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“第3のアイコン”が待望の復刻! ティンバーランドの定番「ユーロハイカー」の軌跡を辿る
ティンバーランドの人気モデルといえば、「イエローブーツ」と「スリーアイ クラシック ラグ」があまりにも有名だ。しかし近年、その2大モデルの陰でじわじわと存在感を強めているモデルがある。それが2023年に復刻された「EURO HIKER(ユーロハイカー)」だ。
現在では、ブランドの“第3のアイコン”として不動の地位を築きつつある定番モデルだ。その魅力をティンバーランド ジャパンの大木文太さんとともに探っていきたい。
PROFILE

大木 文太(おおき ぶんた)
VFジャパン(株)ティンバーランド ジャパン
マーケティング部 マーケティング アソシエイトマネージャー
1991年生まれ。大学卒業後、アパレル商社での営業を経て、2019年にVFジャパンに。2021年よりEnergy Marketingに異動。CollaborationプロジェクトやPR案件などを担当し、現在はMarketing Associate Managerを務める。

1988年にデビューしたヨーロッパ向けのハイキングシューズ
「ユーロハイカーは、ヨーロッパ市場を意識して1988年に生まれたハイキングシューズです。モデル名はEuro(ヨーロッパ)とhiker(ハイカー)を組み合わせた造語に由来します」コンセプトはハイキング用だったが、実際はアウトドア用途以上にカジュアルシューズとしての需要が高かったという。特にアメリカでは、ヒップホップのアーティストたちに愛用されたことで人気を獲得した。
90年代ヒップホップが育んだストリートアイコン
1990年代のニューヨーク・ヒップホップの黄金期を象徴するグループである「Gang Starr(ギャングスター)」も、このブーツの愛用者だった。1990年代のヒットアルバムにユーロハイカーを着用した写真が収められたことで、一躍注目度が高まった。日本での展開は2000年代の前半にスタートしたが、本国のマーチャンダイジング方針から外れてしまい、残念なことに短期間で終了してしまった。
「当時はティンバーランド=イエローブーツのイメージを優先的に確立する必要があり、日本では展開しないことになったんです」
だが、その後も並行輸入によって国内に流通し、国内では“知る人ぞ知る存在”としてファッションフリークの間で語り継がれた。
「セレクトショップのバイヤーやコアなユーザーから復刻を望む声が絶えず寄せられていました。そこでティンバーランド ジャパンが本国へ直接交渉し、正式に復刻をリクエストしたんです」
20年ぶりの日本復刻と、続々寄せられるコラボオファー
2023年には、ついに20年ぶりとなる復刻版が日本で発売され、完売する店舗が続出するほどの人気を博した。「グリップスワニーやホワイトマウンテニアリングなど多彩なブランドからもコラボレーションのオファーが寄せられ、このモデルの潜在的な人気をあらためて実感しました」
見た目はヘビーデューティー、履き心地はスニーカーライク
「デザインのベースはクラシックなハイキングブーツで、アッパーにはオイルドレザーを採用しています。ブラウンを基調とし、タン部分にカーキをあしらった配色が特徴的です」
レザーのクオリティはティンバーランドの核であり、このユーロハイカーにも厳格な品質基準を満たしたプレミアムレザーが用いられている。
「レザーはLWG(レザーワーキンググループ)[1]認定のものを中心に使用しています。本格的な登山靴ではないため完全防水仕様ではありませんが、アッパーにはオイルを含ませたオイルドレザーを採用しており、多少の雨や水なら弾きます。
オイルドレザー特有の性質として細かなキズが入りやすいという面もありますが、むしろそのエイジングこそが魅力を深める要素になっています」

通常のアイレットよりも紐を通しやすく、ブーツの脱ぎ履きがスムーズにできるというD環も、このモデルを特徴づけるディテールのひとつだ。また、紐を引くだけで均一にテンションをかけられるため、安定した歩行にもつながる。
さらに、武骨な金具使いはクラシックなハイキングブーツらしい雰囲気を強調し、ユーロハイカーのアイコン性を際立たせている。
一方で、重厚なルックスとは裏腹に履き心地が軽快なのも人気の理由だ。実際に履いてみるとスニーカー感覚に近い軽さで、計測すると片足約558gだという。片足約865gのイエローブーツと比べると、およそ35%も軽量だ。
「フットベッドにはEVAを採用し、ミッドソールにもEVAをブレンドすることで衝撃吸収性を高めています」
結果、タフなブーツでありながら、軽快な履き心地と快適なクッション性を両立している。
スチールシャンクなどハイキングブーツらしいスペックも

特長は軽さやクッション性だけではない。ユーロハイカーには、ハイキングブーツらしい土踏まずの独特な安定感が備わっている。
「スチール製のシャンクを内蔵しているからです。土踏まずのアーチを支えることで安定性が高まり、長時間の歩行でも疲れにくくなります」
さらにアウトソールにはラバー製のラグソールが採用されている。深めに刻まれたラグパターンが優れたグリップ力を発揮し、滑りやすい地面や悪路でも安定した歩行をサポートする。
現代ファッションとの親和性が再ブレイクの要因に

大木さんは、ユーロハイカー人気再燃の背景にはファッションとの親和性があると語る。
「私は入社してからこの靴の存在を知ったんですが、履いてみると意外なほど軽く、歩きやすくてびっくりしました。ボリューム感のあるフォルムや渋いカラーリングも魅力で、どこか“いなたい雰囲気”にハマりました。デザイン自体はベーシックで、配色もワントーンなので、アメカジやストリート、アウトドアといった幅広いスタイルに自然にマッチします」
定番モデルに昇格。ブランドの顔として存在感を強める
現在、ユーロハイカーは定番化され、イエローブーツ、スリーアイ クラシック ラグに次ぐ“第3のアイコン”と位置づけられている。「35年以上ほとんどデザインを変えていないこともポイントです。それだけ完成度が高く、アイコニックなデザインとして浸透している証拠だと思います」
一度は日本市場から姿を消しながらも、根強いファンの声によって復活を遂げたユーロハイカー。飾り気のない武骨なマウンテンブーツは、いまやティンバーランドの新たなアイコンとして、ストリートとアウトドアをつなぐ文化的シンボルとなりつつある。
[1]環境に配慮した皮革産業を推進するために設立された国際的な非営利団体
Text by Ryota Osujo





















