでしょう。
一足の靴を大切にすることは、サスナビリティや環境保護にもつながります。そうした“育てる靴”を求める声に応えるために、ガリビエは復活したのです」
株式会社GMT が1990年代初頭から日本への輸入を担ってきたが、今年、株式会社RPJが本国と連動して株式会社ガリビエジャパンを設立し、ついに再始動を果たした。
欧州スタイルの登山靴の手本というべき「スーパーガイド」は、フランス本社に所蔵されている1940年代製の一足だ

伝説の登山靴のDNAを継承した新モデル

復活プロジェクトとともに開発された「スーパーランド」は、新生ガリビエの象徴というべき一足だ。
ベースとなったモデルは1948年に登場し、ヒマラヤ遠征隊をはじめ、世界の登山家たちに愛用されたのが「スーパーガイド」である。 ノルヴェイジャン製法で作られた重厚設計の登山ブーツは、今日でもクラシック登山靴の代名詞として語り継がれている。
「スーパーランド ミッド」 92,400円(税込)
「その『スーパーガイド』から派生した『スーパーランド』は、赤いシューレースなど基本的なデザインを踏襲しつつ、土踏まず部分に内蔵されているスチール製シャンクを省略することで、軽くしなやかな履き心地を実現しました」
「スーパーガイド」の片足の重量は約1,700gで、対する「スーパーランド」は更に甲の部分にDyneema®(ダイニーマ=超高分子量ポリエチレン繊維)仕様により約745g(サイズ42)と、半分以下の軽量化が図られている。
「アッパー内側には防水透湿素材のSympatex(シンパテックス)を搭載し、雨や雪の浸入を防ぎつつ、靴内部の蒸れを外に逃がす仕様となっています」
実際に履いて歩いてみると、スニーカーライクなクッション性を感じ、思わずブーツということを忘れてしまうぐらい快適だ。
「ヴィブラム社と共同開発したアウトソールは、深いラグパターンによって高いグリップ力を生み出します。さらに内部のポリウレタンフォームが高い反発性を発揮し、衝撃を吸収すると同時に推進力を後押しします」
ヴィブラムソールにしたことで快適性と軽量性を実現
「アッパーには2.4㎜厚のレザーを採用しています。一般的な登山靴のアッパーレザーが1.8㎜前後ですので、高い堅牢性を確保しています」
ノルウェーのスキー靴を起源とするこの製法は、アッパーとミッドソール、アウトソールを2重のステッチで縫い合わせることで、内部への水の浸入を防いでいる。
そしてソール交換によって長年の使用に対応できる点は、ガリビエの育てる靴というコンセプトをまさに体現している。
ソールの張り替えも可能なためより長く履ける
「スーパーガイド」はアイゼンを使う厳冬期の登山を想定したモデルだったが、「スーパーランド」は軽登山から日常使いにまで対応できる汎用性をそなえている。

クラシックスタイルに映し出されたアウトドアシューズの未来とは?

発売されて間もないながら、注目度は着実に高まりつつある。日本はもとより、海外でもパリの老舗アウトドア用品店、Au Vieux Campeur(オ・ヴュー・カンプルール)で取り扱われるなど、ブランドの顔としての地位を築きつつある。
圧倒的な頑丈さ、普遍的なデザイン、履き心地のよさをそなえた「スーパーランド」には、長く履き続けられるあらゆる要素がそなわっている。
次々に買い替える靴よりも、じっくり育てる靴がきっと求められている今、「スーパーランド」のクラシックな姿には、未来のアウトドアシューズのあり方が映し出されている。

Text by Ryota Osujo

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